それでも生きている
私が障害者となりはや十年。こんな非生産的な身体で長生きがしたいとも、できるとも思っていなかった。
Wikipediaでは診断後の余命は3-5年のはずだった。
最初のうちは、少しでも長生きしようと、いろいろと調べた。
民間療法を調べるうちに、アメリカの先生とにたどり着いた。
その先生はココナッツオイルでALSも含み様々な疾患に試して、先生曰く「効果がある」と。
先生はアルツハイマー型認知症の夫に服用させたら、改善が見られたとおっしゃった。私も試したいとメールしたら、ALSで成果がでてるひとを紹介してくれた。
何度かその人とココナッツオイル療法についてやり取りをするうちに、偶然にも同じメキシコシティに住んでいると言う。
早速意気投合して会うことになった。
ブッチは私の最初のALS友達となった。ブッチと初めて会ったのは、メキシコシティーのソカロ(ダウンタウン)に行く道の少し手前のカフェだった。ブッチに会う前は物凄くドキドキした。なぜなら、当時の私は歩行器を使いながら歩ける状態だった。
ブッチのALSの進行具合が私のずっとさきをいくようならどうしよう?
それは自分の成れの果てとなるのが怖かった。
会う約束をしたことを後悔した。
ところが、私の予想とは裏腹に、ブッチは松葉づえを使ってはいたが、まだ声も出るし身体の動きも私より軽やかに見えた。
ブッチはグレーヘアのアメリカ人の初老男性だった。
常に屈託のない笑顔で話すブッチは、ALSに真剣に向き合っていて、負けていなかった。ココナッツオイルの他に自分が試して効果があることは
すべて見ず知らずの新しいALS友達である私に伝授してくれた。
私はこのぶっちに刺激を受けて、また感化され生きる選択をした。
そして、12年たった今も生きてるのはブッチのおかげだ。
願わくば、私もブッチのような他人にも刺激と感化できる人になりたいと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?