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価値観の不一致で「離婚したい」と思ったときの離婚戦略

いきなりですが、僕は離婚を経験しました。30代半ばくらいのことでしたが、結婚前の交際期間を含めると10年くらい一緒にいた相手とお別れすることになりました。

離婚することは僕から切り出しました。相手に浮気されたとか、DVされたとか、めちゃくちゃ金遣いが荒いみたいな、側から見て何か決定的な理由があったわけではありませんが、一言で言うと「性格・価値観の不一致」ということです。

ほとんどの夫婦と同じように、交際を始めて愛情を育み、結婚することにしました。この先うまくやっていけるかという不安は少しあったものの、この人とならば何とかなるだろうと思い結婚を決意しました。

結婚式も盛大に行い、一緒に生活を始め順調に結婚生活が進んでいると思っていました。が、生活を共にしていくにつれ、少しずつ自分の中に違和感がでてきました。「この先の人生、本当にこの人とずっと一緒にいることが自分にとっての幸せなのだろうか」と。

悩みに悩み、考えに考えた結果僕が出した結論は、今のパートナーとはお別れをするということでした。一緒に暮らしてはいたものの、仕事などそれぞれお互いに違う環境のもとで頑張り続けた結果、少しずつ離れていったお互いの価値観は、もう元通りにはならないなと思ったからです。そして、パートナーに離婚をしようと切り出しました。

 

大変なのはここからでした。


僕には子供がいなかったこともあり、すんなりとは行かないまでも、大きくもめることもなく離婚まで事が進むと離婚を切り出した当初は思っていました。

が、全くそんなことはなく、お互いの両親や家族、弁護士や調停員、裁判官を巻き込み、結局離婚が成立するまでに1年近くの時間がかかることになりました。

離婚までのプロセスを進めていく中で、離婚を切り出した当初は全く知らなかった法律や判例などの存在を知り、あらためて結婚することの法的な意味を思い知り、離婚することの大変さを身を持って体験することになりました。

このnoteでは、僕の離婚成立までの道のりの中で学んだ、離婚についての主に法的な意味合いと、「どうしたら少しでもスムーズに離婚を進められるか」ということをシェアしたいと思います。自分自身でも書籍などから学んだこと、弁護士4人にアドバイスをいただいたことも踏まえてお伝えします。

実際に離婚に向けて事を進めて見ると、それまで知らなかった法律がたくさん出てきました。中には「それ結婚する前に教えてよ・・・!」と思うことも多くあったので、これから離婚に向かおうとしている方にはもちろん、これから結婚をしようと思っている人にも知っておいて欲しいと思いこのnoteを書くことにしました。

このnoteが参考になるのは、主に

・離婚をしたいと思っていて

・性格・価値観の不一致が主な離婚理由

・子供はいない

という方だと思います。あなたに子供がいらっしゃったり、パートナーの浮気・DVなどが原因という場合にはあまり参考にならないかもしれません。

また、

・現在結婚を考えている

という方にも是非読んでみていただきたいです。結婚することによって生じる義務を知っておいた方がいいのではと思ったからです。少なくとも僕は結婚する前に知りたかったです。

ちなみにこのnoteは離婚を推奨するものでは決してありません。生涯にわたって1人のパートナーとの結婚生活を続けていくことももちろん素敵ですし、自分の幸せのことを考え離婚するというのも大切な決断だと思います。離婚するか否かは個人の自由です。その中で離婚をしたいと思う人にとって、このnoteが参考になれば嬉しいと思っています。

 また、僕自身は法律の専門家ではありません。書籍や弁護士からのアドバイスを元に記載はしていますが、あくまでも僕個人の意見なので専門家からのアドバイスが必要な方は弁護士への相談もおすすめします。

1. 離婚とは

そもそも離婚とは、“婚姻関係にある生存中の当事者同士が、有効に成立した婚姻を婚姻後に生じた事情を理由として将来に向かって解消すること”で、つまりは結婚して夫婦である2人が、赤の他人になるということです。

今夫婦として過ごしている多くのカップルは、きっと結婚前からも結婚した後も、楽しいことや辛いこと色々なことを乗り越えてきたはずです。そんな2人の結婚生活を清算して、2人の関係を“赤の他人”に戻す、というのが離婚ということになります。

離婚が成立するためには、①夫婦双方が同意する(同意による離婚)、②訴訟を起こして裁判所の離婚判決を受ける(判決離婚)のどちらかが必要となります。

①同意による離婚は、さらに(A)協議離婚(裁判所を通さず、双方の話し合いで離婚)、(B)調停離婚(家庭裁判所の調停を経て離婚)、(C)和解離婚(訴訟へ移行後、和解が成立し離婚)の3つに分類されます。(図1)

このnoteでは、主に①-A、①-Bについて僕の経験も交えながら触れており、①-Cや②については経験がないのであまり触れていません。

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離婚に至るまでのステップとしては、一般的には協議(話し合い)→調停→訴訟という流れになります。

協議(話し合い)について、ここでは裁判所の関与が入ることなく、夫婦や場合によっては双方の家族を交えて話し合う段階です。この話し合いの段階で決着がつけば、離婚届を役所に提出することで離婚が成立します。

しかし、協議で決着がつかない場合には、調停へ移行することになります。調停とは、家庭裁判所で行う話し合いのことです。第三者である調停委員が話し合いをファシリテートし、この調停で決着がつけば離婚が成立となり、合意内容に沿って調停調書が作成されます。

調停で話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所に訴訟を提起します。なお、訴訟するためには調停を経ていることが必要であり、調停のステップを踏まずにいきなり訴訟に持ち込むことはできません(調停前置主義とかいうらしいです)。

2. 離婚原因について

離婚の検討・話し合いを進めるにあたり、「離婚原因」について知っておく必要があります。離婚原因とは、裁判などにおいて離婚が認められ得る要件のことです。夫婦のどちらか一方が離婚を拒否している場合、話し合い(協議)での解決はできないため、離婚裁判を起こして裁判所に離婚を認めてもらうしかありません。そして裁判になったときに離婚が認められる理由のことを「離婚原因」といい、民法では770条に、以下5つの離婚原因が規定されています。

1号 配偶者に不貞な行為があったとき
2号 配偶者から悪意で遺棄された時
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

上記5つの離婚原因のうち、読者のあなたが特に気にすべきなのは1号と5号だと思うので、1号と5号について少し詳しく説明します。

まずは1号について、不貞とは、いわゆる浮気で、配偶者以外の異性との肉体関係のことです。肉体関係がなく、たとえばメールやLINEのやりとり、食事やデートをしただけという場合では不貞行為とはみなされません。ただし、肉体関係がなければ配偶者以外の異性とLINEやデートなど繰り返しても離婚原因にならないかといえばそうではなく、後で説明する5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」になるケースもあるようです。

不貞行為があったと証明するためには、探偵などからの調査報告書や、不貞相手との不貞行為があったことがわかるメッセージのやりとり、不貞相手との写真などを証拠として示す必要があります。

次に5号ですが、「婚姻を継続し難い重大な事由」と少し幅広い解釈ができるように思えます。これは、裁判官に「婚姻が破綻していて、関係の回復・改善が今後見込めない状態」ということを認めてもらう必要があります。実際に5号に該当すると主張されるケースが多いのは、DV・別居・性格の不一致・モラハラ・宗教活動・セックスレスなどのようです。

この中で特に「婚姻が破綻している」と認められやすいのは、DVや「5年以上の別居」というケースで、それ以外のものは、それだけをもって婚姻関係が破綻しているとは認められにくい、認められない可能性がないわけではない、という程度のようです。

 例えば、「パートナーの金遣いが多少荒い」という状況があったとして、それがあなたにとって決定的な離婚理由だとしても、法律上ではそれだけをもって5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にはあたらないようです。「パートナーがギャンブル依存症で、何度注意してもギャンブルをやめず、生活費を食いつぶすほどになっている」くらいの状況でないと、5号にはあたらないと。かなりハードル高いですよね。このようにあなたにとっては重大な事由だとしても、それが法律上必ずしも「重大な事由」にはあたらないということに注意が必要です。

3. 性格・価値観の不一致は離婚原因になるか?

特に、このnoteの読者の中には、「性格・価値観の不一致」を理由に離婚を考えている、離婚の可能性を感じているという方もいらっしゃると思います。僕自身も「性格・価値観の不一致」を理由に離婚したいと思い、弁護士に相談をしましたが、その理由だけでは離婚は難しいと言われてしまいました。その理由としては、基本的に裁判で裁判官は、「この夫婦の婚姻関係は本当に破綻しているか、やり直せる可能性は本当にないのか」という観点で検討し、破綻している・やり直せる可能性はない、とジャッジした場合に離婚判決になります。もともと赤の他人が夫婦となる以上、多少の性格・価値観の違いがあるのは大前提というのが裁判でのとらえられ方で、それだけを理由に「婚姻関係の破綻」と認められるケースは少ないそうです。

仮に裁判になった場合、夫婦それぞれが自分の考えやファクトを主張します。離婚したいと考えている側は「破綻している」と主張しますし、離婚したくないと考えている側は「破綻していない、やり直せる」と主張します。その中で、裁判官が本当にこの2人の婚姻関係が破綻している、というジャッジを下すのは容易ではないということは想像できますよね。なので、性格の不一致のみを理由とした離婚はなかなか難しいということです。

とは言っても、パートナーとの結婚生活を続けるか否かを考える際に「性格・価値観が一致しているか」はとても大切な基準ですよね。性格・価値観の不一致があるとあなたが感じていれば、それはあなたにとって重大な離婚理由になるということは僕もよくわかります。普段はパートナーと仲良くやっている、嫌いになったわけではないし相手に不貞があるわけではない、パートナーは自分にとって大切な人であることには変わらない、だからこそこの人と結婚をした。

それでもどうしても埋められない心の距離があって、本当にこの人とこの先の人生を共にすることが自分にとっての幸せなのだろうか?と考えてしまう。そうやって考えた結果、離婚という選択をする、ということは悲しいけど一つの決断だと思います。

では、パートナーの浮気やDV、長期にわたる別居など、決定的な離婚原因がない場合には、どうすれば離婚することができるのでしょうか。

ここから先は有料コンテンツとさせていただきます。

・離婚をしたいと思っていて

・性格・価値観の不一致が主な離婚理由

・子供はいない

という方に特に参考になればと思います。僕が弁護士4人に相談しアドバイスを受けた内容を中心に記載しています。

弁護士に相談すると1時間あたり1万円くらいかかるので、弁護士に相談する前にこのnoteを参考いただければ、弁護士への相談費用も節約できるかもしれません。もちろん、このnote通りに行動すれば必ず思い通りになるというものではありませんのでその点ご了承ください。

4. どうすれば離婚できるか?

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