大河ドラマ「光る君へ」感想 (32)
8月の最終週の日曜の夜は所用あり。
なんだかんだで結局、ちゃんと視聴できたのが木曜日になってしまった。
今期の大河は毎回、遅くとも月曜には視聴していたので、こんなに遅くなったのは初めてですね~
なんというか、やっぱりちょっと一線ひいてしまったんだろなって我がことながら思います。
今週のトプ画は広重の源氏物語!
実はあべのハルカスにて広重展を観てまいりまして、こちらの実物が展示されてて嬉しかった。
帚木巻、左馬頭が嫉妬深い女に指を噛まれて、すごすご逃げ帰る場面!笑
さて。いざ、感想。
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*定子の忘れ形見の一人、脩子内親王の裳着のシーンからスタート。
平安貴族の行事って夜にやるのがなんかいいなっていつも思います。篝火とか、雰囲気ある。
だけどこれって実際には“夜に行う”って定まりでもなんでもなく、先例を調べて準備したり、出席者が揃うのを待ったり、なんだかんだで「あれこれしてたら遅くなって、始まったのは夜になってからだった」みたいな、現代人からするとちょっと理解しがたい感覚で進められてるんですよね。
そもそも時計がないのでね、「丑一刻」とか言ってもわりとざっくりした時間間隔でしかないんでしょうね。
*「お前の席ねーから」されて、「譲られよ」って居丈高に言っちゃう伊周が好きだw
(ちゃっかり一番気弱そうな道綱に突撃するところも高ポイント)
一条天皇は左大臣・道長に対する牽制目的もあって伊周を取り立てようとする。
たしかに、いまの“彰子が世継の皇子を産んでいない”状況では、
トップとしての道長の立場も、まだまだ盤石とはいえないんですよね。
伊周の立場を確保することは敦康親王や脩子内親王の後ろ盾としての意味もあった。
(だけどそう考えると、ひかきみの三浦伊周がやたらめったら悪意むき出しなのは完全に悪手でしかなくてどうかと思う。こんな態度とらんでも、敦康親王が立太子→譲位&即位となれば、第一の外戚としてトップに立つ日がくるのにね)
*そしてまたまたまひろのもとにやってくる道長。
(ほんまにヒマやな、左大臣)
源氏物語第一巻は帝には不評だった、と伝える道長に、まひろは「自分のために物語を書いている」という。
(賢子ちゃんの存在にはよ気づいて!)
あと、あなたの家、いま職に困ってるんですから、どうでもよくなっちゃダメでしょ(^^;
そしてまひろが語ったのは源氏物語の桐壷、つまり第一章の終盤部分。
道長「おれが惚れたのはこんな女だったのか……」←?????
(ちょっと意味がわかりませんでした。エモいのか、これは? (;^ω^) 柱にもたれて二人の時間を過ごしてる場面、「いや、はよ帰れよ」思っちゃった(笑))
あんだけ来てくつろいでたら、そりゃ為時にも見つかっちゃうよね。
あと、ぜんぜん関係ないんだけど、このシーンでまひろがすずりに醤油差しみたいな小物から水を注いでて、そっちが俄然、気になる!
(本筋(ラブファンタジー)よりそういう細かい小物とかばかり観ている勢)
*ドラマの一条天皇は「自分を批判しているのか?」と身構えたようですが、実際には、
「この作者は日本書紀を読み込んでいる。学識が高い方のようだ」
と、褒めたそう。
(日本書紀は古い漢文の書物。それを読みこなして物語に引用している紫式部は漢才があり、さらにそれを文章のなかに見いだせる一条天皇も洞察力があるということがわかる逸話)
そしてこの一条天皇のセリフから、『日本紀の御局』と皮肉をこめた渾名をつけられることになった、と本人が紫式部日記のなかで述懐しています。
これってあれですかね、いわゆる京都の「えらい頭のええ方なんやねぇ(女のくせに学識をひけらかすなんて、みっともないわぁ)」っていう感じなんですかね。こわや、こわや (^^;
そしてこの『日本紀の御局』と名付けたのが“左衛門の内侍”という内裏女房。
紫式部はこの人と仲が悪かったようで、日記のなかでも「あの口やかましい人」など、あまり評価が高くない。
掌侍・橘隆子か? との説があり、ドラマではその説を採用して、菅野莉央さんが演じる予定だそうです。波乱の予感ですねぇ。。
あともう一人、式部と仲が悪いといえば“馬の中将”。
この人は藤原相尹と源高明の四女との間の娘、つまり明子の姪にあたる人で、かつて定子が五節舞を采配するさいに定子方の舞姫として出てらっしゃったそう。
そんな彼女は、紫式部と車に乗り合わせた時に「嫌な人とご一緒することになっちゃったわ」とか態度に出したりなどする。対して式部も、前を歩く馬の中将の後ろ姿を見て「たどたどしくてみっともないわぁ」などと思ったり。
うーん、仲悪すぎ。女の園、怖すぎ (^^;
ドラマでは羽惟さんという方が演じるそうです。
*一条天皇に見せる続きを書き続けるため、という名目で、道長はまひろを藤壺にスカウト!(やっとかい!!)
(一条天皇の描写もよくわからないまま……「忘れておった」とか言ってたのに、「続きを」って。どういう心の流れ??)
ところで道長、「娘も召し抱えてもいい」みたいに言ってたけど、賢子ちゃんは女童としてはさすがに小さすぎる気が……(^^;
あとまひろ、ほんまに賢くて人の機微にも敏感なんやったら、せめてもう少し娘とうまくやれそうなもんですが。これまでのところ、かなり鈍感じゃない? 我が道を突き進んでるし。
そして倫子に、まひろのことは知らないフリをする道長……
(不倫はウソを重ねることで泥沼化するんだぞ、道長……!!)
*晴明危篤で馬に乗って駆けつける道長。
(マジで、ほんまにヒマやな、左大臣!!!)
このドラマでは結局、晴明が何をしたかったのか、私にはよくわかりませんでしたね……道長との絆も。
「光を手に入れた」っていうのは源氏物語のことなんすか。
須麻流の存在はおもしろかったですけどね。彼はやはり、式神的な存在だったんでしょうか。
*よくわからないといえば居貞親王(三条天皇)。
なんかいろいろと勝手に暴走してるひかきみの居貞親王。
実際にも、わりと暴走する方だったらしいけど(倉本先生談)、とはいえドラマでは、野心むき出しでギラギラしててなんか毎度、ぽかんとしてしまう(^^;
ここまであからさまに退位じゃなんじゃと公言しちゃう東宮、これってもはや謀反なのでは(^^;
*行成と隆家のくだりは、正直もう薄目で見てました(笑)
まあやりとりはこのドラマの設定としてそれでいいけど、最後の「叔父上のことが好きなんですか」は草生えましたw
わざわざ第三者に(しかも隆家に)言わせるんや、それww
*いよいよまひろの参内の日。
「お前が女でよかった」
なるほど、ここで言うんですね。いつか言うんやろとは思ってましたが……
ドラマ的にはすごくいいシーンだと思うので、やっぱり雑音(ラブファンタジー)がなければ、もっとこのドラマを楽しめたのにって思ってしまって個人的にはやはり残念ですね( ;∀;)
(ドラマ公式的には、そして一般的には、その雑音こそが主題なのでこれはもうどうしようもない溝)
しかしコワイな~良家のお嬢様ぞろいの藤壺の女房たち!(^^;)
最後の口上シーン。この場で「藤原為時の娘です」はともかく「まひろと申します」って言うものなのかしら……
(それともこれも、世間知らずの性格を強調するための演出なのか??)
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~ 今週の小ネタ ~
*高速漢詩の会ふたたび!(笑)
儀同三司・伊周と隆家の微妙な立場を表現するシーンだったのかもですが、それにしても、短ぇ……( ;∀;)
伊周の作は「本朝文粋」という書物に実際に残されていますね。性格はともかく、やはり才のある方なんですよね。
しめっぽい内容だけど、漢詩というのはだいたいそういうものっていう認識 (^^;
あとこのシーンの公任の被け物、“裳”でしたね!
女性ものの装束のほうが高価なので被け物には多く出てくるけど、『表衣』か『一揃い』というイメージだったので、引腰(あの細長い帯状の布)付きの裳を肩からかけている姿、興味深かった。
*内裏焼亡
平安時代、木造ばかりなので火事はほんとうによく起こったらしい。
とはいえもちろん、帝や中宮が従者たちにほったらかしにされてあんなに走りまわるなんてことはありえませんが (-_-;)
水道もホースもない時代、どうやって消化活動するかといえば撲滅……文字どおり建物を叩き壊していたらしいんですね。
よく歴史ドラマでも火災跡の現場が映ってるけど、ほんとにあんなふうになーんにもなくなっちゃうわけです。
この1005年の火事で八咫鏡の二枚が灰に。その後、1040年に起きた火事で残りの一枚も完全に消失しちゃったのだとか。仕方がないので、内裏ではその残骸を集めて箱に安置していたのだという。
(でも大丈夫。神器はそもそも分身できますので!(マジでそう語り伝えられています))
*匡衡衛門
赤染衛門の夫は大江匡衡。
当時の朝廷では有名なおしどり夫婦で、上記のような渾名をつけられて冷やかされていたそう。ほかならぬ紫式部が、日記で彼女のことをこう呼んでいますしね。
それなのにひかきみ……
「夫が帰らぬ寂しさをまぎらわせる」?
「道長さまのような素晴しいだんなさまがいてうらやましい」?
史実と真逆どころか(もうそこはツッコまない)、ひかきみの道長も愛人と子ども作って変装してまで愛人のもとに通ってましたが??? そしてその女人が隣におりますが?????
さて次回、今度こそ宮仕えを始めたまひろ改め藤式部!
女房に思い人の妻たちに娘に……もうすでにいやな予感しかしない!
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