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ArtとSelf Determination

ロンドンで暮らし始めて、2週間余りで気づいたことの一つとして、アート活動や寄付行為が身近だということがあります。

Self Determination Theory(自己決定理論)は最も知られているモチベーション理論の一つで、みなさんも、仕事のみならず何かコトを起こす際に、自身で選ぶ/選び取ることがとても大切であることは、すでによくご存じのことだと思います。

自己決定するときには、「結果は自分のせいで起こるもの」という認識が働くため、自ずと行動にクリエイティビティを働かせ、考え方を柔軟にさせて、進歩の深みが増し、それはより高い自己肯定感、ポジティブ感情の増幅、満足度と信頼感を高める、、、つまり心身のウェルビーイングに寄与するということが研究により明らかになっています(Dici et al.1989)。

このようなことをテキストで読んでいる時に出会ったのが、家の2ブロック先くらいにあるモザイクアートです。

書かれていることばが、なんとポジティブ心理学で重要なキーワード(Play、Love、Grow)だったのも目に留まった理由ではありますが、ふと目に入った時の色使い、手作り感がありながらもアートとして完成度が高いな~ということで、気になって調べてみました。

これは2019年にイズリントン行政区の活動の一環として作成されたものでした。区内の小学性と保護者、地域住民に絵の募集を行い、集まった絵をタイルに転写し、プロのアーティストのディレクションと活動団体の手により完成したもののようです。

近くで見ると、絵、ポエム、写真などが美しくデザインされているのです。下のメッセージなんか、息子へのメッセージで、「生まれ変わってもあなたの人生を生きたいわ」みたいな愛溢れるものです。

先週ナショナルギャラリーにも行きましたが、こちらのモザイクアートのほうが見入ってしまいました。

また、ロンドンは街のそこここに大小さまざまな公園がありますが、朝の散歩をしていると、小さな公園に、"噴水設置手伝って!"といった張り紙を見つけました。QRコードをスキャンしてみると、どうやら、ファンディングで資金を調達しており準備も整ってきたが、行政が人員不足で着手が遅れているので、合意の下、新しい噴水設置のための地盤調査から住民有志で行うことにした、とのことのようです。

私はまだ暮らし始めて日が浅いので、こうした活動がどのくらい根付いているのか、果たして住民みんながベネフィットを得ているのか、など詳細は不明ですが(長く住んでいる大家さんに聞いたところ、壁の絵は知らず、イズリントン行政にはよい印象を持ってないな~と言っていました……)、少なくともこの2つのアート(噴水もアートだと思います)をみて、私は、地域の人たちの自己決定とアクションの現れで、心温まるとてもポジティブなアクションだな~と思ったのです。

ポジティブ心理学では、近年、Social、communityと個人との相互関係から生まれる力を改めて重視しています。一人一人の小さな自己決定がこうした形で街に体現すると、自分ゴトに感じる人が自然と発生するでしょうし、個人も街もまさにflourishしていく印象を持ちました。

日本で私が暮らす街も、商店街がすごく活性していて、お祭りゴトはよく行っていますし、類似した動きもきっと行っているのでしょう。でも、環境を変えると改めて見えてくるものがあるな~と感じています。

こんな些細なことですが、これからも、いち生活者として感じたこと、発見した面白いことから、個人と社会の接合点やダイナミズムみたいなところを、ポジティブ心理学の視点でちょっとずつ掘っていきたいと思います!



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