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平等なせかいの重心は
せかいは結局、平等だと思う
あるくにの人たちはお金持ちで、欲しいものは何でも手に入る
またあるくにの人たちはお金がなくて、今日食べるものすら手に入らない
あるくにの人たちは優しくて、財布を拾ったら交番に届けてくれる
またあるくにの人たちは優しくなくて、財布を拾ったら自分のポケットに入れる
あるくにの人たちは生きたくなくて、簡単に命を捨ててしまう
またあるくにの人たちは生きたくて、でも簡単に命を落としてしまう
豊かな人がいて、貧しい人がいる
良い人がいて、悪い人がいる
死にたい人がいて、生きたい人がいる
せかいは結局、平等だと思う
だからきっと、
豊かな人と貧しい人のちょうど真ん中、
良い人と悪い人のちょうど真ん中、
死にたい人と生きたい人のちょうど真ん中、
たった一人の誰かさんが、この平等なせかいの重心の上に立っているはずだ
他にも大きい人と小さい人、幸せな人と不幸な人、反対の言葉を探してくると、そのちょうど真ん中に重心があって
ぜんぶの重心が集まる点こそ平等なせかいの重心だ
つりあうためには、左と右の、重心からのきょり×重さが同じじゃないといけないから、
重心から一歩左には重心の誰かさんよりちょっぴり豊かな人が、一歩右には重心さんよりちょっぴり貧しい人が、それぞれ同じ数いる
一歩左も一歩右も同じきょり
ちょっぴり豊かな人もちょっぴり貧しい人も同じ重さ
反対語だから同じ重さ
同じ重さ
同じ、重さ
反対語だから?同じ重さ?
豊かな人と貧しい人が同じ重さ?
良い人と悪い人が同じ重さ?
死にたい人と生きたい人が同じ重さ?
同じ重さに見えるのは、知らないからだ
ことばのせいだ
一番左の豊かな人も一番右の貧しい人も、会ったことがない
端っこにいる人がどんな人なのか知らない
「反対」のことばで考えるから、せかいは平等だと思う
知らないからことばにだまされる
でも知っていてもきっとだまされる
ことばで考えるからだまされる
くにの数だけことばがある
ひとの数だけことばがある
考えるには、ことばが必要だ
くにの数、ひとの数だけ考えがある
自分の考えを、重心におかない
いつも重心からはずれた、不安定なところにおく
不安定に、足をおくこと
それが、生きること
せかいは結局、平等だと思う
僕が不安定である限り
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