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音楽映画と見せかけて脳筋映画「セッション」


こちらが原題 whiplash(曲名ですね)顔は普通
日本版のポスター。脳筋感を数割増でお届け

公開当初から楽器をやる人もそうで無い人も話題にしていましたね。というか自分の周りが楽器をやる人が多いから話題に上がっていただけかもしれませんが。
勿論さまざまな映画の賞を受賞してますし、監督はこの次でララランドを撮ってさらに評価が上がりました。

あらすじ・・・ドラマーになるために音楽の学校に入った主人公。その学校には学校の看板バンドみたいなものがあって、そこの先生が超鬼監督。
運良く?そのバンドに入れた主人公は理不尽とも思えるしごきに耐えつつ練習していくぜ、的な。
ま、とりあえず予告編見ておくといいですよね。Not my fuckin tempo!  は最高の決め台詞です。

まず、学校はジャズ専門っぽいですよね。日本にもこういう学校はありますが、ハウスバンド(学校の看板バンド)まで抱えているところもあるんでしょうか。
主人公が参加するバンドは「ビッグバンド」ってタイプのジャズバンドです。サックス、トロンボーン、トランペットがそれぞれ5、6人いて、そこにドラム、ベース、ギター、ピアノなどのリズム隊が入るのが一般的ですね。
そこに指揮者が居るというのが今回の映画のもの。指揮がいるビックバンドもありますが、最近は主流ではないかもしれません。ただ、バンドマスターとかコンサートマスターという役割の人がいて、指揮みたいなことをすることもあります。

ビッグバンドの映画は日本ではスウィングガールズがありましたよね。おそらくあの映画でも指揮(の真似だったかも)しているシーンがあったはずです。

ビッグバンドのコンテストっていうと色んな大学のバンドが参加する山野ビッグバンドジャズコンテストってのが超有名です。こういう熱血指導者がいるのかは知りませんが、あの世界は熱血ですよ。

作中にもありますが鬼先生は自分自身が一流プレイヤーじゃ無いのに一流を求めてわけのわからん指導をしているんですね。なもんでドラマーにただただひたすら速いレガートシンバルを叩かせてキレまくります。(遅え!!つってキレてますけどおおよそ実用的では無い速さの練習させてるんですよね。勿論ある程度速いものができないと余裕が生まれない、ということもあるでしょう)


先生の出すカウントとちょっとでもズレてたら頬っぺたを引っ叩きながらパワハラを繰り返します。(楽譜まで読めるくらいのドラマーがそんなに下手なわけないとは思いますけどね)

ちょっとでもピッチの悪いトロンボーンがいたら、劇的に詰めていきます。結果的にピッチがズレてなかった生徒が退場させられてもお構いなし。
ドラムの主人公は手から血を流しながら練習しまくります(当然ドラムや楽器をそこそこやったことがある人はわかるんですが、主人公のような怪我の仕方はまずしません。どんだけ下手くそなフォームでやってるんや、という話)

完全に昭和のスポ根おじさんです。ただ日本のスポ根おじさんと違うのは、異常に太い二の腕とスキンヘッドで超威嚇してくるあたりです。
このスポ根おじさんは、上記の( )内に書いてあるツッコミを知っている我々も楽しませてくれます。これこそ腕力であり暴力的なわけですし、これこそがアメリカ的というか、マッチョな訳です。

映画の中盤からすでに出鱈目ですが、そんなもんはどうでも良い。バードがどうちゃらこうちゃら言ってますが、その辺も適当に受け流そう。
なにもドキュメンタリーじゃないんですからね。細かなことに目鯨立ててやいのやいの言うのは、映画の楽しみかたとして違うだろう!
と、寛容な気持ちで見た方がいいですね。

クライマックスシーンではおそらく演奏中に主人公2人が和解したんだと思いますが、これはもう置いておきましょう。

なにせこの映画は脳筋おじさんを愛でる映画なのです。そしてその脳筋おじさんに圧倒されるようにスピード感マシマシで作った監督の勝利なのですね。

しかし音楽映画って結構面白いの多いですよね。
天使にラブソングを、8マイル、ボヘミアンラプソディ、サウンドオブミュージック、ブエナビスタソシアルクラブ、はじまりのうた、などなど。さっと思いつくだけでもこれですし。

あんまり好きな人に出会ったことないですけど、ドラムラインって映画も面白いですよね。

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