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新人であっても、プロフェッショナルでいることの大切さ

本日のテーマは
プロフェッショナル”でいること

先日、教え子たちと数年ぶりに🍺飲みましてね。感動もひとしお。
わざわざ訪ねてくれるのが、ありがたい。
そして成長の軌跡が素晴らしいのです。親バカならぬ、元先生バカです。

そこで感じたお話。
ちょっといつもと違うテイストで書いてみます。挑戦です。



まずは彼の話を

‐‐‐‐‐それは舐めすぎ。


隣の席にいた若い男女のグループの雰囲気が変わった。さっきまでワイワイ楽しそうに飲んでは騒いで、むしろ早く帰ってくれないかなと思うほどだったのに、その一言だけは聞こえた。多分、仲が崩れるレベルの発言を女性が男性にしたのかもしれない。

よくある居酒屋の1シーンだなと思いつつ、さて久々だね、と
卒業生2人と乾杯をする。

佐藤くん(仮名)は、大学を卒業してすぐにプロカメラマンを目指したわけではなかった。卒業後、とある企業に勤め、生活に不自由ないレベルで安定した収入を得ていた。

それでもやりたいことは別にあった。
茨の道でも進もうと決心をして、カメラマンの世界に足を踏み入れた。
たしかに彼は、一眼レフを片手に文化祭に参加していた時もあった。

プロのアシスタントとして弟子入りをして、色々な現場に参加する。
いわゆる人権みたいなものは、最初も、今もあまり感じない。こちらから挨拶しても会釈もされない。まだアシスタントだから、そういうものなのだろうと納得せざるを得ない。そういう実力の世界に飛び込んだものなのだと。

佐藤くんは私の知らない世界観を色々話してくれた。彼の見てきた世界。

‐‐‐‐‐先生ね、カメラマンって、その人がものすごい技術を持ってるってことだけじゃないんだよ。イメージした写真を撮るために、デザイナーや、照明の人、写真のレタッチをする人…。自分のイメージに限りなく近いことをしてくれる仲間を見つけ、チームにすることができる人間力みたいなものが凄い人なんだよ。

そうだったのか。いや、そうだよね。
自分の力を高めていくことも大事。でも一人でやれることは限られる。
だから人とのつながりを大事にしよう。感謝の気持ちを常に持とう。
私は先生という立場から、卒業生にこのことの大切さを語ってきた。

それを今、卒業生から違う角度で語ってもらえている。
とても新鮮な気持ちで、佐藤くんの話に耳を傾けていた。

そういえば、自分が思い描いていた理想のチームも支えあいが軸だったな。今まで理想のチームを作ることは出来ていたかな…。
そんなことも考えてしまいながら、氷が小さくなったハイボールを飲む。

‐‐‐‐‐ところで、先生。実は…、
ふと我に返り、返事をする。
佐藤くんは、神妙な面持ちでもなく、飄々と話を続ける。
‐‐‐‐‐来年、独立するんだよね。今は本当に地盤づくり。今の師匠から、最初はお祝いみたいな感じで少しは仕事紹介してくれるんだけどさ。その後からが自分の力でどうするか、みたいな感じ。

彼との出会いは13年前。最初は印象に残らないくらい物静かな子だったが、環境が変わり、友達ができ、時を経て、本当に独り立ちしようとしている。
卒業生の近況報告はいつもそう。予想なんて全くできない。
会計もそんなに高額になっていたなんて、飲んでる最中は予想できない。

‐‐‐‐‐で、いつもこの独立の話を近い友達とかにすると、「え、じゃあ〇〇円で、写真撮ってもらえない?」とか言われるわけ。正直、なめんなよって思う。例えば「じゃあ、友達割で写真撮ってくれない?」とかなら、こっちだってまだ考える余地はあるけど、最初から「〇〇円」とか言われると、いやいやそんなに安くできないから。いや、出来るよ?出来るけど、プロとしてのこだわりっていうとおこがましいけど、プロフェッショナルに対してそれはないだろ?って。

私と、もう一人の卒業生の田中くん(仮名)も大きく頷く。
彼は昨年、司法試験に合格した駆け出しの弁護士だ。

‐‐‐‐‐相場も知らないだろうし、どんな仕事があるのかを知らないだろうから、仕方ないけどね。でもこれが例えば超有名な…そうだな、篠山紀信さんとかにそんな依頼できんのか?って言いたい。内心では。もちろんそこと比べるなって話だけど、新人でも駆け出しでもプロフェッショナルはプロフェッショナルだからさ。友達でもせめてそこにはリスペクトは欲しいと思うんだけど、どう思います?

フィードバックしようと、口を開こうとした瞬間。
卒業生の田中くんは、佐藤くんに静かに言った。



‐‐‐‐‐それは舐めすぎ。




プロとしてのプライドは誰でも持つもの

‐‐‐‐‐それは舐めすぎ。

佐藤くんの友達に対する怒りの言葉。
‐‐‐‐‐それは、その友達は佐藤のこと舐めすぎだろ、ふざけるな。
田中くん自身の想いも重なり、この言葉が出てきたのでしょう。

田中くんも難しい試験を乗り越え、晴れて一人前として昨年からデビューした、いわゆるプロフェショナル

彼も以前、同じように、
「じゃあ、いつかお世話になるかもだけど、その時は〇〇円で頼みます!」
という冗談にしても、あまり受け入れたくないことがあったようでした。

佐藤くんの気持ちが本当に分かったうえでの
「それは舐めすぎ」
佐藤くんの友達に対する憤りを静かに伝えた一言でした。

ただこの一連の話は私を喜ばせるものでした。
若くして、そのマインドによくたどり着いたなと。

教員の世界で、ある程度の期間を過ごした私にとっても、立場は違えど同じ感覚に至ることは多々ありました。子どもたちからしたら、新卒だろうが経験年数が短かろうが先生は先生です。一度、現場に立ったら相手からはプロの認識をされます。新卒の子たちには、よく厳しいと言われましたが、そのマインドセットを伝えることが私の責務であるとも感じていました。

でも早い段階でプロ意識を持てる人は、ほんのわずか。
ここに人材育成の難しさを痛いほど感じていました。

しかし、
卒業生たちは、自らの力でプロ意識の土俵に立つことができていたのです。
これが嬉しい。

彼らは新人、一年目でも仕事や自身の選んできた道に対しての
プライドを持ち、突き進んでいます。

だからこそ強い。
まだまだ経験・実力が不足していることも、
ご飯を食べていくために地道な営業が必要なことも、
わかっています。

でも、自分はプロフェッショナルだという軸
どんなことがあっても忘れないでしょう。

生徒から改めて教わること・気づくことが、卒業してからもたくさんある。

こういうことがあるから
教員の世界は、やりがいと希望に満ち溢れている。

また次回会うときは
どんな成長を、どんな面白い話をしてくれるのだろう。楽しみで仕方ない。

‐‐‐‐‐そういえば、先生って、他にも卒業生と会ったりするんですか?

ほんの一部だけど、直接連絡くれたらこうして食事はするよ?
あ、でも一回だけ本当にやらかしてしまったことがあったなぁ。

こちらから就職祝いだね!ということで話を振って、一緒に食事をすることになったんだよね。で、せっかくだからそれなりのお店予約して。
その時は卒業生2人だったかな?
結構、昔話から、今までの状況までたくさん話して、終電の時間も近づいてきたことなので、さてそろそろお開きかな…と。

で、自分のカバン見たら、財布忘れてて。


‐‐‐‐‐それは舐めすぎ(-_-;)

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