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【留学生時代】私の波瀾万丈なバイト物語③

なんと、アルバイト3日目に、北千住の大衆酒場で外国人アルバイト20人と一緒に、私服の警察官に連行されてしまった。

店の前に停まっていたバンにぎゅうぎゅうに詰め込まれた私たちは、千住警察署に連れて来られた。来日して2か月、アルバイトを始めて3日目にいきなり警察のお世話になるとは、思いもよらなかった。

取り調べ室は、テレビドラマで見るようなものではなく、警察官が仕事をする通常の机で、私と警察官が対面に座った。ほかの人たちも同じだ。「名前は?」「住所は?」など身の上情報を一通り聞かれた。

対応した警察官はドラマで見るような威圧的な取り調べや、自白を強要されるような怖いシーンはなく、とても優しい口調だった。少なくても私に対応してくれた警察官はそうだった。私は日本語が殆ど喋れないということで、司法通訳の女性をつけてくれた。二人とも優しく話してくれたので、胸を撫でおろした。

ここにきて、どうしてこんな事になったのか状況が把握できてきた。あの酒場で働いたバイトたちは殆どの人がビザの切れた不法滞在者だったのだ、今回は、入管と警察が合同で取り締まりを行い、不幸にも私がその場に居合わせてしまったのだ。

では私が留学ビザがちゃんとあるのに、なぜ連行されたのか。警察官に聞くと、「外国人登録証を見たらあなたは来日3か月未満なので、来日3か月後に初めて申請できる【資格外活動許可証】を持っていないはずだ。その【資格外活動許可証】を持っていないと入管局の規定でアルバイトはできないので、酒場で入管職員に聞いたら連行すると判断した」とのことだった。

そんなルールがあったんだ!私は全く知らなかった。そんなことは誰も教えてくれなかった。日本語学校で教えてくれる内容では無かったし。

私:「すみません、知りませんでした。私はまだアルバイトして3日目なので、許してください。次はちゃんと資格をとってからアルバイトします」

警察:「それは残念ですね。通常バイトを雇うお店が外国人に資格の提示を求め、コピーの保管が義務付けられているので、あの店長はみんな不法滞在者であることを知りながら雇ったんでしょうね。それにアルバイトを始めて3日目だったことは知ってましたよ。だって3か月前からほぼ毎日内偵を続けていたから」

そうなんだ。あの店長は確信犯だ。不法滞在者の時給が安く、なかなか辞めないというメリットから、不法滞在者であることを知りながら目をつぶり、敢えて資格の提示を求めないで雇ったんだ。

それにしても警察官は3か月もお店でお客さんを装い、情報を収集してたんだ。目のの前のお客さんが私服警察官だったなんて、なんだかとても恐ろしい!

でも悪質な刑事案件でもなく、不法滞在の調査ごときで3か月も大勢の警察が内偵するなんて!日本はどれだけ平和なんだ??

警察:「残念ですけど、どうするかは入管の判断になりますので、東京入管局に移送します」

少し安心していた私は、この言葉を聞いて、また不安が込み上げてきた。この不安が的中し、このあと入管局でパワハラ職員にひどい対応をとられ、心を打ちのめされたのだ。。


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