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ネタバレ含[パラダイス 人生の値段 感想]原題paradise

寿命を売り買いできるようになった社会が舞台。

この類の話めちゃ好きなんです。

同じ様な話で、デスノートの小畑先生と大場先生タッグの漫画「バクマン。」のなかで「この世は金と知恵」という、容姿と頭脳を査定して売買可能な近未来の漫画を主人公が描くのだが、それに似た匂いがして視聴させて頂いた。


結果、う〜ん…思ってたんとは違う。後味もいいものではないが、まあ面白い…?


まず、マックスに関して、高額なローンを組んだり、そもそも非倫理的な代わりに高受給であるAEONを仕事として選んでいるあたりに彼の浅薄さ、傲慢さが垣間見える。最終的にアダムグループに加担していたが、結局は今回の自らが経験したような悲劇をまたどこかの誰かが繰り返すだけではないのか?最後まで浅はかだな〜と思ってしまった。

マリーが悲しかった。保身の為に自らを守っただけ。彼女は愚かな母の副産物だろう。年齢からして高校生か?正常な判断はできない。最後の未来を奪われてしまう結末にはもやもやしてしまう。子は親を選べないということなのだろうか。

エレナには同情してしまう。
ソフィーに人生を奪われて、信じたマリーに引き金を引かれてしまう。結果保身に回り、大切なパートナーのマックスを簡単に捨ててしまう。あっさり目先の豊かな人生に釣られ高額ローンを自らの寿命を担保に組んでしまう浅薄さは確かにあったのだが、人質であるマリーを思いやる気持ちや最後は相手は誰であれ、子供が欲しいという己のエゴを貫いた点など、作中の中で良くも悪くも最も人間臭くて惹かれた人物である。


作中を通して、マックスとエレナは愛し合っている描写が多々あったが、本当にお互い純粋に愛し合っていたのであろうか。
マックスはエレナが老化した後、君のため、子供のため等の言葉を連発。エレナはあっさり最後マックスを自らの人生を取り戻すために捨て去るなど、本心から、無条件にパートナーを思って行動したシーンがあったとは思えないと私は感じた。
恋人、愛する者がいる。または誰かに愛されているという事実が欲しかっただけなのではないかと、2人を見ていて私は思ってしまった。

最終的に元凶であるソフィーが何も失わずに成功を収めていたのは少々納得がいかなかった。

しかし、弱者が思いやりや優しさを持ちつつも搾取され、金持ちが無慈悲で非情さを持ち合わせながら搾取して行く構図は、言い古された表現かもしれないが、現代の社会を綺麗に反映していると思う。

寿命が伸びるシステムができたとしても結局は誰もが幸せになる理想像へ向かうことなど人間は不可能なのかもしれない。

誰かの幸せを祈ったり、自己犠牲の精神は美しく尊いものとしてしばしば扱われるが、いざ己の身に降りかかった時、最後に優先するのは己自身なのかもしれない。誰だって自分が可愛いし、どんな人でも己の操縦に従わずに生きている人はいないはず。逆に、自らを犠牲にして生きている人には思うように生きてもいいのではないだろうか。それが善であれ悪であれ。寿命はいつか尽きるものなのだから。そんなことをこの作品を通して私は感じた。

以上。

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