三菱電機を退職しました

最近再び自殺という痛ましい事件で話題となった三菱電機。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53093020X01C19A2000000/

引き金となったのは上司からのパワハラとのことでしたが、私も三菱電機にいた際にパワハラ被害を受けました。その時の音声を録画し、youtubeにあげています。(内容の詳細はyoutubeの説明に投げます)

※12/12:youtubeにコメント追記しました

当時はショックを受けましたし憤りも覚えました。ただ、録音をとったので物的証拠はバッチリ!ということで社内のパワハラ相談窓口に相談しに行きました。窓口の方は丁寧かつ親身に事情を聞き取って下さりました。

今回の内容は脅迫罪に当たるのではないか、社内規定に則り厳正なる処分(懲戒解雇)を!と思ったのですが結果から申し上げますと、該当職員は出勤停止1日という非常に軽い処分で終わり、今もなお元気に働いていることかと思います。

このパワハラが私の退職に大きな影響を与えたかというと、実はこの時既に退職先を決め上司に退職の意図を伝えた後の出来事だったため全く関係はありません。(辞める後押しにはなりましたが笑)

後ほどこの問題について振り返っています。

何が退職を決める要因だったか

転職活動をする際にやはりよく聞かれる内容でしたので、その当時あげていたのは以下3点、

1. プロジェクト崩れが頻発しており本来の計画通りに開発や研究を進めることが出来ない状態にあった。(研究所という先進的な内容に取り組むべき場所にいてさえも)

2. 給料が成果や実力とは全く比例しない完全年功序列制であるためモチベーションが上がらなかった。また例え偉く(課長や部長、所長(各工場における社長のようなポジション))になったとしても1.にあげた出来事が起きると社内の情勢に大きく左右され殆ど裁量権がないように感じ魅力的に感じなかった。

3. よいモノづくりがしたいと思って入ったにも関わらず 1 点目のためにただ工程に間に合わせるための作業や社内調整に追われてしまう。

をあげていました。

単純には自分の下調べが甘かったというだけの話かなとも思います。特に3についてはプロジェクト崩れが起こっていないような場所であっても社内調整に追われているというところも多いかと思います。

社内を覆う閉塞感

パワハラの件やプロジェクト崩れの件について社内の多くの人は「問題だ」、「なんとかしないといけない」と思っているにも関わらず止めることができません。

何故でしょうか?

パワハラによる自殺者を出す一方で、三菱電機は「人を大切にする風土」を掲げ実際に事業売却やリストラを殆ど(全く?)行なっていません。そして毎年数百人もの新卒採用を行なっています。

何が起きるでしょうか?

数百人もの人を採用すれば数人は怒りっぽい人やコミュニケーションが不得手な人というのはいます。三菱電機は「人を大切にする風土」を掲げており、また労働組合も非常に強いので怒りっぽい人が多少問題(パワハラetc)を起こしても閑職に飛ばされるだけで済んでしまいます。コミュニケーション不足によりプロジェクト管理がままならず、数十億、数百億もの赤字を出してもリストラされることはありません。なんて優しい会社なんでしょうか。このように問題人材が滞留していくわけですね。勿論こういった問題人材が課長や部長といった偉い役職になることは流石に滅多にありません。(一人やばい人と遭遇しましたが一年で左遷されていました)

ところで会社内において会社側の人と従業員とを分ける線引きは何でしょうか?

三菱電機においては課長以上の役職であれば会社側の人、それ以外は単なる従業員になります。MSという管理職相当の役職がありますが、それでも単なる従業員です。つまり大多数の人は労働組合の庇護を受ける従業員です。これはこないだ問題を起こした教育担当も例外ではありません。(課長や部長が教育担当となることはないです。)

三菱電機はブラック企業だ!と言った時に長時間労働を強いたりパワハラ事件を起こしているのは被害者と同じ単なる従業員です。じゃあ課長や部長といった人がキチンと指導する監督責任がある、とはいっても1日中張り付いて見ているわけにも行きませんし、あまりにきつい指導をするとまたパワハラだなんだと言われる羽目になりかねません。

結局多くの場合、従業員同士で問題を起こしているだけなんですよね。じゃあどうすればいいんだ?リストラかとなるのですが、それはそれでまた問題になりますし、リーマンショックの際にリストラをせずに乗り切ったという成功経験が更に足枷になっています。

いやいやトップが何か抜本的な施策を打ち出せばいいじゃないか!とも思いますが、トップにたどり着くまでは非常に長い道のりがあります。三菱電機の場合課長になるのが50歳前後で年収は1200万、部長・所長が55歳前後で年収は1500万〜2000万といわれています。それが更に偉い役職(本部長・社長)になると急に1億〜3億という報酬が特に何もしなくても(それまでの成果が見られた上でのものなので語弊がありますが)貰えるわけです。業績自体はそんなに悪くない(むしろ良い)のに、わざわざ多くの従業員や株主の反対を押し切って抜本的な改革を!となるかというとそうはなりませんよね。

以上は全て私の私見です。今考えてみると私が退職に踏み切ったのも根本的にはこのまま何も変わらないのではないか、という閉塞感を打ち破りたかったというところが大きいのかな、と思います。

現職

退職して今何をやっているかというと3年後あるかも分からない小さなAIのスタートアップで働いています。数万人規模の大企業から数十人規模の会社ということで大きな冒険にはなりますが日々楽しくやっています。

終わりに

退職してしばらくたち、三菱電機の問題について考えてみました。ここまで散文にお付き合いいただきありがとうございました。

様々なご意見あるかと思いますが、ご参考までに。

これからは単なる一技術者として記事をあげていければなと思います。


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