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大河ドラマ「光る君へ」感想 (24)


 noteまとめを忘れていることに気づく日曜。
 本放送、もう今日じゃん!💦

『光る君へ』、最後までちゃんと見届けますし、プラスアルファの発生イベントも楽しみまくるつもりだけど、とにかくちょっと内容的に疲れてきてるのがツラい……。
 X 旧Twitterでも呟いたけど、さわさんが亡くなったのに「めぐりあひて」歌がまだ詠まれてないのが今一番の不安ポイント。

はようより童友達なりし人に、年頃経て行き会ひたるが、ほのかにて、十月十日のほどに月に競ひて帰りにければ
『めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに
 雲がくれにし 夜半の月かな』

【訳】
昔からの幼馴染に何年も経って再会したのだけれど、会えたのはほんの短い時間。十月十日ごろ、彼女は月と競うようにして帰ってしまった。
(久しぶりにめぐりあえたのに、「あなたなの?」と見分けもつかないうちにあなたは去ってしまった。ちょうど雲隠れしてしまった夜半の月みたいにね)

紫式部集(新古今和歌集・巻16・雑上1499、百人一首57番)

 あれはマジ、恋歌じゃないところがいいんですよ!!!!!
 恋歌だったらフツウにありがちじゃないですか。そうじゃないんですよ、昔なじみの友人にあててるものだからエモくて深くて、もっと言えばねっとりした性質がにじみ出てて、紫式部らしさが出てるんですよ!

 ましてや私歌集・紫式部集では巻頭に配されてる。
 童友達こと、「筑紫に行く人の娘」とはその後もまめに文を交わしているし、ドラマのさわさんとは違って紫式部にとって大きな存在だったよう。
 百人一首効果で紫式部の和歌のなかでも有名なものにもなってるわけだし、詞書が長いおかげで送った相手や背景もはっきりしているというのに。
 なぜ……という感想しか浮かばないよねぇ。。
 恋愛メインのドラマが嫌い、というより根拠のあるものをバスバス切り捨てて根拠のない妄想ファンタジーを延々繰り広げられてるのがほんとにもう「なぜ…………(@_@)」なんですわ。
 大河ドラマとは、歴史ドラマとは……(@_@)

(ちなみにこの「筑紫に行く人の娘」は角田文衛説によると「平維将女」と比定されている。紫式部とは縁戚関係にあったようです)

 なにはともあれ、さくっと感想をば。


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*前週に引き続き、押せ押せ宣孝のプロポーズシーンからスタート!
「忘れえぬ人がいてもいいの?」「かまわん!」などと、若造とは違って度量の深さをみせた宣孝にまひろっちも思わずグラっときた様子。
(そりゃ宣孝もほかに正妻や愛人がそれなりにおりますしね(^^;))

 私はこの宣孝は「めぞん一刻の五代さんだ!」と思ったのだけど、Xにてラオウ説をお見かけして大爆笑してしまった。


*いっぽう、京では伊周の生霊に怯える母・詮子のため、帝が伊周&隆家兄弟の流罪を赦すことを決定。
 日本紀略によればこの大赦、“常赦所不免”といってかなり大々的に罪人を放免するものだったようで、(国母がいかに重んじられていたかがわかりますね)そうなると伊周&隆家はどうなる? となった。そして行われた陣定。

 その記録が小右記にくわしく残っているのだが、

①罪は赦すが召喚は勅定によるべき。
 →源俊賢、公任、平惟仲、実資。
②罪は赦すが召喚は明法家(法律家)に勧申させるべき。
 →斉信、誠信、顕光。
③罪は赦すが召喚はせぬべき。
 →源扶義。
④罪は赦すが召喚は先例を調べるべき。
 →懐忠、公季。

の、四意見に分かれた。
 なお、道長は意見を秘め、一条帝に奏聞。結果、以前にも勅定によって赦された者の例があるといって勅定によって伊周&隆家兄弟の赦免&召喚が決定された。
 という。

 この公卿会議の実態、おもしろいですよね。
 道長はマジで権力集中しつつあるな、とか斉信と誠信はやっぱり兄弟だし同調率高いのかな、とか実資が俊賢の意見に同意してるぅ!! とか扶義みたいに意見一人ぼっちだと気まずくないのかな、とか……いろいろ勘ぐっちゃいます。
 ドラマではなんかちょっと発言がズレていたような。そして道綱が紛れ込んでいたような。
(ご都合もファンタジーも多いけど、なんで変えたの、なんか意味あるの? っていう細かいツッコミもぽろぽろあるよね、このドラマ……)

*ところでこの後の、

道長「そもそも斉信が自分が出世するために騒ぎすぎたんだ。してやられた~」←(⁇)

 いや…………ほんとにこういうの、シラケるんだけど。。
 斉信は記録によるところでは、頭がまわり、ちゃっかり出世していくタイプだと思うし、性格も微妙っぽいヤツですが、彼の名誉のために弁明するなら、今回のように事件を私欲のために利用した、などの史実的根拠はないはず。
 それに長徳の変で一番得をしたのは斉信ではなく、どう考えてもやっぱり道長。
 さすがにこのセリフは無理があるぞ、クリアクリーン道長。


*さあそして!
 さっそく帰ってきた隆家はなぜか山盛りのシジミ(出雲産?)を献上して道長に追従の姿勢を見せる。
(うそやろ、一家離散の憂き目にあってるのに……はやばや兄と決別するつもりか (?_?))

 これ、愚管抄のあれが下敷きかしら……名簿提出したってやつ。

“ある日、道長邸に参上した隆家はとくに話すこともないので自分の姓名を書いた札(名簿)を懐から取り出し、差し出して帰った”

愚管抄 巻第三

ってやつ。
 愚管抄の著者である慈円は隆家について、「たいそう賢い心の持ち主であったと伝えられている」と結んでいる。

 でもドラマではとにかくシジミ推しのインパクトが強すぎてなんだかなぁなシーンでしたねw


*いっぽうの越前インターナショナルラブファンタジー。
 切々と口説く松下洸平顔の周明にもほだされず、まひろは彼の嘘を見抜く。
 逆上した周明に刃を向けられても、毅然とした態度でそれを制しました。
(荒屋ではなんだかうやむやだったのに、成長したね、まひろっち……(?))

 しかし周明との関係、前回から急な展開すぎてなかなか波に乗れませんでした。。
(そして波に乗れないままどうやら周明退場のもよう。わざわざ対馬やらと匂わせてったから隆家の刀伊の入寇時に再登場が…………あるのか!? ないのか!? どっちなんだおい!?)


*いっぽうの京。
 帝は公卿の反対を押し切り、定子と姫を内裏へ呼び戻した!
(これが奥の手です。定子は袈裟をつけていない=還俗(げんぞく)。文字通り、出家の身から俗世に戻ること。そんなんアリ⁉)
 職曹司は枕草子でもおなじみの定子の仮殿。本来は中宮職の官庁(つまり役所のオフィス!)
 大内裏の御殿に正式に入ることができない定子のために急遽あつらえられたわけです。
(方違えとか物忌とかで、中宮が滞在することはわりとよくあったらしいですが)

 それでも帝と定子さま、(そして清少納言)の涙……
「会いたかった」とか、
「これからは私が守る」とか、
 純愛じゃないですか!(さすがに思わずもらい泣きしちゃったわ( ;∀;))


*いっぽうの越前(今回忙しいな)周明が去り、ボスの朱仁総が動き出して為時は苦悩の日々。


*そんななかまひろは、いつのまにかすっかり心を奪われていた? 宣孝との結婚を宣言!(やっぱりいつも急!)
 岸谷為時の変顔と佐々木宣孝の手紙エコーボイスには笑ったw


*次回、あやしげな朱仁総にはご注意。
 まひろはふたたび舟で琵琶湖を渡り、ついに三日夜餅!


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 朱仁総はですね、後年、定子と商品代金の支払いの件で一悶着あるんですよね。
 ドラマでは帝も「定子のために白粉と扇を」と仰せだったし、まだまだ何かと朱さんも出てくるんだろなぁ。
 なにせ中関白家はこのドラマでは完全に“積悪の家”。
“帝は政務もなおざりに連日、定子のもとに通い続けた”らしいので。。
(源氏物語の桐壺帝だってやってねーよ、そんなこと)
 しかし帝のお腰輿! よかったですね〜!

 あと、佐々木宣孝氏のこれも好きw



 さてさて、今週のnoteも遅くなった言い訳としまして、実は私、NHKカルチャーの講座を受けに京都に行っておりました!

 光る君へ、唯一の時代考証・倉本先生!
 そして作家の澤田瞳子先生の対談型講座。
 お二人とも語り口がビシバシと軽快でなおかつユーモラスで、ドラマの裏話もオフレコで聞けたりなど、とても楽しい席でした(*^^*)

 そしてこちら↑↑↑
 倉本節のファンなので御著書はたくさん読ませていただいているのだけど、やっぱりこの本が私のなかのベストでして。

 いまは今月刊行されたばかりの御遺誡本を読んでるのですが、秋には『平安貴族の夢分析』が文庫化されるそうで、こちらもまた楽しみです(*^^*)


 澤田先生もこの講座でおっしゃておられたのですが、こうやって大河ドラマで平安時代が描かれることによって、史実や人物への誤解が生まれる危険性はたしかにあるけれども、それに不随してイベントや書籍の刊行など、メリットもたくさんありますよね。

 文句はいえども、感謝も忘れずに、これからも視聴を続けていこう。うん。(そして冒頭に戻るw)

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