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続けるということを続けることの難しさについて。

表現問わず、何事においても「続けるということを続けること」というのは大切で、そしてとても難しいことだと考えている。それは努力をする、堪える、頑張るということで済む話ではないと思う。もちろん好きだからという感情のみでやれることでもない。コツコツとすればいいことでもない。

中学生くらいからこのことを考えているが、表現をするということに関しては続けることは出来るが、一つの手法・業界でやり続けることは性分的に自分は出来ないので戒めのように定期的に考える。

おそらく別のベクトルの力というのがなければならない。

以前の記事でも紹介したこちら「社会人劇団を侮るなかれ。」を読んでいただけばと思うが、埼玉県飯能市を中心に活動している「劇団×音楽部」さんという劇団がある。ネット経由で知り合った“おはようマスク”=芳賀鉄也さんが2006年7月に結成した劇団、いわゆる社会人劇団と言われる括りに入る。ただ原則芝居だけで食っている人らは一握りでしかないのでみんな社会人と言えば社会人であり、それがフリーターだろうと仕事してお金もらっていたら社会人である。なのに都内の中では「社会人劇団」というのはなんちゃってなんでしょ?的な印象がじんわりとあるのは否定出来ない。実際和気あいあいとして戯れてるだけな団体もあるので一括りにするのは失礼で、そんなものは小劇場の中にもいるので大差はないと思う。

劇団×音楽部さんは「なんちゃってなんでしょ?」というのを覆す団体だと感じている。家族的な感じで稽古をしているが、ある意味狂ったように稽古し続けてクオリティを上げようとひたすらに足掻いている団体な時点で稀有じゃないのかなという印象を受ける。

劇団×音楽部・9月18日(日)公演のチケット発売は7月18日(月)

毎年に1度公演を行っており、年齢も環境もバラバラな個性豊かなメンバー。オリジナルの歌もあり、ダンスも殺陣もありとエンターテインメント性の強いものを作り続けている。稽古見学の人間も常にウェルカムで実際定期的に見学し、劇団員になっている人らも増えているそう。

第11回公演「物語はエルフを残して」出演者+詳細

都内の小劇場のチケット高騰の中、破格のチケット料金で、それはエンターテインメント性を出す作品の為に公共施設を使っているという利点の方が強く、小劇場に行けないからではないし、「なんちゃって?」だからこの安さなわけではない。これはたまにチケット値段が作品の保証だと考える人がいる為に念のために記しておく。ただもちろんどんな作品でも受け手の好きか嫌いか、好みはあるから絶対的にいいということではないし、勧めるわけでもない。ただもし機会があるなら、お子さん連れてなど近いなら行ってもいいんじゃないか、楽しめる時間を過ごせるんじゃないかと思う。その気軽さは値段同様にあるのは重要だと思う。(チラシに宣伝協力と入ってるから言ってるわけではなく、逆に宣伝したいから協力している)


■劇団×音楽部 第11回公演

『物語はエルフを残して』~ブルーロ英雄伝 外伝~

脚本・演出・殺陣:芳賀鉄也
振付:夏代 芳賀鉄也 小林珠実
作曲:夏代 矢野千佳 芳賀鉄也
・日程 2022年9月18日(日)
・会場 飯能市市民会館小ホール ※無料駐車場有
・時間
昼の部…開場/13:00 開演/13:30
夜の部…開場/17:30 開演:/18:00
・チケット料金
一般 2000円 小学生以下 1000円 3歳以下 入場無料
※お買い求めは劇団ホームページのお問合せフォームよりお問合せ下さい。

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コロナ禍で演劇を行う事の難しさ
生の演技を観る事の貴重さを
皆さんも感じていると思います
人と近づく事が、触れ合う事が、
どんな感動を生み出すのか
そんなシンプルな答えを
今の世の中に感じさせる作品です
予定を空けて楽しみにお待ち下さい
演技・歌・ダンス・殺陣で魅せる
最高のエンターテイメントを是非その目で
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後援: 飯能市・飯能市教育委員会
後援:日高市・日高市教育委員会

1日だけの公演。1日だけだからこそ、そこに突き進むパワーというものは確実にある。2006年に結成してから未だに成長し続けている、し続ける気でいるのを感じるので荒さや未熟さを感じる部分はあるのかもしれないが、それはあくまでも伸びしろと期待できる不思議さがある。それこそが「続けるということを続ける難しさ」を無意識にしろ、意識的にしろわかっているんだろうと言っても過言ではない。

脚本・演出・殺陣:芳賀鉄也は日本工学院専門学校演劇声優科を卒業後、C&Oプロダクションに所属し都内で活動していたが、当時すでに第一線で活躍していた石田太郎氏や千葉繁氏の背中を間近で見ながら、自分の中にあるもので勝負、攻めていきたい場所を求めて劇団×音楽部を作ったと言う。それは年齢的なことや都内での活動への焦りから始まった、生まれた衝動かもしれない。何者でもないことが怖い反面、何者でもないからこその1年に1度輝ける1日があってもいいというシンプルな気持ちであって、素直で純粋なものじゃないかと思う。

シンプルで素直で純粋なものって気をつけないと失うもの。

事務所を辞めて、飯能という場所で活動をし続けていることを「僻地の中で都内の情報に疎くなった」というようなことを自虐的に言うこともあるが、それは逆そうしたことで失わなかったものの方が大きいだろうと都内の中で塗れている自分はある意味とてつもなく羨ましい。

1日だけ、立地的に都内から行くことは難しいかもしれないが、もし機会を作れるのならぜひとも行ってみて何を感じるのか、届けられるのか立ち会ってもらえたらと思う。

もし無理だったら、この劇団×音楽部さんの公演後に都内でうちの公演があり、そこで完全に作風が違うので役者:芳賀鉄也の違う面を見せられるのでそちらからでもいいし、それでもやはり彼らの活動を気にかけてもらえると刺激になる、刺激だと思う感受性は持っていたいと思うので頭の片隅に「劇団×音楽部」のみなさんを置いてあげてもらえればなと願いたい。

そして一歩踏み出したのなら彼らのように続けるということを続けてもらいたい。一歩踏み出すことは誰にでも出来る、その先へ進むことのエネルギーは人それぞれあるが、どうにか自分なりに見つけて続けて欲しいと思う。

だって正解はないのだから。


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