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★Endeavor特別連載★泰蔵さんに聞いてみよう!

Endeavor 前田:
前回は泰蔵さんに、「人にならうな」という教訓を教えていただきました。
「人にならならったものを、ちょっとアレンジしたものではイノベーションを起こすようなスタートアップだとは言えない。スタートアップにはテクノロジーが重要」というお気持ちが込められていましたよね。
実際にテクノロジーの分野で活躍する注目のスタートアップについて教えていただけますか?

泰蔵:
そうですね。例えば、2人の女性が共同創業したNovoloopというスタートアップがあります。
彼女たちは、プラスチック廃棄物を材料に変えるという技術を生み出したパイオニア的存在です。これは、いくつも特許が取得できるような画期的なものです。

Endeavor 前田:
その画期的な技術は、具体的にどのようなビジネスモデルに結びつくのでしょうか?

泰蔵:
Novoloopは画期的な 技術に加えて優れたビジネスモデルを作り上げているんです。
具体的には、政府からゴミ処理の委託を受け、 廃棄物処理事業者としての収入 が入ります。
さらに、彼女たちはプラスティックのゴミからTPU * という新素材を作り、 スポーツシューズのソールなどに使用する材料として販売されています。

Endeavor 前田:
政府からはゴミ処理代の収入、そしてシューズメーカーからは素材代金の収入といった、ダブルインカムのビジネスモデルを作り上げたのですね!

泰蔵:
そうなんです。素晴らしいことに、多くのスポーツシューズのソールは石油から作られていま すが、TPUは地球上から二酸化炭素を減らす「カーボンネガティブ」である上、衝撃吸収性、弾力性、耐久性などの機能も優れていて値段も安価だということがわかったのです。選択しない理由が無いですよね!

Endeavor 前田:
彼女たちは、どこからインスピレーションを得たのか気になります。
そして、どのようなお人柄なのでしょうか?

泰蔵:
創業者の1人であるミランダ・ワンが高校生の時にプラスチックのゴミの山を見学した際、「私はこのゴミの山を絶対なくしてみせる!」と決めたそうです。そして、その課題解決に役立つ研究を進める研究室を自ら探し出し、カナダやアメリカの大学に通いサイエンスやテクノロジーを学びました。
学んだ分野を自分なりに融合させて実行した結果、素晴らしい技術を作り上げたのです。

Endeavor 前田:
まさに、人にならわず、自らやってみることで新しいものが生まれたのですね!

泰蔵:
ミランダが当時通っていたスタンフォード大学の担当教授は、その分野において世界で最も引用される論文をたくさん出している有名な研究者だったのですが、彼女の想いと取り組みに感銘を受けて、なんと大学を辞めて彼女の会社に参加しました。

Endeavor 前田:
知識や技術だけでなく、人を惹きつける魅力を持った方なのですね。

泰蔵:
はい。初めて現地視察した時は、本当に小さなオフィスだったのですが、2回目の投資を検討するために訪問した時には、社員が既に数十人に増えていました。
しかも、初めて資金調達するという段階であったにも関わらず、既に実験施設が動いていたのです。

Endeavor 前田:
実験設備を用意するには相当な資金が必要だと思うのですがいったいその資金はどうしたのでしょうか?

泰蔵:
世界中のピッチコンテストに片っ端から出場して、なんと累計約300万ドルもの賞金を獲得して資金に当てたそうです。
社名のNovoloopとは「まったく新しいループ」という意味です。
地球上に存在するプラスチックを全てTPUに変えて活用し、その加工品をまたTPUに戻すことができれば、ずっとリサイクルし続けられますよね。そういうサステイナブルな新しい循環を生み出そうという志が社名に込められています。
このように本当に素晴らしいテクノロジーは絶対に広めた方がいいと思うんですよね!

Endeavor 前田:
本当にそうですね!Novoloopは非常に注目度の高いスタートアップだと思うのですが、実際にどのような方々が支援しているのでしょうか?

泰蔵:
僕自身Novoloopの初期投資家の1人ですが、他にもシリコンバレーやヨーロッパの錚々たる方々が出資し、シリーズAまで累計で約40億円の資金が集まりました。

Endeavor 前田:
泰蔵さんのもとには他にも多くの出資の相談が寄せられると思うのですが、スタートアップに投資をされる際に重視されるポイントを教えていただけますか?

泰蔵:
アーリーステージの場合は、創業者の思想と人間性しか見てないかもしれないですね。特に「なぜこの事業を始めようと思ったのか?」という創業の動機や「このスタートアップが問おうとしている問いは何なのか?」という企業の存在意義についてよく見るようにしています。思想や人間性が良ければ、必ず多くの人に支持され、素晴らしい事業へと発展すると信じているからです。逆に言えば、目先の事業性や収益性などはあまり重視していません。

Endeavor 前田:
魅力的なスタートアップに対しては やはり素晴らしいサポートが集まるのですね。
泰蔵さんがスタートアップ支援を決める際には創業者の人としての魅力や資質も判断基準にされているのだということがよくわかりました。 
本日もありがとうございました。

*TPU:Thermoplastic Polyurethane(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)

Novoloop詳細はこちら
★共同創業者:Miranda Wang, Jeanny Yao


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