見出し画像

経営チーム作りは本音の対話から始まる

私たちエンラボは“チーム経営プロデュースカンパニー”として、ワンマン経営からチーム経営へと経営体制をシフトするための支援をしています。

もちろん、このシフトは簡単なことではありません。特に事業承継のフェーズにある企業の場合は、必ずと言ってよいほど、経営チームメンバーに動揺と混乱が起こります。何しろ、これまで社長の指示命令に従っていれば良かったメンバーたちが、いきなり「私はあと2年で引退するから、これからは君たちで経営ができるようになってくれ!」と言われるわけですから、誰もが戸惑ってしまうのは当たり前のことです。

経営チームメンバーに指名されるのは、営業部長、製造部長、技術部長、管理部長といった各部門のトップたちです。彼らは社長からの指示に従い、自部門のミッションに責任を持ち、これを成し遂げてきた面々であり、会社には絶対になくてはならない存在です。責任感もあり、仕事もでき、専門知識も豊富で、部門のメンバーからの信頼も厚い場合がほとんどです。

しかし、部門長としての仕事と“経営”の仕事は全く別物です。部門長としては、自部門の目標達成だけを考えていれば良かったのですが、経営となると、全社的な視点を持たなければなりません。会社としてこの先どこに向かうべきなのか?会社として今優先的に改善すべき課題は何なのか?5年後、10年後、20年後といった長期的な視点で見た時には、ヒトモノカネといったリソースを、今後、どのように配分すべきなのか?

経営チームのメンバーになった瞬間から、見るべき視点が全て違ってくるわけです。今まで考えてもみなかったことを考えなければならないですし、何と言っても重要な経営判断をすべて自分たちでしなければならなくなるので、責任の重さがこれまでの比ではなくなります。

そのように、彼らにはやるべきことや学ぶべきことが山ほどありますが、その前に、彼らが最初に直面する問題は、実は経営チームメンバー同士のコミュニケーションの問題です。どういうことかと言うと、普段から社長との縦のコミュニーションはそれぞれに取れているものの、部門長同士の横のコミュニーションが、意外と希薄な場合が多いからです。それどころか、私たちの経験上、部門長同士が敵対視しているケースすら、けっして珍しくありません。
 
なぜそういうことが起きるのかと言うと、そもそも構造的に部門間の利害が対立しているからです。営業部門のトップは、他社との競争に勝つために「もう少し安く作れないのか?」と言い、技術部門のトップは「こっちは長年かけて今の技術力を築いてきたわけで、コストを抑えたらうちの価値はなくなってしまう。みんなもプライドを持ってやっているんだ!」と言い、管理部門のトップは「経理の数字を出しているんだから、原価率の上昇が問題ということくらいわかるよね?」と言う。
 
このように、それぞれが部門の責任者という立場で考えるので、どうしても他の部門とは衝突や摩擦が起きてしまうわけです。そして、そんな環境下で日々やり取りをしているうちに、やがて人としても「あいつは全然こっちのことをわかってない!自分たちのことしか考えていない!」と感情的になってしまい、最悪の場合は、最低限しか口を聞かないというような関係性にまでなってしまうこともあるのです。コミュニーションがしっかり取れないチームに良いチームはありません。
 
ですから、経営チームが結成されたら、最初にやらなければならない最も大切なことは、お互いが経営チームのメンバー同士として、何でも本音で話し合える関係性を築くということです。それができない限り、シナジーが生まれる良い経営チームは作れません。

 


そして、そのためには、他のメンバーに対する不平や不満を含め、自分が抱えている悩みなどを、できるだけ包み隠さず全部話してもらうオフィシャルな機会を設けることがとても大事なのです。「この場は何を言ってもらっていいですよ」という安心な場を設け、そこでお互いの本音を曝け出すのです。全部出し切って初めて、お互いの本心を冷静に把握し合うことができます。お互いの本音が把握できるようになると、今度はそこから自然と「じゃあ、この現状の中で、これからどうすれば、今出てきたような問題を解決できるだろうか?」という全体最適の視点に立ち、問題解決へと論点を進めることができるようになるのです。
 
つまり「何をやるか」を議論する前に大切なことは、経営チームの「関係性の質を高めること」なのです。実は、これが経営チーム作りの一丁目一番地なのです。
 
 
 
ワンマン経営からチーム経営へ
チーム経営プロデュースカンパニー | 株式会社エンラボ | 港区 (en-lab.co.jp)