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大河ドラマ「光る君へ」感想 (4)


 2月に入りました。
 入っちゃいました。
「1月は居ぬ、2月は逃げる、3月は去る」
とはよくぞ言ったもので、2月なんて28~29日しかないんだから、ほんとあっとゆーまやね。

 大河ドラマもじわじわとお話がすすみ、今回と次回が序盤の山場だそう。

 以下、感想。


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*せっかく道長と出会えたのにまひろ、散楽の毎熊さん(役名失念してた。直秀でしたね)のほうに夢中(^^;
 たしかに謎の人物だけど、いまは道長のほうが先決では。レアキャラだし。

*「屋根の上?」
って、妙に驚いてた道長。これってなにか大事なワードなのかな。
 後々、屋根の上にやたら乗ってる直秀に、何か気づくものがあるとか(たぶんそう)

*偽りに偽りを塗りかさねてこじれていく二人~~
 されど真意を見抜く道長。兼家も言ってたね、これ。
 今作の道長……というより、史実でも道長ってそういう確かな嗅覚を備えた人だったと個人的には思ってます。

*ところで、 “いつもと違う今日の身なり”?? は、ちょっとわかりませんでした。そんなに貴族の姫君っぽさあったかな? おなじみのおみ足丸出しの 便所スリッパ 紅いサンダル履きだし……
 装束詳しくない勢には一緒にしか見えないよ(ごめん)

*そしてまひろ、ちゃんとした自己紹介。
 父の位から、無官であることまで。
「気にしないで」はツラい。逆なんだよなぁ。
 そして身分違いの恋にお約束の、高いほうのどんでん返し身分バラし…………の前に、未来の夫が登場。
(宣孝、お前とか言っちゃったよ、あぁー)

*そしてようやく貴族の娘っぽいまひろ!
 騎馬の後ろで虫の垂れ衣。
 そうそう、やっぱこうでなくっちゃ!(*^^*)

*一方の道長と毎熊直秀。
「娘から手を引け」と言われた道長の
「娘とは誰だ?」って、何?
 これって牽制でわざと言ってるってことなの?
(うーんんん、こういう言い回しがやっぱりまだ馴染めない……)

「そういうことは散楽のなかだけで言え」
 そしてなんでくりかえしたの、百舌彦w
 せっかくいい決めゼリフだったのに、なぜw
(ギャグシーンなの? もうわからん)

*「身分とは難しいものでございますね」
「貴族のなかにも格の差がある」
「学問とはなんのためにあるのでしょう」
「それは、父上も人だからだ」
「それもまひろが人だからだな」
 宣孝との会話がよかった。すごく重要なセリフばかりだよね、これ。
「思いが屈したら、わしに吐き出せばよい。心の荷を軽くすることはできる」
 良き。
 運命の恋! キラキラァ~ン…… というわけではないけど、こうやって支えてくれる存在なんだね~宣孝は。実際に歳の差もかなりあるし、すごい包容力だ。

*宣孝という人は己を貫く堂々とした人柄であったらしく、枕草子にもちょっと面白いエピソードで登場する。

(略)なほいみじき人と聞ゆれど、こよなくやつれてこそ詣づと知りたれ、右衛門の佐・宣孝といひたる人は
「あぢきなきことなり。ただきよき衣を着て詣でむに、なでふことかあらむ。かならず、よもあやしうて詣でよと御嶽さらにのたまはじ」
とて、三月つごもりに、紫の濃き指貫、白き襖、山吹のいみじうおどろおどろしきなど着て……(略)

【訳】
((略)どんな身分の高い人でもたいそう粗末な服装でお参りするというのに、右衛門の佐・宣孝という人は、
「つまらないことだ。ただみなと同じように浄衣を着て詣でてなんの御利益があろうか。御嶽の蔵王権現が必ず粗末な身なりで詣でよとおおせではあるまい」
と言って、三月の末、濃紫の指貫、白い狩衣、派手な山吹の内衣などを着て……(略))

枕草子 あはれなるもの

*御嶽詣、つまり今の吉野山の金峯山に参詣するにあたり、貴族でも誰でも質素な身なりで行くのが常識だったのに、宣孝は「関係あるかい」と派手な装束で参ったのだという。
 見た人はみなは呆れたけれど、帰山後しばらくして宣孝が筑前守の任につくことになり、人々は感心したという逸話。
 この佐々木宣孝ならやれそうだ。
(関係ないけど、紫式部って清少納言に夫のことを書かれてるの、嫌がりそうだなぁ。たとえ褒め褒め話でも(^^;))

*さて。
 社畜みたいな安倍晴明の夜を徹した占い。
(あれでなんでいろいろわかるのか不思議な陰陽道の算木)
 東宮は(予定通り)懐仁親王。
 しかし秋山実資、夜に見るといっそう黒いな(^_^;)
 師貞親王、破天荒だけど率直なんだよね。
 自分で見たことをもとに自分の意思で判断する。形式にこだわらず、自分で歩もうとする。
 有職故実の人、実資には合わないだろなぁ。
(そしてこういう人、そりゃあ施政者にはめざわりだよね。政権を牛耳りたい人的には『玉』はお飾りなのがベストなんでしょうから)

*冠すぽーん! 事件は古事談の説話。

 花山院、殿上人の冠を取らしめ給ひけり。その中、惟成の弁取られ奉る。関白参り給ひけるに、冠を着せず、と云々。関白問ひ給ひければ、「みかどのめしたれば」と申しけり。よって不憫の由奏せられければ、その後、惟成の冠を取らしめ給はず、と云々。

【訳】
(花山天皇はよく殿上人の冠をお取りになった。ある時、惟成の冠も取られてしまわれた。関白が参られた時、冠を着けないままでいた。関白(頼忠)が「どうしたのか」とお尋ねになると、「帝のお召しなので」と申し上げた。そこで見苦しい由、関白が奏上なさったので、以後、惟成の冠を取るのはおやめになったということだ。)

古事談 第一:十八
花山天皇、殿上人の冠を取る事

 まだ十七歳とか、中高生くらいの帝。男子学生が仲間うちでズボンずらしする感覚だったんかな、と。もちろん、ただの説話なんだけども。

*外孫が東宮となり、さっそく兼家のもとに媚び媚びしにいく貴族の面々。いやぁこれが、The平安王朝の貴族だなぁ~という感じ。
「にぎわっておるな」とか言いつつ、内心あせってる左大臣・雅信は倫子に入内をすすめてみたり。ほんと今さらよ、父上。
 そして猫ちゃん! 紐でつながれた飼い猫のキジシロちゃん!

 猫といえば、一条天皇は大の猫好きで有名だし、源氏物語クラスタならすぐに浮かぶ、女三宮のあの場面。↓↓↓

数年前に撮影した風俗博物館の展示
猫ちゃんんん!


 しかしこちらの父上はおやさしいなぁ。

*おっと鼠小僧みたいな盗賊の毎熊さん(直秀やと何度言ったら……)
 貴族の邸宅に忍びこみ、いっさいがっさい盗んでいきました。
(毎熊さん、去年の大河で初めて知った俳優さんなんだけど男前やね)

 そして公式HPに載っていた散楽の座頭の名前。輔保ってまさかアレですか?→アレ
 名前そのままじゃないあたり、モデルにするつもりなのかしら。
(ちなみに保輔の兄は保昌。武勇に優れた道長の家司で、和泉式部のだんなさまですね)

*翌日の姫女子会。
 盗賊が入ったのは左大臣家だった!
 いや、倫子さま、それってそんなに笑えること?^^;
 辻に立ったり馬にも乗ったりするというまひろに、
 倫子さま「盗賊みたーい」←これはさすがにちょっとひどいw

 今日のお勉強(?)は竹取物語。
 言わずと知れたかぐや姫のお話。
 まひろの言うように、かぐや姫の婚姻譚は貴族社会を風刺し、帝さえも拒む物語ゆえ、貴族の姫君には読ませてはいけないと敬遠されていたと聞いたことがあります。庶民の娯楽物語だったんでしょうね。

 身分など歯牙にもかけないかぐや姫の考えは颯爽としている、と言っちゃうまひろに、
「私の父が左大臣で身分が高いということをお忘れかしら」
と言う倫子さま。
 左大臣はこの時でいえば朝臣ナンバー2の官。たしかに、その姫君が笑い話にすることで場がおさまるよね。
 倫子さま、まわりをよく見てらっしゃる。

*東宮決定の次はまだ即位してもない帝の退位……さすがのワイルドスピード兼家フルスロットル。年齢考えたら、もちろんそうなんだろうけども。

 新帝についてよからぬ噂を流すという道隆の策は完璧だと思う。むしろたぶん、史実もそうだったわけよね。
(見返してたらこのシーンの道隆、微妙な顔してるな。嫡男とはいえ、このままではいけない、という焦燥が湧いてきた瞬間かな……)

*「身分なぞいいのに……」←まひろちゃん、逆逆~
 抜け出そうとする道長を止める道隆、よく見てる。良き。

*ああぁ~、円融天皇あぁ~~~
 せっかく目通りできて嬉しそうだったのに、円融帝に「去れ!」と扇を投げつけられ、頬をケガする詮子。
「人のごとく血など流すでない。鬼めが」
 冷たすぎる……正直やりすぎ感はある……酷い。
 でもこれ、いいセリフですよね……(鬼はお前だ)

*「帝に毒をもったというのはまことでございますか!?」
 詰め寄る詮子にぽかん顔の兼家と三者三様の兄弟の反応。

 しかし、ここにきてやっと輝きましたね、吉田詮子さま。
 かわいこぶってる 少女の演技にはさすがに大人すぎる姫だったけど、本領発揮という感じ。悲壮感が強くにじみ出ていて見る者の憐れを誘う……素晴らしかったです。
(「薬など一生飲まない」っていう宣言、ゆくゆくやってくる詮子さましょっちゅう不調になる伏線か)

「何も知らないの、嫡男のくせに!」←これは道隆に効く。
 かすかに震えながら、兼家に酌をする井浦道隆……良き。
「事情は呑み込めました。詮子さまにもお礼を。我ら三兄弟の結束は増しました」
 穏やかに見えても肝が据わっててデキる男の片鱗がうかがえる。
 嫡男の貫禄だ。良き。良き。

*古典クラスタたちはおおいに心配していたけど、花山帝、きれいな即位式…………と思ったら、閨でのお手てぐるぐるプレイw
 憂いを帯びた表情といい、謎すぎるww
(だけどこれが、信じられる者が少ない花山帝の依存の表れだったとしたら狂喜しちゃうな(人の心ないんか))

*まひろ宅では為時任官の宴。
 なんと12年! 長い無官生活だ……( ;∀;)
 乳母のいととのシーンて、ナニかのにおわせ? 何ナニ? ギャグ要素???(このノリまじでわからん ^^; )

 堤中納言邸は鴨川の堤坊に接していた位置関係からそう呼ばれるのだけど、あの邸がそうだとしたら、だからあんなに庭に池がなみなみしてるのかしら。
(洪水とかの時は大変だったらしい)

*ところでこの大河の惟成、すごく惟成っぽいですね。(個人の感想です)
 関白さま、なんかやつれてない? かわいそう( ;∀;)
 そしてやっとお顔がはっきり見えた顕光(セリフなし)

*今日のF4男子お勉強会。
 不埒な噂はともかく、女子好きは否定されない帝。
 道長の「毒を盛られるとか?」発言……
 凍りついたほうがこわいよね、この場合。そう考えると倫子さまの場をまとめる手腕はやはりなかなかのものなのだ。

*さてさて放送開始前から大々的に宣伝されていたビッグイベント・五節の舞ですよ!


 道隆の悪評作戦が動いてました。
 花山院の即位式の高御座における不適切行為事件!
 こちらも古事談の説話。

  花山院御即位の日、馬内侍、褰帳の命婦として進み参る間、天皇、高御座の内に引き入れしめ給ひ、たちまちに以て配偶す、と云々。

【訳】
(花山天皇即位の日、馬内侍が褰帳命婦(高御座の御簾の上げ下げをする係)をつとめていたが、天皇は彼女を高御座の内に引き入れ、すぐさまことに及ばれた、ということだ。)

古事談 第一:十七
花山天皇即位の日の事



 江談抄にも同様の説話があり、そちらをもとにしたものらしい。やはり花山帝の好色ネタは昔から人気があるんだろうな。
 しかし左大臣クラスなら、さすがにガセネタやとわかろうが……。

 舞姫をやりたくない倫子のかわりを舞姫を引き受け、稽古を受けるまひろ。
 今作のまひろちゃなら、唐衣裳になれるところからはじめなきゃ転ぶぞ。

 ところで、小右記にこの年の五節舞についての記述があり、舞姫を出したのは『左大将・藤宰相・景舒朝臣』とのこと。
 で、公卿補任を調べたら、当時の左大将が権大納言・藤原朝光。顕光の弟ですね。大鏡では、道隆の飲み友達とされています。

 藤宰相がわからなくて、大河の時代考証もされている倉本先生の小右記(現代語訳)を探してみたところ、藤原佐理だったらしい。行成や小野道風とともに、三蹟に数えられる人。

 雅信と倫子の会話から、なんと朝光と佐理の娘であることが判明した茅子さんと肇子さん。

*そして本番。
 寝るんかい、道長。(ガチツッコミ)

 いやしかし美しいな、五節舞。真上からのアングルとか最高でしたね👏✨

「乙女ども 乙女さびすも 唐玉を
  袂に巻きて 乙女さびすも」

 歌われている大歌は天武天皇の御製とされるもの。
 その昔、吉野山にて袖を五度振り、舞う天女に出会った天武天皇が詠んだとされている。
 五節舞はこの天女たちがモデルなんですね✨

五節舞(下鴨神社にて)
袖を五度ひるがえす振り付け部分


*舞の真っ最中。
「三郎…………道兼?!」
 すごいなまひろ、あの衝撃のままに、やりとげたのか、舞姫を……。

 大役を終えた舞姫たちが右大臣家の3兄弟を品定め。
 道兼さまも思いのほか……って、姫君たちからそんなひどい扱いなん、道兼……( ;∀;)
 たしかに栄花物語でも、

 摂政殿の二郎君、宰相殿は、御顔色悪しう、毛深く、ことのほかみにくくおはするに、御心ざまいみじうらうらうじう雄々しう、け恐ろしきまでにわづはしうさがなうおはして……(略)

【訳】
(摂政殿の二郎君、宰相殿(道兼)は、お顔色が悪く、毛深く、ことのほか醜男でおられたが、ご気性はどっしりと男らしく、恐ろしいほどに厄介で意地が悪くいらっしゃって……(略))

栄花物語:巻第三 さまざまのよろこび

などと、ひどい言われようの道兼だけどさ。
(当時、色黒で髭もじゃはモテなかったらしいですね。源氏物語にも髭黒とかいうヤツが出てきますしねっ トゲトゲ)

 真実を知り、衝撃のあまり気を失うまひろ……そして次回へ。


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 いやそれより次回予告!
「そういうことはおれより官位があがってから言え」
 あ〜いらんこと言いが出ちゃってるよ、公任!(あいかわらずの小野宮推し)
 そして、
「虫けらは、お前だ!」
 こんな激しい確執が……道長……。

 ひゃ~しかしこれはもう、どっぷり王道ロミジュリ的悲恋劇!

 大事なのはここがまだ五話ということよね。序盤も序盤。先はまだまだ長ーーーい。
 この燃焼中まっただなかの恋愛があって、のちのちこの関係がどう変化するのか。
 今話で何度も言っていた「人だから揺れる」がどう表現されていくのか。
 いまの、ある意味ではありきたりな切ない恋愛模様よりもそこからの発展が見ものだと思う。
 歌集でいえば、恋五くらい。いやもっと先、その向こう側に何があるのか……。

 あ、そういえば左大臣家にあった牛車、藤の花と桔梗で飾られてましたね。
 今日のトップ画像にあげたのは盧山寺にある源氏庭なんだけど、(真ん中の島の岩に源氏庭って刻んである)6月~9月には桔梗が咲くそうで。
 源氏物語の『あさがお』は『槿』とも書き、現在でいうところの桔梗らしいです。盧山寺ガイドのお兄さんが言ってた。


 長くなってしまった……。
 ではまた次回!




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