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ノルウェー民俗音楽入門⑨ 〜民俗楽器いろいろ③ セリエフルート、山笛、ヤギの角、アコーディオン、太鼓など〜

今月も終わるので、今回は色々なノルウェー民俗楽器をまとめてざくっとご紹介します。いずれも、製作者にコンタクトを取れば比較的入手しやすいのに日本で演奏する人はまだ多くない穴場楽器ですが、日本の気候だとメンテナンスが大変なものも含まれるので、その点はご注意ください。

セリエフルート Seljefløyte

日本では「柳の笛」とも呼ばれることの多い横笛。

伝統的には、ノルウェーの長い冬の終わりに出てくる柳の新芽を使って作られる、春限定の笛だったそうです。芽が固くなる前の2週間ほどしか使えなかった使い捨て楽器でしたが、今はプラスチックで作られたものが流通し、オスロやベルゲンなど主要都市の楽器屋さんの一部でも取扱いがあります。このYoutubeでは昔ながらの作り方を紹介し、その後演奏動画が続いています。

指孔はなく、笛の先端を人差し指で塞いだり開けたりしながら、息の強さで音程を作ります。独特な音階を奏でているように聴こえるのは、こういった仕組みで出てくる音は平均律の「ドレミ」ではなく自然倍音列に基づくことになるからです。

プラスチックでリードもないためメンテナンスがほぼ不要であること、ノルウェーの楽器の中では比較的安価であること、なんといってもこの楽器らしい独特な音色や音程感が作りやすいことから、手軽にはじめるのにおすすめな楽器です。音量は結構あり部屋の外に漏れやすいので、集合住宅の方は要検討といったところでしょうか。


山笛 fjellfløyte

このYoutubeの前半に出てくる指孔のある笛。ノルウェーの楽器店では見たことがなくて、私と一緒にノルカルTOKYOというデュオで共演しているMorten J. Vatnも「僕の楽器は中国製」と言っていました(笑)

ちなみに、このYoutubeで演奏しているSteinar Ofsdalはノルウェーで一番といってもいい音楽民族学者で、一般書としては "Norsk Folkemusikk og Folkedans" を出版しています(ノルウェー語)。実際に会った印象は、頭の中で同時にいくつもの思考がシュピシュピ走っているのが見える面白い人。

どうやらSteinarのHPから山笛を入手することができそうです(日本に送ってくれるかは未確認。)


山羊の角 bukkehorn

古くから伝わるノルウェーの笛。羊の角から作られることもあるそうです。通常は5〜7歳ぐらいの山羊の角が使われ、夏に山の上で羊飼い同士が連絡を取り合うために使われてきました。​​

現在は、リードが加えられ指穴が開けられるなどの改良が進み、ノルウェージャズに用いられることもあります。このYoutubeのKarl Seglemはその手のことで多分一番有名といっていい人で、来日経験も多数あり。

音色はサックスのような温かみがありますが、残念ながら梅雨時の日本でその美しい音色を聴くことはほぼ皆無です。メンテナンスはかなり大変そうだし、値段も民俗音楽系の笛としてはかなり高額です。しかもちょっと獣臭いし。でも、音が本当に魅力的で、個人的に大好きな楽器です。


アコーディオン trekkspill

アコーディオンはヨーロッパ中で使われていますが、ノルウェーのアコーディオンで特徴的なものに、ボタンが一列しかないものがあります。自分たちの演奏で恐縮なのですが、この動画の4分50秒あたりからUlf-Arne Johanessenが弾いているのが一列ボタンアコーディオンです。Ulf-Arne はハリングの素晴らしい踊り手でもあり、彼のダンススタイルは極めて古典的なので、ハリングを踊れるようになりたい方はぜひ参考に!


ノルウェーの太鼓 trommer

なぜかYoutubeでは動画が見つけられず、自分が撮った動画が肖像権の問題であげていいかがわからないので、音源のみですみません。軍楽隊でも使用されてきた太鼓は、マーチや結婚式などだけでなく、この音源のようにSpringarなどの伝統曲を演奏するためにも使用されています。ノルウェーの憲法記念日のパレードでも色々な種類の太鼓が活躍しています。


その他

地域によって、クラリネット、バグパイプ、ハープ、オルガンなどの楽器も演奏されてきました。しかし、ランゲレイクのように途中で伝承が途絶えていて、実際にどういった演奏が行われていたのかわからないケースも多いです。これらの楽器は今は復興楽器として、ソロやジャズなどで幅広く使われています。モーテンのお姉ちゃんのElisabeth Vatnがこれらの楽器の名手です。


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駆け足でしたが、お気に入り楽器が見つかったら幸いです。ノルウェーの音楽は、他の北欧の音楽と比べてまだ日本で演奏する人が多くないので、楽器をはじめたら、ぜひご連絡ください!一緒に演奏する仲間、募集中です!

来月のnoteは、おすすめの北欧本を紹介するか、地域を問わず好きな音楽についてひたすら語るかのどちらかにしようと思っています。

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ヴァイオリン、ハーディングフェーレ、ヴィオラ奏者/音楽民族学者。東京藝術大学大学院修了。専門は世界の民族音楽としてのヴァイオリン奏法🎻 音に至るまでの日々のインスピレーションや音楽にまつわる発見・情報を、毎週日曜日に更新中✎ https://www.emysakai.com/

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