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[しあわせはどこにある 感想]

81点

人にとっての幸せとは?という抽象的で曖昧な問いだからこそ、世界を飛び回るという壮大で、少し馬鹿げた展開が絶妙にマッチしていた


貴方にとって幸せとは?
主人公ヘクターが世界各国で問い続けた。
私ならなんと答えるだろうかと自問自答する。
好きな本を読むこと、良い映画に出会った時、UVERworldのライブに行くこと、毎週日曜朝9時に仮面ライダーをリアタイすること、大好きなインテルの試合を夜更かしして見る時、だろうか。

趣向が中学生すぎやしないか?大丈夫か?
釣りとかキャンプとかにしといた方が良かっただろうか?

否、そんな心配は不粋である。

人が何に対して幸せと感じ、何に対して不幸と感じるか。それは各人に与えられた平等であり、誰でも手に入れることのできる自由なのである。

ヘクターは繰り返し訪れる安定した日常に辟易していた。

誰から見ても安定した職と大切なパートーナーを持つヘクターは羨望の眼差しで見られるべき対象である。

が、それをどう感じるかは当人にしかわからない。

人が羨む長所の裏には見えない影が張り付いているものなのだ。

食糧難に悩む貧困層の子供もいれば、ヘクターの元に来たような、霊感がなくなったと嘆く胡散臭い霊媒師もいる。

自分の不幸と他人の不幸を比べて一喜一憂するのは間違いなのだ。

矢印は常に己に向けるべきなのである。




そんなことに徐々に気づき始めたベクターが、看病をした女性にかけられる一言がある。

「Hearing is loveing」

字幕では
「聞くことは愛を示すこと」
と訳されていた。

相手の話を引き出すために聞く、という行為は非常に労力を要する。

恋愛の駆け引きガイドブックが存在すれば、第一章に載せられるであろうくらい、よく知られたスキル、聞くという行為。

相手の為をもって成すことが前提のその行為は、相手への愛が無ければ成り立たないとも言い換えることができる。

貴方が嬉しい事、悲しい事、辛い事があった時に話したい、聞いて欲しいとすぐ頭に浮かんだその相手。そうその人。

その人は大切にするべきだ。大切に愛し抜いてあげて欲しい。

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