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【Endeavor Report】2023年版 インパクトレポート - Reimagining Founder's Pathways to success -

2024年3月に発表された2023年度のエンデバー・インパクトレポートの情報をご紹介します。(以下、レポートより要約)

  • 創業者リンダ・ロッテンバーグ氏からのメッセージ

私は25年以上にわたり、シリコンバレー以外にも影響力のある起業家は存在すると主張し、"Chica Loca"(She is a crazy girl!)と呼ばれてきました。そそして私は"テック企業の創業者達は、パーカーを着た少年のように見える必要はない"と言い続けていました。

この1年、エンデバーは、起業家が高成長事業を立ち上げるまでの「典型的な」キャリアパスに関する誤解を公式に否定するための大規模な調査プロジェクトを実施してきました。エンデバーの調査チーム「エンデバー・インサイト」は、米国と新興市場のユニコーン創業者200人(企業価値10億ドル以上の未上場企業を率いる創業者)のライフ・ジャーニーを調査しました。私達のチームの結論は、成功した創業者について我々が自分自身に言い聞かせる最も一般的な神話を打ち砕きました。ファーストキャリアから進学した大学、起業した年齢のデータは、最も成功した創業者たちのトップへの道が一つではないことを証明しています。

このインパクト・レポートには、この新しい道を歩む世界中の起業家たちの感動的な瞬間が詰まっています。インドネシアのeFisheryは、世界初の養殖ユニコーンとして注目を集めました。チュニジアのAI企業InstaDeepは、アフリカのディープテック・エコシステムの存在を世に知らしめました。創業者CTOと創業者CPOがともに女性であるブラジルのスタートアップPismoは、Visaが10億ドルの現金で同社を買収したことで、2023年最大のフィンテック案件のひとつとして話題になりました。このようなストーリーは、私たちの視野を広げ、起業家的イノベーションのあり方を再想像することを促してくれます。

2,500人以上のエンデバー・アントレプレナーを選出した後、私たちは多くの起業家が次世代の創業者に投資し、指導し、刺激を与えるロールモデルに成長するのを見てきました。これらの起業家たちは、元チームメンバーの新しいアイデアに投資するために最初の小切手にサインをしたり、若い創業者たちにアドバイスをするために時間を捧げたり、地域のエンデバーの役員に就任したりして、影響力のある起業家たちの、起業家たちによる、起業家たちのための組織としてのエンデバーのビジョンを支えています。エンデバーが、影響力のある起業家たちの、起業家たちによる、起業家たちのための組織であるというビジョンを支えているのは、こうしたマルチプライヤーたちの存在があるのです。

エンデバーが数十年にわたり活動しているアルゼンチン、ブラジル、トルコでは、経験豊富な創業者たちが、すでに繁栄するテック・エコシステムを形成し、拡大へ貢献しています。アラブ首長国連邦、ナイジェリア、ベトナムなどの国々でも、マルチプライヤーエフェクトが芽生え始めています。様々な基盤が整った後にエンデバーはポルトガル、ポーランド、パキスタンに新しいオフィスを開設しました。

40カ国以上のエリアで活動するそれぞれのエンデバーが、家柄に関係なく、どんな個人でも、彼らの拠点からグローバルへ高成長、そして大きなインパクトを与える創業者になることに踏み切れる「スケールアップ・ネーションズ」を構築する使命を基に活動しています。このミッションを推進するためには、古い考えを見直し、私たちの活動方法を進化させる必要があります。

2011年の取締役会で、リード・ホフマンは、私たちが選んだ起業家をより全面的に支援し、支持するために、(ルールに基づいた)共同投資ファンドを創設するよう私たちに提案してくれました。2023年、私たちは300件目の投資と24件目のイグジットを迎えました。運用資産5億ドルのエンデバー・カタリストは、現在エンデバーの40カ国で投資を行っており、中東・アフリカ・中南米のアーリーステージ企業に対して最も積極的なファンドの1つとして認知されています。この勢いと独自の50/50利益共有モデルにより、エンデバー・カタリストは、2030年までにエンデバーを自立組織にすることを目指しています。

エンデバー起業家たちが、新しいビジネスモデル、新しいテクノロジー、新しい成功への道を切り拓きながら、それぞれの国で築き上げているレガシーについて、楽しんで読み進めていただければ幸いです。

IMPACT REPORT 2023|Letter from Linda より
  • 2023年1月〜12月の活動報告

2024年3月に発表された2023年度のEndeavor Impact Reportの情報をお届けします。(以下、レポートより要約)

  • 2023年1月〜12月の活動報告

・エンデバースタッフにより、3,000以上のエンデバー起業家候補者とのインタビュー(一次面接審査:First Opinion Reviews (FOR))を行いました。
1,893社其々と1時間の面接を行い、候補者の事業の実現可能性を評価しました。
619社の候補者とエンデバーのメンターによる複数回の面接を行い、事業戦略・革新性・成長性についてのメンタリングを行いました。
・各ローカルのメンターとのLocal Selection Panel (LSP)により234社との面接と審議を行いました。
・審議を経て、合計109社がInernational Seletction Panel (ISP)へ進み、投資家やメンター・エンデバー起業家のパネリストと面接を行いました。
・最終的に、81社が2023年新たにエンデバー起業家としてコミュニティに加わりました。

  • 2023年にエンデバーコミュニティに加わったアントレプレナーのご紹介

2023年に新たに選出された81社152名のエンデバー起業家たちはシリアルアントレプレナーやスケールアップを実現させたベテラン起業家、深い技術力を持つ創業者など様々なバックグランドを持ち合わせており、起業家としての成功に多様な道筋があることを体現しています。以下、その一例をご紹介します。

1)ANGKAS|フィリピン🇵🇭

フィリピンを代表するバイク・ライドシェアアプリ。共同創業者のGeorge氏とAngeline氏は「Grab Mafia」の一員としてシリアルアントレプレナーとしてキャリアのスタートを切っています。フィリピンの交通状況は世界中でも深刻な課題を持つ国として知られていますが、Angkasは800万人以上の顧客に安全でコスパの高い交通手段を提供しています。1800万人以上のバイク所有者に雇用機会を拡大することを目的の一つとして事業を展開しています。

2)ASTRO|インドネシア🇮🇩

ASTROは、ジャカルタ広域圏の顧客に24時間365日、手頃な価格でオンデマンドの食料品を提供し、不必要な車での移動なしに日用品を購入できるサービスを提供しています。創業者であるVincent氏は同社設立前、東南アジア最大のユニコーンの一つである"Tokopedia"の役員を務めたのち、ASTROを設立しました。

3)Electra Vehicles|イタリア🇮🇹

バッテリーシステムの最適化を行う独自のソフトウェアを開発する、ボストンとトリノを拠点とする企業。創業者のFabrizio氏はイタリア生まれの科学者で、これまで70件の特許を取得しています。NASAで金星探査機プロジェクトに携わっていたFabrizio氏はEV業界でも同様の課題が存在していることに気付き、宇宙探査機で使用されている技術を自動車に応用し同社の設立に至りました。

4)Frubana|コロンビア🇨🇴

ラテンアメリカの食品サプライチェーンを組織化することを使命とし、レストランが生産者や製造業社から直接商品を購入できるB2Bマーケットプレイスを提供しています。創業者のFabián氏はコロンビアで育ち、父親が経営するフルーツ農場で働いていました。工業工学を学んだのち、コロンビアのユニコーン企業でフードデリバリーアプリを提供する"Rappi"に最初の従業員として入社。食品・ロジスティクス・アントレプレナーシップにおける集大成として同社設立に至りました。

5)Money Fellows|エジプト🇪🇬

グループ融資と貯蓄のプラットフォームを提供する同社は伝統的な小口融資モデルに基づいており、個人のグループが共通の資金に拠出し持ち回りでメンバーに支払われる仕組み。創業者のAhmed氏はテクノロジーに精通したシリアルアントレプレナーで、2005年に最初の企業"Objectly"を設立、その後2008年には"Blipit"を設立しています。

6)ZEDEDA|モロッコ🇲🇦

企業が大量のセンサーデータを処理し、ネットワーク帯域幅とクラウドデータストレージのコストを削減すると同時に、可視性、セキュリティ、コントロールを向上させることを支援するB2Bソフトウェアを提供しています。創業者のSaid氏は20年に渡りインターネット・インフラの構築に尽力。最初の大西洋横断インターネット・バックボーン・ネットワークの構築を支援し、通信事業者と協力してDSLによるブロードバンド・インターネットを展開し、携帯電話に4G/LTEを導入する一翼を担いました。
  • エンデバー・カタリストの活動報告

エンデバー・カタリストは、2012年に設立されたルールベースの共同投資ファンドで、エンデバー起業家主導の企業にのみに投資をしています。事業開始時からこれまで、316件以上の企業へ投資、24件のイグジット、5億ドル以上の資産を運用しています。以下、エリア別の投資状況についてご紹介します。

ラテンアメリカ:124件 39%
[Pick up Start-up]
新興市場向けの越境決済処理サービスを提供する”dLocal” ウルグアイ初のユニコーン(創業者:Sergio Fogel, Andrés Bzurovski)

米国:30件 10%
[Pick up Start-up]
プライバシーとセキュリティのソフトウェアプロバイダー “OneTrust” 2023年に1億5000万ドル調達後、評価額が45億ドルに到達。(創業者:Kabir Barday)

ヨーロッパ:38件 12% 
[Pick up Start-up]
経費・支払・請求書管理の金融プラットフォーム “Payhawk”がブルガリア初のユニコーン企業へ。(創業者:Hristo Borisov)

MENAT(中東・北アフリカ・トルコ):69件 22% 
[Pick up Start-up]
企業のマーケティング支援のサービスを提供する”Insider” トルコ発の女性代表企業がユニコーンへ。(創業者:Hande Cilingir)

アジア:34件 11%
[Pick up Start-up]
魚やエビなどの養殖堀に設置する自動給餌器のシステムを提供する”eFishery” インドネシア発、世界初の養殖ユニコーン。(創業者:Gibran Huzaifah) 

SSA(南アフリカ):20件 6%
[Pick up Start-up]
ナイジェリア最大のビジネス決済プラットフォーム”Moniepoint”(創業者:Tosin Eniolorunda)

レポート全文はこちらからご覧いただけます。


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