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「強く決意し行動することで必ず叶う」と気づかされた修行時代のエピソード

東京に出て、洋菓子店での修業を始めたのは高校卒業式の翌日からでした。
今の私の基礎となった掛け替えのない大切な期間です。
 
修業先の社長からは5年はかかると言われたものの「3年で卒業します」と宣言し、言葉通り3年後に全部署を回り卒業することができました。

作り出すことができた価値ある2年間を無駄にしないよう、更なる自分の知識や経験を高める為、別のお菓子屋さんでアルバイトをしながら、勉強させていただきました。

合わせて当時の私には「絶対にヨーロッパに行く」という夢があり、アルバイトのお給料は寂しいものでしたが、旅の資金「50万を絶対に蓄える!」と強く決意し、目標を定めました。

アパートにお風呂はなく、友人や知人に湯沸かし器のお湯をいただき入浴したこともありました。

銭湯に行くのも貴重で、週に1度くらいしか行くことはできません。
 
そんな貴重な銭湯で、ある出来事が起こりました。
 
当時はいたずらをした子供がいれば、他人様の子供であっても注意することが今より当たり前だった時代。
 
ある時の銭湯で子供を注意する出来事があり、自分では諭すようにその子に伝えたつもりだったのですが、その子が泣きだしてしまいました。
 
すぐに私が発した「ごめんね」の言葉を置きざりに、子供が駆け寄った先には大柄で強面のお父さんが座っています。
 
「・・・・・」
 
こっそりと抜け出そうとしたのですが、子供が指さす先に立ちすくむ私を強面のお父さんが呼び止めます。
 
濡れてつるつる滑るはずの床は、一瞬で底なし沼に変わってしまったかのように私の足取りを重くさせました。
 
意を決し、親子に近づくとお父さんの行動は私の予想を裏切り、子供を叱り、私には謝罪の言葉を掛けてくれました。
 
それでもいたたまれず、そそくさ着替えをしていると、後を追うように出てきたお父さんが牛乳をごちそうしてくれると言ってくれたのですが「大丈夫です」と断り、逃げ出すようにその場を後にしました(笑)。

その後、その銭湯には行かないようにしていたのですが、ある日、友人が遊びに来たので一緒に銭湯に向かうも、いつも通っている銭湯はお休み。

しょうがなくトラブルのあった、あの銭湯に行くこととなりました。

あの強面顔が頭に浮かびます。

恐る恐る入ると、引きが強いのか、あの強面お父さんとばったり。。

「俺を避けているだろ」
 
即答で「はい」と答えたら、「見た目で判断するな」と言われ、

「それだけではないです」という言葉はぐっと抑え、感じ入るところもあり、それからは、その銭湯に再び通うようになりました。

少しずつ強面にも慣れ始めたある日、お父さんから「飲みに行くか?」と誘われ、断ろうとしたのですが、多少強引に誘われ(笑)、同行することとなりました。
 
向かったお店は大盛況。
あまりにも大盛況で、注文したお酒は出てきません。
 
完全なワンオペ状態。

お父さんのイライラメーターは上がっていきます。
 
お酒を飲む前から真っ赤に顔を火照らせるお父さんを前にいたたまれず、従業員さんに「お手伝いしましょうか?」と思わず声をかけると「お願い!」とのお返事。
 
そこからお父さんを置き去りに(笑)、カウンターの中で洗い物やお酒の提供を営業が終わるまで手伝いました。
 
すると、そのお店の従業員さんから「明日も来れる?」と聞かれ、これもご縁と思い。

昼間の仕事でヘトヘトの体に鞭打ち、しばらく手伝うことにしたのです。
 
そんな日々が続き、気づけばヨーロッパ行きの資金目標50万を手にしていました。

予期せぬトラブルからご縁をいただき、手にした50万。

この時、強く決意し行動すれば必ず叶うと気づかされました。
 
そして格安チケットを手にヨーロッパへと旅立ちました。

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