フェティシズム
フェティシズム
何かに対しての偏愛、もしくは偏愛をする人。略してフェチと言っているらしいのですが。
匂いフェチ、髪フェチ、声フェチ、脚フェチなど、いろいろありそうですが、
私は声フェチのような気がします。
周囲の人が、そのように言われるので、おそらくそうなのでしょう。
なんとかフェチは、特別なことではなく、100人いると80人くらいは、何かに対しての強い好みがあるとか、つまりは、偏愛があるらしいのです。
自身が意識していない場合も含めてですが。
声フェチと言われて、反論なく、そうかもしれないと素直に納得するのは、声に対して極端な好みがある故でして。
随分前のことですが、まだこちらに来ていない頃ですから、見目麗しく純真無垢だった頃のこと、お世話になっていた祖母の家によく電話をかけて来られる方がいまして、私はその電話線を通した声に、なんて素敵な声なのかしら!とすっかり舞い上がり、所謂声に恋したのですね。
ところが、ある日、ちょうど桜咲き、お花見シーズンのこと。
そうです、このところ、桜頼りが出てまいりましたので、
ふいに思い出したのですが。
祖母の家は、随分と庭が広く、ソメイヨシノの立派な木が5本か6本あったはずで。他へ出向かずに、自宅でお花見会を催していまして。
そこへ、素敵な声の主が、お兄様とご一緒においでになりまして。
私の舞い上がりも、一気にぺしゃんこに冷めてつぶれてしまったのですね。
声が好みで、声からあれやこれやと、姿、顔、などをイメージしてしまっていたのですが、
まるで、まるで、どれひとつ似るところなく、
全くのイメージとは正反対の御仁でございまして。
それ以来、声だけで判断してはならない、声だけを頼りにするのは、よしなさいと、自身戒めておりますが。
しかし、やはりフェチはフェチなのでしょう。自身では戒めているつもりですが、
周囲の人達が感じているのですから、隠しようもなく、声フェチで、声に過剰反応してしまうようです。
周囲の人を観察しますと、
脚フェチ男性、髪フェチ女性、匂いフェチ女性、胸フェチ男性と、、います、います。多種多様に。
ところが、己のフェチを絶対に周囲に感じさせない強者もいますので、
「あなた、なにフェチ?」
と思いきって訊ねてみましたら、
「偏愛などない!残念だったな!」
とは。
いやいや、必ず何かあるはず、いつか暴いてみたいと思っておりますが。
人間の好みは十人十色ですから、世の中がまあるく収まるのでしょう。私の好みの声も、大嫌いの人もいますので、プラスマイナスでまあるく収まるのですね。
いやいや、世の中は素敵です。