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学校とエンカレッジ

こんにちは、エンカレッジ広報担当のシロです。
現在いくつかの教室では、行政だけでなく学校の先生たちとも連携し、情報共有や支援の方向性についての相談を行っています。
また、4つの小中学校では放課後の学習支援・居場所支援をスタートさせました。
今回は、その事例を交えながら、民間が学校と連携する可能性について見ていきたいと思います。



「プラットフォームとしての学校」とは

2014年に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱について」で初めて公式に登場した言葉である「プラットフォームとしての学校」。
子供を支援する拠点として学校を位置付けようとする考え方のことを指すそうです。

また2017年に文部科学省では、学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進について、「全ての子供が集う場である学校を、子供の貧困対策のプラットフォームとして位置づけ、学校における学力保障・進路支援、子供の貧困問題への早期対応、教育と福祉・就労との組織的な連携、地域による学習支援や家庭教育支援を行うことにより、貧困の連鎖を断ち切ることを目指す。」としています。

貧困や発達の凸凹、引きこもりなど、子どもの抱える問題は多岐にわたり、一人ひとりに見合ったサポートが必要とされる現在。
学校や行政、民間それぞれではなく、相互に連携し合って子どもたちを見守り育てる仕組みをベーシックなものにしなければいけないと思います。




必要な子へ届けるために

現在3つの居場所型学習支援教室がある那覇市では、基本的に自立支援員が必要としている子どもたちにエンカレッジを紹介し、教室に繋げてくれます。

2011年、泉崎学習支援教室の開校後、2校目の首里学習支援教室が開校したのは2016年。住んでいる地域上、泉崎への通塾が困難であった子どもたちも安心して通えるように、対極にある首里に作りました。
しかしながら、開校当初は思ってる以上に生徒が繋がってこなかった。理由は多々ありますが、一番は情報がうまく回らなかった、というところにあります。
そこで、那覇市の担当の方と一緒に、首里教室近辺の中学校を回りました。私たちエンカレッジが何をしている団体なのか、この事業は何を目的としているのか。生徒のために、活用してほしい旨を伝えました。
通常、学校と塾や民間の学習支援教室などは、対極に見られがちだったのもあり、どう受け取られるかの不安も大きかった。
しかし、校長先生を中心に皆様真摯に耳を傾けてくれ、伺ったすべての学校で、担任の先生から必要としている子へお声かけしてくれることになりました。

対象を貧困層としているため、生徒や保護者へのお声かけに先生たちはとても配慮されたと思います。だけどもその後、中学3年生を中心に新たに約50名の生徒が入塾しました。
その中には、もっと早く繋がっていれば・・と感じる子も少なくなかった。学校と協力体制を作ることで子どもたちをサポートする手が倍以上になる、と思いました。

その後現在に至るまで、各学校とも、対象生徒の教室での様子の報告や相談、情報共有などをさせていただいております。




学校と協働した中学3年生への受験サポート

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、子どもたちの学習環境にも大きくありました。中でも、高校入試や大学入学共通テストなど、将来の節目の一つを目前にした子たちの不安は想像以上だったと思います。

2020年秋、中城村は地方創生臨時交付金を活用し、受験を目前とした中学3年生の不安を解消とコロナ禍の経済負担を軽減するための「中学3年生学習支援事業」を実施しました。
中学3年生を対象に、塾に通っていない生徒には中城中学校内の無料塾を開講し、すでに通っている生徒へは塾費用の一部を補助するというもの。
エンカレッジは中城中学校内の無料塾の運営村教育委員会から受託し、約半年の短い間でしたが、受験までのサポートに当たりました。

中城村内には、県事業として受託し運営している、生活保護世帯や準要保護世帯の子どもを対象としている居場所型学習支援教室がありますが、以前より懸念として上がっていたのは、苦しくても制度上そこにつなげることができない家庭の子どもたち。
中城村だけでなく、制度の壁はあちこちで耳にします。
この取り組みは、村内の中学3年生全てを対象とすることで、そうした子たちへも手を伸ばすことができたのではないかと思います。




学校だからこそ払拭される貧困イメージ

現在、浦添市では2校の小学校で放課後の学習支援を行なっています。
5、6年生を中心に、家庭状況を踏まえ、様々な角度から見て必要だと感じた子や保護者に担任の先生たちが声かけを行い、繋がってきます。

通ってくる中には、家庭環境や学習に大きく難はなく、積極性のある子もいます。これは、子どもたちが一括りにされていると感じないようにするための工夫でもあります。

沖縄市でも1校で、小学校内の居場所を運営していますが、ここでも同じような工夫で先生たちが子どもたちを繋げてくれています。
この居場所の対象となるのは、主に家庭環境が児童の生育環境として整っていない家庭の、放課後の居場所がない児童。例えば、保護者が夜の仕事をしていて、こどもが家にいる時間に不在だとか、生活保護を受けている多子世帯です。

子どもたちの家庭状況特定を防ぐため、学校側のリストには上がっていない子の放課後の居場所や学童代わりの利用も、その困り感・必要性に応じて受け入れています。

私たちエンカレッジの支援の中心は貧困層にあるとされている子どもたち。そのためエンカレッジ主体で募集をかけると、その居場所の貧困対策の色が強くなり、子どもや保護者へ引け目を感じさせてしまう危険性も少なからずあるのは事実です。そしてそう感じさせてしまうと、必要としている子が繋がってこない、情報が行き届かないパターンも出てくる。
ほとんど毎日顔を合わせる先生たちから「もう少し勉強頑張ってみよう、苦手なところを無くしていこう」、と誘われると、受け止め方がまた変わってくるのではないかと思います。



ゴールは皆一緒だから

学校内に居場所があることで、スムーズになったこと、家庭の負担がより軽減されたことも多くありました。
学内にあるので、保護者は送迎の負担が軽減され、助かっているという声は多く聞きます。特に車社会で、平日でも渋滞が多くみられる沖縄県では、送迎は結構大きな負担だと思います。
その負担軽減に加え、学校にいる、という安心感ももたらしているのではないかと思います。

学校内の居場所を担当する私たちエンカレッジとしては、学校との連携がよりスムーズになり、学校での状況や家庭状況のヒアリングやサポートについての相談がしやすくなったと感じています。
また、校内の施設の一部、例えばコートや運動場遊具などを使わせていただけることもあり、特に生活指導や社会性形成指導に重きを置いている沖縄市では、その計らいのおかげで居場所でできるサポートがより充実してきていると感じます。

当たり前ですが、今後考えないといけないと感じていることは、子どもたちが求めていること、必要としているサポートは必ずしも同じではないということです。放課後の居場所が必要な子、塾のように学習支援や学習環境が必要な子、放課後デイサービスのように専門的な福祉サービスが必要な子、あるいは他のアプローチが必要な子、それぞれ。
より見合ったサポートをするために、私たち大人はそれぞれの持ち味を活かし、垣根を超えて連携し合わないといけないと強く思います。

学内外に関わらず、子どもの居場所作りをする上で一貫して変わらないのは、今来ている子どもたちの子どもが貧困に陥ることがないようにすること。貧困の連鎖を止めること。
そしてすべての子どもたちが等しく夢に向かって安心して学ぶことのできる環境を作ろう、という目的は、学校も民間も同じだと思います。
学校をプラットフォームとして私たちができること、引き続き模索していきたいと思います。




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