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ある春の日に。私の「BANG BANG CON」

2020年、東京オリンピックが延期になったその年の4月18日(土)19日(日)。

きっと、これから春が訪れるたびに、私はこの2日間を思い出すにちがいない。


ネットニュースでも流れていたし、ツイッターのホットワードにもご多分に漏れずトレンドにあがっていたのでご存じの方も多いと思うが、この連日、BTS(バンタン)が公式YOUTUBEにて昼の12時~24時まで、彼らのこれまでのライブを無料配信してくれるという、閉塞的な状況下を配慮した素敵すぎるイベントを開催してくれていた。

先ほど配信が終わったばかりだ。そして、このブログを書いている。配信終了時間は19日深夜23時52分。なぜか、正確な時間を記したくて、ずっと時計を見ていた。


この粋なコンサートイベントがオフィシャルから発表されてから、世界中のARMY(アーミー:BTSのファンの敬称)の皆さんは待ちに待っていたであろう、この日。事前に「アミボム」を用意したり、YOUTUBEをテレビにつなげるアレとかを(私は機械に弱いです)購入したり、これまでのグッズを集めたり、チケットを作ってみたり、また私もすべからくYOUTUBEをなんとか画面で見たい!とばかりに、勢いでプロジェクターを買ってしまっては浮かれていた。


されども、私はちゃんと当日まで認識してなかったのだけれど、よくよく考えてほしい。

この配信は12時間ぶっ通し×2日間である。

こんな経験ははじめてである。現在取り巻く環境もさながら、こういったイベントに参加する機会も気概も、今までの私にはなかったものだ。

というわけで、どんな風にファン(というか私)がこの2日間を過ごしたのか、メモ代わりに記したい。


きっと、私はこの日を忘れない。実録、私のBANG BANG CON。


●配信されたコンテンツは以下。間違えてたらすみません。

4月18日 12:00〜23:00くらい

第一部・2015 BTS LIVE <花様年華 on stage>

第二部・2016 BTS LIVE <花様年華 on stage : epilogue>

第三部・BTS 2014 LIVE TRILOGY : EPISODE II THE RED BULLET

第四部・BTS 3RD MUSTER [ARMY.ZIP+]

4月19日 12:00〜23:52

第一部・2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR IN SEOUL

第二部・2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR THE FINAL

第三部・BTS 4TH MUSTER [Happy Ever After]

第四部・BTS WORLD TOUR ‘LOVE YOURSELF


●余談:実際コンサートの時系列

BTS 2014 LIVE TRILOGY : EPISODE II THE RED BULLET→2015 BTS LIVE <花様年華 on stage>→2016 BTS LIVE <花様年華 on stage : epilogue>→BTS 3RD MUSTER [ARMY.ZIP+]/以下19日分は同じ



◎4月18日

前日朝まで起きていたので、11時頃に起床する。「BANGBANGCON」がYOUTUBEでどういう形で放送・配信されるかも当日までわからなかったので、とりあえず12時になってから寝室のクローゼットに映像を映すべく、スマホとプロジェクターをつなげてみる。しかしどうもAirPlayになると映し出されない仕組みのようなので(てきとう)、いまはもう電話はできない別のスマホを稼働させて、Bluetoothを切ってつなげてみる。するとミラーリングができた。そのまま1部が終わるまでプロジェクターに映し出されたコンサートをベッドで見続ける。14時30分くらいに、お腹がすいていることに気づく。

お弁当を買いに行こうかと立ち上がると、ふいに画面に推しのジンさんが現れた。

アミボムを振りながら、何か話をしてくれている。韓国語だからさっぱりわからない。ツイッターを開くとグルチャのメンバーの方が「飲食、席の移動は可能ですよと話しをしてくれている」と教えてくださった。なるほど、すてきだ。ジンの映像を見ながら、いままで見ていたコンサートの彼より、若返ってないか?と笑ってしまう。

ちなみに配信では、その後、ホビとテテも登場して一緒にストレッチをやりましょう、と誘導してくれていた。随時、メンバーが登場し、完璧に<家でコンサートを愉しむ世界観>みたいなものを作ってくれていた。とてつもなく感謝。


2部が始まったのを横目に買い物に出かける。仕事柄、終電を逃すし休日出勤も多いため、都内の各所から歩いて帰れる距離にある、おしゃれタウンに私はもう8年も住んでいる。家賃は高いが私はこの街が好きだ。

近所のレストランは星がついていたり、抜け感のあるスタイリッシュな服をまとった客層が多く、一人では到底入りづらい雰囲気の洒落た店が多い。そのお店がいま、こぞってテイクアウトも可能で、さらにお弁当を販売してくれている。異例中の異例のことだろうけれど、実質1000円くらいで多国籍で極上の味が堪能できる。好きな街のご近所のお店にお金を落としていこう、という気持ちももちろんあるが、何軒もレストランを回っては、ちょっと覗いてみては、テイクアウトのメニュー表をもらったりして、店員さんとすこし会話して、その日食べるお弁当を毎日買うのが最近の日課であり、愉しみでもある。


ベトナム料理のお店で、出来立ての豚肉のはちみつ炒め弁当を購入し、健康のための散歩も兼ねて歩いた。いつも行く近所の花屋さんが今日は閉まっていた。紫陽花を買おうと思っていたのにな。まあいいや明日、また来よう。その間もスマホで何度もYOUTUBEでバンタンをチェックする。


部屋の鍵を開けて、洗面台で入念にうがいと手洗いをする。居間の机でお弁当をさっそくひろげてみた。私はパクチーが大好きなのだけれど、いい塩梅で入っていてとても美味しそうだ。思わず写真を撮ってしまった。まだ日が落ちてもないので、スマホを使用して、2部の続きをみることにする。


「花様年華」のころ、私は彼らのことを一切知らなかった。以前、別の記事にも書いたけれど、このコンセプトは私にとっては強烈に思えて、学生時代に私がこれを食らってなくてよかった、と思うくらい、凄みがあると思う。


ああ、テテが知らず知らずのうちに泣いている。ゆんぎが、活動を反対されていた両親の姿を、コンサート会場内で見つけては泣き崩れてしまっている。

「花様年華」、それは「人生で最も美しい瞬間」だそうだ。メンバーがそれをまるで描き出してくれているみたいだ。輝ける青春の一瞬のきらめき、みたいなものをメンバーに重ねて見ているようにすら思う。

何度かこの映像をとぎれとぎれで私は見たことがあったけれど、ゆんぎはもっと長い間泣いているものだと思っていた。けれど、すっと彼は立ち上がってまた歌い続けていた。そこにぐっときた。

一緒に泣きそうになってしまった。いかんいかんと、日が落ちてきたので、プロジェクターをつなげてみる。


〈BTS 2014 LIVE TRILOGY : EPISODE II THE RED BULLET〉が夜19時くらい?に始まる。ここですみません……私、居間のソファであっさり寝落ちてます。大好きな「布団キック」を見て安心したのか、その後の記憶がございません。

この辺でようやく気づいた。

「ずっと見てるのって体力と集中力がいる!!!!(しかも字幕英語だ!!!)」


そうして起きると21時すぎだった。ツイッターではジンくんがとてもいい子だ!!という情報で盛り上がっている。なんのこっちゃわかっていないジンペンのお前(自分)……。


今回のライブ、総じてメンバーが泣いちゃっている映像が流れていたけれど、ジンは泣かないように頑張っていた。そう、みるからに「頑張って」いた。

ツイッターのタイムライン上に、ジン君の写真付きで「お客さんは僕たちの泣く姿を見るためにいらっしゃているわけじゃないので」「感情をできるだけ抑えて」「よい姿を沢山お見せしたいです」という言葉が流れてきた。

そうだよね。ジンさん。えらい。えらすぎる。

でも泣けないやつって、ちょっと損をするんだよね、と、いつも泣けない自分にも言いたくなっては、ひとりで笑ってみた。


4部の<BTS 3RD MUSTER [ARMY.ZIP+]>がスタート。

これーーー!!!

犬の着ぐるみを着るジミンさんをずっと見たかった私は今更プロジェクターをちゃんと使い始める。ジャージを着たゆんぎの足に絡みついているジミン犬をスクショもしまくる。どんだけ好きやねん。ゆんぎとジミンのユニット・TONY MONTANAが見られて大満足である。

そしてその後、TLに流れてきたジミンちゃんがキックスケーターから落ちて転がっている写真にすべて私の心はもっていかれてしまった。

てか、ジミンちゃんに私は最近やられっぱなしなんですけれども。も、もうっ!!!(にやつきながら)

23時くらいに配信は終了した。24時までだと思っていたが、1時間早く終わったことにちょっと安心する。北米ツアーのグルチャで知り合えて、いろいろお世話になっている方が発信していた「セグウェイという名前が思い出せなかった」というツイートに共感しては、やりとりしていくなかで、これは明日はセットリストをちゃんと見ながら、強弱つけないと体力もたないっすよね、みたいな会話をする。いや、まじでそうやで。歳をかんがえような私。


さて、そこからが大変だった。急な仕事の連絡が入っては、その対応に追われては、朝方の4時くらいまでバタバタとしていたのだ。

せっかくバンタンのコンサートに行っては良い気分だったのに。ちょっと腹が立ってきてハイボールを1本飲むと、すぐに眠りに落ちた。


◎4月19日

寝る前にあおったハイボールが悪かったようで、あまりいい目覚め方ができなかった。溜まっている電話やラインをチェックする。土日に我が家に来るという人の提案を断ってしまっていたので、ご機嫌どりなどをしてみる。

はっきりしない頭にイラつきながら、コーヒーでも買いに行こうと駅のほうへと向かう。商店街にある小さな花屋さんは、今日はとても混んでいた。外出自粛傾向が高まるなか、部屋に色のついた綺麗なものがほしい。生花店が軒並みピンチだとニュースで見たけれど、繁盛しているお店に安堵しては、花を求める人がいて良かったなあ、などとぼんやり思う。

さまざまな種類の紫陽花を眺める。

私は一時期、部屋に観葉植物がありすぎて逆に落ち着かなくなったほど、植物や花を部屋に置くのが好きだ。最近ちょっと控えていたのに、いまその欲求がなかなかに爆発している。

紫の紫陽花にしようと思ったけれど、レインボーカラーがとてもきれいだったし、値段も安かったので、それを持ち帰ることにした。


11時ころに帰宅する。コーヒーをデスクに置いて、紫陽花や部屋にあるその他植物をすべてベランダへもっていく。水をたっぷり注いでいく。きちんと水はけしないと根が腐ってしまうから、それを慎重にする間に、紫陽花の写真をツイートし、PCとプロジェクターをつなぐ作業を行う。

今日は家のノートパソコンとプロジェクターをつなげて、居間の壁に映すことにした。いつも寝落ちしてしまう居間にあるソファを私はとても気に入っているが、そこから寝転がって大画面でみられるように調整をする。


1部の<2017 BTS LIVE TRILOGY EPISODE III THE WINGS TOUR IN SEOUL>が12時に始まった。「WINGS」は、メンバーにとっておそらくとてもとても大切なライブだ。

今日はどこかで調整しなければ、体力が持たないとは思っていたのに、「WINGS」を見始めるともう止まらない止まらない。DVDか何かで同じものを見たことあろうに、すっかり忘れているのか、ソウルのコンサートのためなのか新鮮さもあるし、パフォーマンスが桁違いに昨日のライブよりも素晴らしくて、もだえるように見てしまってた。

もう~~~~みんなかっこよすぎない?? しょっぱなからソロがやばすぎない?? そういえば私の京セラのブルーレイをどこにしまったっけ?? ふいに思い出した疑問とともに、カップラーメンに手を伸ばす。

ラーメンにお湯を注ぐも、結局半分も食べられなかった。

恐ろしいことに昨日、じっとあらゆる姿勢ではあったが、スマホなりプロジェクターなりをずっとのぞき込んでいたせいで、私は腰が痛かった。加えて、寝不足だった。なるほど、食欲もなかったか。

ちょっとだけ横になったほうがいいのかもしれない。2部が始まったそのころ、スマホをもってベッドにもぐった。ジミンが目隠しされている。いやもう素晴らしいかな。そんなふうに思っていたら、意識が遠のいていった。



目覚めると夕方だった。……えええええええ。私、まさかの「FINAL」を見逃した?? 

ツイッターを開くとTL上にグクが涙しているツイートががんがん流れてくる。うっわ。これを私は見逃したのか。自分で自分に言いたいんですけど……。「お前は本当にファンなのか!!!???」

慌ててツイッターを検索してみると、優しいファンのだれかが訳してくださった、ゆんぎの語った「挨拶」が見つかった。

ボンボヤ・マルタ編を思い出した。途中で帰国することになったゆんぎは、一切感情を出さずに逆に穏やかだった。インタビューもちょっとだけしんどそうには見えたけれど、微笑みながら、とても冷静に答えていた。

たぶん、これはめちゃくちゃ私の勝手な予想だけれど、クリエイターでもあるゆんぎはずっと「伝わらない」ことに苦しんだのだと思う。でも、それはファンには伝わっていることを、喜ぶようなコメントだった。

ゆんぎは嬉しいときに、泣いてしまう人なのかもしれない。

「これから笑っている日ばかりがあればいい」という言葉が、さらに胸を打った。

WINGSのツアーが終わり、その後2018年初頭に彼らは「解散」について話あっている。泣いているメンバーの姿にそれを重ねては思いを馳せてしまうものの、かたやジンはとっておきの笑いを披露してくれていたようだ。

過去にこの映像に何度か触れたことはあったけれど、今日のこのタイミングでFINALの彼らを見るべきだったんじゃないか君(私)……!

ツイッターで私がつぶやきもせず「黙秘」みたいになってたのはこれのせいです。


その後、仮眠がメキメキに効いたのか、元気になってはもりもりと買ってあった手巻き寿司を食べながら、3部の<BTS 4TH MUSTER [Happy Ever After]>と4部の<BTS WORLD TOUR ‘LOVE YOURSELF>を続けてプロジェクターで見た。

「 4TH MUSTER」の衣装がとにかくヤバい!ジミンってなんでこんなに赤が似合うんだろう。光沢のある黒のジャケットを着こなしながら、踊るテテのすべての完璧さにちょっとカッコよすぎておかしくなりそうになる。テテは連日、WEVERSEにコメントを残してくれたり、動画もあげてくれていた。いい子だなあ。また、スクショを撮りまくってしまう。


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「LOVE YOURSELF」では、ピンク色の髪のジンがピアノを弾いていて、とてもとてもきれいだった。ああ、ジンさんに2日間、なんども笑わせてもらったなあ、とやっぱりこの人のファンでよかったなあ、と思う。

そういえば、先週金曜深夜のことだ。韓国で開催された「MAGIC SHOP」のDVDを見ていて、それを見ていたら最高にメンバーが愛おしくなって、北米ツアーに行けないのがまた悔しくなって、その後なぜか換気扇の掃除を始めたのだけれど(朝までかかった)、ジンが最後の挨拶でメンバーをそれぞれ抱き合わせては「ずっと毎日7人にでいることが希望です」「それが幸せです」といったような言葉を残していた。

「BANG BANG CON」では、21時頃、そしてラストにメンバー全員の映像が映し出されていた。ピンク髪のそのハンサムな彼に、「ジンさん願いが叶ってるよ」「よかったね」と心のなかで呟いた。

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2020年4月、春のある日。こんなふうになるなんて、まったく思っていなかった。

自粛要請は出ているけれど、仕事があるので外に出ないといけないときもある。未知のウイルスが蔓延しているかもしれないなかで、ギクシャクとした笑顔で、今日も働いている。コピー機のボタンひとつ押すにも、どこか戸惑いながら。

たまに、くるってしまいそうになる。狂わないように、狂わないといけない。ナムさんの言葉を、なんとなくリフレインしてみる。


ふいに考えた。今の世で、彼らのファンじゃなかったら、この週末、私はどんなふうに過ごしていたのだろう?

たらればだから想像でしかないけれど、じっと塞ぎこんでいた気がする。


プロジェクターの設置にあたふたしたり、こんなふうに寝過ごしては謎に焦ったり、彼らのパフォーマンスにたぎっては、彼らの涙に涙してしまったり、世界中からあらゆる言語で感想が流れてきては、共感したり。「ファン」という共通点のみで、これまでまったく知らなかった誰かとSNS上でつながれて、今日も感想を言い合っていて、あまりに趣味や趣旨がコロコロ変わる私のツイッターにずっといてくれているそんな誰かが、私が買った紫陽花を、いいね!と褒めてくれる。

こんな世でなかったら紫陽花の写真をツイートする気もなかった。いまの状況下で、彼らを好きになっていなかったら、気づかなかった。

そんな素敵な週末は、きっとなかったはずだ。


このタイミングでなぜ彼らを好きになったのだろう、とは思わなくなった。

BTSをこのタイミングで好きになれてよかった、と心から思った。

めちゃくちゃ週末楽しかった。私は、とてもラッキーだ。とても高揚しているし、感動している。久々に文字を書きたくなった。


どうか、来年の春は。

笑ってばかりいる春の日でありますように。














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