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大河ドラマ「光る君へ」感想 (5)


 関東では雪が降り積んでいるという今日この頃。
 大河ドラマは佳境を迎えているらしい……

 とはいえ、我々視聴者的にはネタばらしを見守る会なので。
 それよりも、ついつい他のことが気になってしまった回でした。

 以下、感想。
(いつもより辛口ツッコミ多めかも ^^;)



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*冒頭。
 倫子さまのプチ女子会。
「身分の低い人が五節の舞姫なんて~」
って、それはさすがに言わんのでは (^^;
 倫子の言葉を引きたたせるためとはいえ、あからさまに当の倫子の左大臣家にケチをつける形になるわけだし、ちょっと不自然なセリフと思っちゃう。

 侍従宰相ザブングル加藤さん、一瞬だけ?(しかも静止画)
 当時、公卿補任でみるに侍従は藤原公季がそうみたいだけど(え、あれ公季なん??(^^;))
 一応、公式サイトでは架空の人物とされているし、一回のみの御出演だそう。

 なかなかハマっておられる。。

*寝込むまひろのために、胡散臭い野良法師と憑坐のコンビを召喚。(思ったより衣は小綺麗なものをお召しだ。ありがたみアップのための必要経費なのかな)

 対象者の母が死んだことを前情報としてちゃんと取り入れてるあたり、現代のインチキ占い師みたいなもんだろうね。

 水垢離(みずごり)というのは神仏に祈願するために冷水で身体を清めることだそう。
 なお、身分が高く裕福な人たちは名の知れた高徳の僧を呼んでちゃんとした祈祷をしてもらいます。
(しかしこうやって見ると為時邸、せまいな……)

 それにしても母の件で倒れてしまったのに母ネタ降臨させるのどうなの。脚本的に。
 そこはまひろも飛び起きて追っ払ってもよいとこでは。うーん……起きるタイミングがちょっとよくわからない。
 ギャグシーン(だと思うんだけど)やっぱり理解できない (-_-;) まひろ、意外と元気だったし。


*そして出たー、今週の花山天皇! 絶好調ですね。
 結局やっぱり蔵人頭を務めている秋山実資、表面上は他の近臣たちと歩調を合わせてるんだね。
 でもごめん! 前日に某IPPONグランプリ番組見ちゃったから(優勝おめでとうございます)大まじめな良いセリフなのに笑っちゃうw(そして目力が強いw)


*そういえば。
 義懐といえば枕草子にこの頃のことが描かれてますね。個人的にこのエピソードが大好きで。

(略)義懐の中納言の御様、常よりもまさりておはするぞ、限りなきや。色合いの花々といみじうにほひあざやかなるに、いづれともなき中のかたびらを、これはまことにすべてただ直衣一つを着たるやうにて、常に車どもの方を見おこせつつ、ものなど言ひかけたまふ、をかしと見ぬ人はなかりけむ。(略)

【訳】
 義懐の中納言さまのご様子がいつもよりいっそう優れていて、この上もない。他の方々も、色合いも華やかににおいたつばかり。いずれとも優劣をつけがたいなかにあって、中納言さまは帷子を目立たぬように下に着こめ、まるでただ直衣一枚だけを着ているかのように着こなしてらして、庭に立てた女車の方を見られながら、何ごとか話しかけてらっしゃるのを、素晴らしいと思わない人はいなかったでしょう。

枕草子 小白河といふところは


 小一条大将こと藤原済時の邸にて催された法華八講でのできごと。
 ここには道隆や実方もいて、みんなで女性陣に戯れかけたりなどしている。なかでも時の人、義懐が目立っている様子がことさらにきらきらしく描かれている。

 その後、法要の途中だが用事があるからと退出しようとした清少納言に、
「やや、まかりぬるもよし(やあやあ、退くもまたよし)」
と、微笑んだ義懐。
 これは、五千人の慢心した者たちが釈迦の説法を聞かずに退出しようとしたときに釈迦がかけた言葉。義懐はそれを引用して清少納言をからかったのだ。
 その機智に感激した清少納言は、
「五千人のうちには入らせたまはぬやうあらじ(あなたさまも、五千人の慢心者のうちに入らぬともかぎりませんわよね)」
と、文を送って切り返した、という話。
 ユーモアのある人だったんだろうな、と思えますね。


*内裏では弘徽殿女御さま、はやくも床に臥された!
 そしてご寵愛深いゆえ、ご懐妊の噂が……。


*F4も、ピリピリしはじめた??
 若者たち、あれこれ好き勝手言ってるけど、義懐は行成の叔父なのになぁ……などと思ったり (^^;
 面白いほど左右を見て、めっちゃ先輩たちの顔色うかがってる行成。まだ中学生くらいなのに、この頃から苦労人気質か……不憫 (´•ᴗ•̥`)ホロリ

 個人的には、斉信って自分の意見ははっきり言うし、ちょっと短気なイメージがあるので紙グシャァしたり、憮然として弓場に向かたりする姿、なんか納得。

 公任はですね。ツンケンしてるというよりナチュラルボーン嫌味なタイプ、と思ってるので。
「俺より位が高くなってから〜」とか、ごく当たり前のように言いそう。ホントのことだろ? みたいな感じで。

 そしてこの歳ですでに己の才能を知り筆を売りにしてるのか、行成。たくましすぎてまたしてもホロリしちゃうよ。
 道長のことが気になる様子の行成……
(聞くところによると、この行成は今後、道長に敬愛を抱いてついていくっぽい? のかな?)


*ふたりごはん(違)兼家と道長。
 この兼家って、なんか気に入ってるよね、道長のこと。
 しかし「嘘も上手につけるように」ってw
 それは、道長には生涯無理な気がする (^∀^;)

「私は帝がどなたでも変わらないと思う。大事なのは支える者が誰か」
 という道長に、兼家、
「その通りじゃ」
 そうね、それこそが、天皇家と藤原の本質だもんね。
 しかし兼家パパ、「道隆が死ねばお前か道兼か小千代(伊周)が後を継いで〜」は不穏、不穏。


*詮子さまに父との和解をすすめる道隆。
 道隆は下の二人よりも目配りができるタイプだと思ってる。枕草子なんかでもサービス精神旺盛なイメージあるよね。
 えっ、詮子さま、裏の手ってなんですか???


*花山帝と近臣たちが勢いづき、関白や左右大臣はイライラ……
 三巨頭の愚痴吐き飲み会。(そういうのもっとちょうだい!)
 酔いどれ関白さまかわいい! 「いつもとお声がちがいますな〜」かわいすぎる!!
(ちなみに、公任のことさえなければ……などと言っておられますが、史実ではこの後の12月15日、関白さまの三女も花山帝のもとに入内を果たします『小右記』)

「我らの意見が合うのは何年ぶりか」「初めてかも」
などと笑いあうおじさまたち。ほんとかわいいな。
 でもたしかに藤原氏長者と源氏長者、互いの家の利権を考えればなかなか意見が合致することはないよね。

 そこへ猛スピードで駆け抜ける倫子さま。(猛スピードで駆け抜ける倫子さま???
 そんでそのとあと、しょんぼり顔丸出しで謝りに来る倫子さま……
 麗しい、のか? 上級貴族の姫としてその行動はどうなの (^^;


*そして道綱&母が登場!
♪千代の坂 越えてぞ~
 などとおめでたげな歌を歌っている時はいいお声なのに「はい!」はずいぶん無邪気だったなぁ、道綱。(アラサー、二児の父)
 そして母(今作では寧子)……百人一首や蜻蛉日記でおなじみの道綱母!

 百人一首に採られている和歌は有名だけど、実は蜻蛉日記にはそれに対する兼家の返歌もちゃんと載ってる。

(略)つとめて、なほもあらじと思ひて、
 なげきつつ 一人寝る夜の あくるまは
 いかにひさしき ものとかは知る
と、例よりはひきつくろひて書きて、移ろひたる菊にさしたり。返りごと、
「あくるまでもこころみむとしつれど、とみなる召使の来あひたりつればなむ。いとことわりなりつるは。
 げにやげに 冬の夜ならぬ 真木の戸も
 おそくあくるは わびしかりけり」(略)

【訳】
 翌朝になってこのままではおるまいと思い、
“嘆きながらの一人寝の夜がどんなに長くつらいものか、門を開ける間さえ待てないあなたにはわからないでしょうね”
と、いつもより改まって文を書き、色変わりした菊に挿して持たせてやった。返事には、
「門を開けてくれるまで待っているつもりだったが、急な使いが来てしまってね。きみの言い分ももっともだ。
“ほんとうにきみのいうとおり。冬の夜はなかなか明けずつらいものだが、真木の戸だって、なかなか開けてもらえないのはつらいものだよ”」

蜻蛉日記 上巻:天歴八年


 道綱母のもととで過ごしていた兼家が「あ、用事思い出した」とか言ってよその女のもとへ行ってしまい、イライラして待っていると明け方、何食わぬ顔で戸をたたく。拗ねて開けずにいると、また女のもとへ戻ってしまった兼家。(いやこれ、どっちもどっちだな (^^;))
 そんな翌朝のやりとりなんだけど、夜が『明くる』と戸が『開くる』がかかってて、道綱母の才が光りますね。それをうまく利用して茶化して返す兼家もいい。わざわざ色あせた菊に結びつけるとこも好き(笑)

(ちなみにこの和歌、大鏡や拾遺集の詞書では、蜻蛉日記に記されている『これより夕さりつかた(我が家から夕方)』の文がないので、“せっかく来たのに戸を開けてもらえない兼家”っぽく思わされるけど、道綱母のもとから夕方に嘘ついて別の女のもとに出かけて行って朝帰りしてきたらそりゃ締め出されてもしかたないなって思えるね。印象がだいぶ変わるから、詞書は大事)

 いっぱい兼家の文句が書かれてる蜻蛉日記だけど、私はこれのおかげで兼家のいい男っぷりが喧伝されてると思ってます。

 蜻蛉日記は大好きなのでいつか記事にまとめたいですね。
(あとこのシーンで二人の後ろに色紙貼屏風あるのが気になる和歌オタク)

*いや、「ホッホー」ってなに(^^;
 まひろと直秀、いつのまにそんな合図できてたんや。

*ところで道長フォント、字が汚いことよりも字がでかいことのが気になる……役者さんがほんとに書いてるっていうのは味わい深いけども。

*さて出ました六条の荒屋。
 六条河原院といえば百人一首の河原左大臣こと源融の邸宅で、源氏物語では源氏の六条院のモデル。そして某院の荒屋といえば、夕顔が御息所に取り殺されてしまった場所。いわくしかないな。

*その頃。
 安倍晴明、伏魔殿の物の怪に会うこと。
という感じの右大臣家。
「私が死んだらこの国の未来が閉ざされる」のはなんでだろ……晴明は意味深セリフ多い。
 対する兼家「この国の未来を担っているのは私だ」←それ言っちゃっていいやつ? 小声だったのかな?
 燈火を消した薄明り、御簾の向こうの黒束帯軍団……この演出はぞわっとした~ほんものの百鬼夜行やないかい。

 ところで道隆のとなりは誰だろう。重信? なのかな?
(ただまあ、帝の子を呪詛するっていうのがどのくらいの誰々に益があるかは悩むところ。もちろん、懐妊した女御の忯子さまにだって大納言・藤原為光という後ろ盾のパパがおるわけだしね)


*さて、告白シーン
 この緊迫した空気で柄本道長のポカン顔はなんというかある意味、すごく不気味。
「あの顔は一生忘れない」……まひろちゃの怨念も、迫真の演技すぎてもはやホラー。
 なかなかどうしても、いい雰囲気にはならない二人。私は切なさよりもハラハラしましたね。これ、どう収めるんだろうって。

 見返してたら直秀、裏から去るのかと思いきや柱の前にわざわざ出てきたんだね。帰るぞアピール? あとはよろしくやれと?
 どっこい、「まひろを頼む」って、道長、去るのその方向???
(これはセットの構図がよくないのでは汗)
「帰るのかよ」
は、テレビの前の視聴者みんなの心の声だよ、マジで。
 帰るのかよ、道長!!

*大急ぎで邸に戻り、なりふり構わず道兼に詰め寄る道長。
「兄上、6年前、人を殺めましたか」
「やっと聞いたな、お前」
 ひょわーっ、ここすごいな、この返し!
 個人的に今作の脚本、流れがわからないことも多いけどそのぶん、逆に意表を突かれてドキっとすることもある。このセリフも「おおっ」てなったな。
 6年もの間、同じ屋根のしたで暮らしながら互いに腹に抱えていたものがあったというね……。
 でも「あの女が死んだのはお前のせいだ」っていうのは、ものすごい無茶理論。

 そしてすべてを知りつつ、生死をかけんばかりに殴り合う息子たちを見ながら高笑いし、「道長にこのような熱き心があったとは。我が一族は安泰だ。今日は良い日じゃ!」と言い放つ父・兼家。
(おめでとうございます、今作の傍若無人No.1です)

 道長の顔を見る道兼。呆然とする道長……。

(ところで道兼、几帳くるくるしてどうしようとしてたんだろ。おかたづけ?)

*いにしえの月9か韓ドラか? というまひろのトボトボ帰宅。
 夜の平安の都で女子の一人歩きは危ない……直秀、送ってくれなかったの? (>_<)

 恋に破れ、父の胸で号泣するまひろ……。


 つづく。


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 というわけで、今週はネタばらし回。でしたねー。

 大事な回なんだけど正直ちょっと、停滞していたような。
 もちろん、登場人物たちのなかでは重大事件とはいえ、我々視聴者はすべて知ってるし、6年前のことだしとか、いろいろ。
 演じ方のこともあるかもだけど、どうにも間延びしてる感じがしちゃって哀切は胸に迫らなかった……残念。
 かわいそうだなぁと普通に思ったけどさ、それよりもその後の道長が道兼を殴るとこと、強い兼家に持ってかれた印象。段田兼家、見事な怪演。

(兼家は自身も身内や他家との政権争いを生き抜いてきた人なので、そこらへんの描写なり解説なりがあればもっと凄みも説得力も増す気がするけど、それはまだこれからも活躍するだろうし、そのあたりに期待しつつ……)

 しかし制作陣……平安オタクの心をわかってない!(涙)
(以下、今週のオタク的突っ込みポイント)

・F4の弓の練習が見たかった……! お勉強もいいけどさ、たまには片脱ぎで運動とかさ……!!

・文はどんな紙を何に結びつけて、誰がどう渡すかも醍醐味なんです!! メールじゃないんだからっ!!!

・いとはやはり弟専用の乳母? まひろの乳母は何故いないの? 貴族の姫君にとってはめちゃくちゃ大事よ、乳母!

・倫子さま~! 人前で顔をさらしてドタバタ走るなどはしたのうございます倫子さま~っ!
(大河、いろいろとエンタメドラマとして改変したり時代考証無視したりはしなくちゃだと思うけど、『光る君へ』に関してはこういうところ、とくに詰めが甘いのでは、と思ってしまいますね。
 数えで20歳を超えた姫君があんなふうに客人の横を猛ダッシュするのは(違和感あるけど)演出の都合ならまあいいとして、そのあとはせめて扇で顔を隠しながらこっそりと几帳越しにお声を発したりとか……せめてそういう段取りだったらもっとそれらしくなるのになぁ、とか)

・それよりなにより……帰るのかよ、道長!!!
 そんな荒屋にヒロインを置いて、素性もよく知らない男に託して……帰るのかよ、道長!!!(ツッコミn回目)
(直秀も、ちゃんと邸まで送ってあげて~泣泣)


 そんなこんなで、さて次回!
 甘々胸きゅん恋愛初期段階から一転、二人のこれからがどう描かれるのか、とても楽しみにしておりまする。

 そしてそして、清少納言登場!?(歓喜する枕草子ファン)
 私的には激渋のパパ・元輔にも注目です!!(歓喜する百人一首オタク)

(あっ、禿げてない! かっこいい!)

あと、
「おかしきことこそめでたけれ」
↑↑↑ この直秀のセリフも気になるところ……。


ではまた来週!


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