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私の母はよくやってると思う。

社会人になって一人暮らしをするようになってからは特にそう思うようになった。
自分のために炊事洗濯掃除してもビタ一文出ないのに、自分以外(今は父)のためにもそうするってすごい。
惣菜売り場の残り物がいつものおかずになってる私はまだまだ甘い。

学生だった頃、母のイヤリングをねだったことがある。
大きなリングにまあるいピンクのビーズやお花が詰められたガラスドームが通っていて、彼女がぱたぱたとリビングを忙しなく動くのに合わせて、じゃらじゃら音がしていた。
なんだか子どもっぽいような気がして、お母さんには若すぎるんじゃない?と言ったら、あなたにはまだ早いわよ、と逆に言い返されてしまった。

今、私の耳には母のとよく似たイヤリングが着いている。
母が不貞腐れる私に買ってくれたものだ。
青いビーズと青いお花が詰まったガラスドーム。

これは私が着けても早くないの?
そう訊ねると、母はふふっと笑って私のほっぺたをむに、とつまむだけだった。
ちょっぴり悔しかったけど、とっても嬉しかった。

部屋の中をぱたぱたと歩く。
耳元でじゃらじゃらと音が鳴る。

ガラスドームに詰まったいろんな青は、落ち着いているように見えて実は背伸びしたがりで意地っ張りな私によく似ている。

ほんと、よく分かってるんだもんなあ。

たぶんこれから先もあのピンクは私には早いのだろうし、それに私にはこの青で十分だ。
というか、青い方がいい。

あーあ、母には一生敵わない。

peco 『ジャラビ』シリーズ

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