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我が心は石にあらず

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近世~近現代を中心に部落史・被差別民衆史・部落解放運動史・部落史像について考察しています。また,部落問題を解消するための論考や実践的な提言をしていきたいと考えています。
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#部落史

部落史ノート(1) 「賤民史観」とは何か(1)

個人的なことだが、今年になって数回に分けて家の片付けと、書斎および書庫の「断捨離」をおこ…

藤田孝志
1年前
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新たな部落問題の課題(7) 「誇りの語り」の意味

黒川みどり氏の『[増補]近代部落史』に、次の記述がある。前々回にも引用したが、あらためて…

藤田孝志
1年前
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新たな部落問題の課題(6)置き去りの部落問題

黒川みどり氏の『[増補]近代部落史』に、最近の「意識調査」についての考察が述べられている…

藤田孝志
1年前
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新たな部落問題の課題(5) 「部落史の見直し」再検討

黒川みどり氏の『[増補]近代部落史』を読み終えて、あらためて部落問題の困難さを痛感してい…

藤田孝志
1年前
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新たな部落問題の課題(3) 思い込みと偏見

一度思い込んでしまうとなかなか修正ができない人間が多い。情報を正確に認識して理解できない…

藤田孝志
1年前
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差別の連鎖(藤野豊)

『複音と世界』(2022.3月号)に、藤野豊氏の「部落問題をめぐる差別の連鎖」が掲載されている…

藤田孝志
1年前
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「政治起源説」への疑問

部落解放研究所のHPにあるPDF版『部落解放研究紀要』(1997 6)に,渡辺俊雄氏の「活人活論『いま,部落史がおもしろい』その後(2)」が掲載されている。 渡辺氏の『いま,部落史がおもしろい』など一連の本が「部落史の見直し」に人々の目を向けた功績は大きい。私自身も気づかされたことは多く,部落史研究に取り組むきっかけの一つにもなった。 …これまで近世政治起源説がイメージしてきたように「違いのないところに差別をつくった」のではなく,そもそも違いがあったことを意味している。 だ

「死体の塩漬け」

少しグロテスクな話になるかもしれないが、時代のちがいは制度や法のちがい、認識や価値観のち…

藤田孝志
2年前
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身分統制令の意味:雨落ちの線

石瀧豊美氏のブログ『部落史のファイル』の【『菜の花』の読み方(12)「穢れ」意識と『菜の…

藤田孝志
2年前
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瀬戸内の被差別民(1):讃岐高松

全国部落史研究交流会編『部落史研究6 瀬戸内領国賤民制の構造と特質』に,山下隆章氏と頭士…

藤田孝志
2年前

部落史の諸説Ⅱ

黒川みどり氏の『近代部落史 明治から現代まで』を再読している。 新書版ということもあるが…

藤田孝志
2年前

部落史の諸説Ⅰ

振り返ってみれば,部落問題から部落史へと踏み込んだ30数年前は,部落史関係の著書は非常に…

藤田孝志
2年前

目明しと岡っ引き

江戸時代を舞台にした、いわゆる時代劇には「目明かし」「岡っ引き」と称する「同心」の下で犯…

藤田孝志
2年前
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部落史学習の目的と史料(史実)の解釈

教科書には「江戸時代の身分制度」のみならず「中世の賤民(河原者)」や「解放令(賤民廃止令)」「水平社宣言」など、部落史に関係する記述がある。以前の教科書以上に詳しく、最新の学術研究の成果も加味された内容になっている。30年程前に活発に論議された「部落史の見直し」の成果が徐々に教科書記述にも反映され、さらに解明された事実や新たな歴史認識も取り入れられて今日に至っている。 しかし一方で、同和教育が人権教育に移行して以降、部落問題や部落史が学校現場で語られることは逆に少なくなってい