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発熱外来体験記 ー社会はあなたの映し鏡ー

全国的に新型コロナウィルスの感染拡大中ですが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

近年の夏は以前に比べてかなり暑くなっているように感じます。
我が家でもエアコンをフル稼働。と思えば、急に気温が下がったりすることもあり、体調を崩してしまいました。

このご時世、喉痛、頭痛、咳、倦怠感、発熱、とくるとコロナの感染が疑われます。

私は去年から外出は週1度の自家用車での買い物と動物病院だけ。
外食は皆無、友達とはメールのみ。仕事は完全オンライン。
手洗いうがいはもちろん、買い物、宅配、郵便は全て消毒。

これ以上は防ぎようがないくらい感染防止対策をしていたのでコロナに感染した覚えはないのですが、微熱が3日続いたためにPCR検査を受けることにしました。

まずは近所でPCR検査をしているクリニックを調べ、発熱外来にネットで予約。翌日、予約時間に行ってみると前の方が長引いているようでクリニックの外で待つことに。もちろん、受付から待合室までしっかりと感染対策をとられています。

声がかかり中に通されると、アクリル板で区切られた席にすでに数名の方が待っており、順番に検温と問診を受けられていました。
私は緊張のためか38度を超えてしまい、看護師の方から「苦しくないですか、辛くないですか」と声をかけていただき、それだけでも安心します。

問診の話がなんとなく聞こえてくるのですが、濃厚接触の方や私と同じように発熱の方など、様々な方がいらしているようです。勤務形態や生活習慣、接触者など丁寧に聞かれ、さらに血中酸素濃度も測定。

私は「症状がいかにも夏風邪なのですが・・・」と恐縮していると、慌ただしい状況にも関わらず「見分けが難しいので、検査したほうがいいですよ」と笑顔の神対応。

それから再び順番を待ち診察に入り、看護師さんにPCR検査をしていただき、最後にドクターの診察です。
コロナ感染している場合、服用する薬によっては悪化するという専門家の話を聞いていたので、薬は一切飲んでいない旨を伝えると、「薬を出すので安心してください」と落ち着いた声のトーンで言っていただき、「夏風邪の症状であるけど、コロナ感染の可能性がゼロではないので検査の結果を待ちましょう」ということになりました。

私が行ったクリニックでは処方薬もその場で渡され、回復後に代金を薬局に支払えばいいという、感染拡大を防ぐ理想的なシステムになっていました。

そして翌日には検査結果が届き(LINEかメールか電話を選択します)、結果は陰性。やはり典型的な夏風邪でした。クリニックの迅速丁寧な対応に本当に助けられ、安心から体調が少し良くなったような気がします。

そして何より、毎日12時間も切れ目なしにコロナ感染の疑いのある患者さんに優しく笑顔で寄り添ってくださるこのクリニックの医療従事者の方々には感謝という言葉だけでは伝えきれない気持ちを感じました。

防護服やゴーグル、マスクはしていてもご自身が感染し、最悪命を落とす可能性がある状況での精神的な疲労は計り知れません。もちろん、このクリニックだけではなく、感染者病棟で治療にあたっている皆さまも魂を削るような想像を絶する激務のことと思います。

そうした医療従事者の方に向けて何ができるのか、寄り添うことができるのかと考えると、とにかく感染しないことです。

例えば、エッセンシャルワーカーの方々が安心して通勤できるように時差通勤をしたり、テレワークができる方は人との接触を最小に抑えるなど、今できることをきちんとやる。また、多くの方に同じ想いを持っていただくように伝える努力をする。今の感染状況では、やりすぎて困るということはありません。
(本来は積極的なPCR検査をして隔離、根絶やしすることが有効のように思いますが、日本の政府自治体にはまだまだPCR抑制論がまかり通っています。)

五輪だって開催したのだから、自分も旅行に行っていいじゃないか。
自分だけ真面目に自粛しても変わらない、だったら遊びに行こう。
みんなで騒ぎたいし、周りに感染者はいないし、飲みに行こう。
風邪と大して変わらないのだから、運が悪くない限り死なない。
ワクチンを打ったのだからマスクはいらない。
自分は健康なので重症化することはないだろう。

こうした想像力が欠如した行動の結果、感染することで社会に負担をかけてしまうことを理解していますか?

自分が感染したら、周りの方々は濃厚接触者となります。そして、治療に対応してくれる医療従事者の皆さまにも愛する家族やペット、パートナー、友達がいます。けれども我が身の危険を顧みず「自業自得で感染した人は検査も治療もしません」などと言わずに全ての人に寄り添ってくれます。

そうした医療従事者の皆さまに報いるためにも、私たちは1日も早く感染拡大を抑えるための努力をしなければなりません。一人一人が想像力と危機感を持ち、行動することが大切です。

今年に入ってから、私は何度もこのガンジーの言葉を思い浮かべました。

『あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
それをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである』

都内では自宅療養中に症状が悪化したにもかかわらず、救急搬送されない方が1160人にも上りました。
私たちが生活する社会とは、人と人との繋がりでもあり、自分の行動が社会に影響することを忘れないでください。
よい影響も悪い影響も自分の行動次第。
誰もがおかしいと感じる今を、当たり前と思わないように。
自分で考えることを放棄し、あきらめてしまわないように。
ひとりひとりがよい行動をしていけば、必ずこの苦難を乗り越えられるはずです。

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