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つながり上手は助けられ上手-広石コラムVol.17

先日、近くのスーパーでお買い物をしていたら、突然後ろから「大根取っていただけますか?」と声を掛けられ、振り返ると車椅子の男性が商品に手が届かず困っている様子。こういうことが無ければ気付きませんでしたが、車椅子の視点から見てみると、届かないと思われる陳列がとても多く、こういったお店にも皆が買い物がしやすくなるコンシェルジュのような人が居たら良いのにな、地域でそういうシステムとかあったらいいのにな。と思いながら、こちらのコラムを思い出したのでご紹介します!(事務局 新村)

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「地域の中でのつながり、助け合いが大切」と声にすることは簡単なのですが、実際に行おうとすると、とても難しいことです。

まず、隣の人、近所に住む人がどんな人か、わかりません。長く住んでいても、困った時に頼れる人なのか、どのような考えなのか、よくわからないですし、そもそも、顔もよく知らない人もいます。

「地震が来た時には、ご近所とつながっていた方がいい」とわかっていても、何から始めたらいいのでしょうか?突然、近所の家に行き、「あなたと私で、つながりませんか?」と声かけると、とても謎な存在になってしまいます。「迷惑な人」になってしまうかも。

人と人がつながる、困った時に助け合える人がいる、誰かが何かを始めるのを近くに住む人が応援する。そんな、ごく普通なことを行えるようになるには、今の時代、道筋が必要です。

僕たちが「文京ソーシャルイノベーション・プラットフォーム」で取り組んできたのは、このような関係を「地域の基盤」として根付かせることです。

地域の入り口であり、地域に出会う「対話」から始まり、思いを整理して周りに伝えることで仲間を増やす「アクション講座」、チームをつくり、多様な人と話し合うことで理解を深め、事業力を高める「活動支援」という3つのステージを組み合わせることで、「何か地域に役に立ちたい」と思う人が区内各地で活動を始める。その活動を通して地域の人が出会い、仲間が広がる。身近にモデルがあること、活動している人が「見える」ことで次の人が参加しやすくなる。

3年間で50以上の継続プロジェクトが地域から生まれることも大切ですが、その生まれるプロセスで「顔が見える」「助け合い方が根付く」ことを目指してきました。それらの取組を通して強く感じるのは、「助けてもらえる力」の大切さです。先ほど、「近所の人がどんな人かわからない」と書きました。逆に、自分も近所の人に「自分がどんな人か、何に困っているのか、何ができるか」伝えていないのです。

自分が活動を立ち上げたい。だから、人に伝えます。そして、自分だけではできないことがある。そんな時に、周りの人たちが助けてくれる。

そうやって、少しずつ「助けてもらえる力」を伸ばすことが、地域のつながりを生み、地域の起業を生み出す力を伸ばすことにつながるのです。

自分の実現したいことを相手の“得意なこと、上手にできること”で助けてもらう。それは、相手の出番をつくることになります。さらによく実現するため、「次に一緒にできること」を考え、実行する。だから仲間になれるのです。

私たちは、つい「助けられる」ことを避けてしまいがちです。
・「こんなことができないの?」と思われるのが恥ずかしい
・相手に迷惑をかけるのでは?時間をとらせてしまうのでは?
・断られたら、違うと言われたら、どうしよう?
・甘えている、弱い人間と思われるのでは?
・「自分は大丈夫」と思っていたい

これらは、自分に関心が向いています。これを、実現したいことがあるから、他の人の力が必要だ!と考え始めると、他の人に関心が向きます。

「助けられ上手」を増やすことが、地域につながりや起業を増やすことになる。そのためのプログラムを、お伝えしていきたいと考えています。 
                    (エンパブリック代表 広石)
                        2016年12月2日記 

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自分にとってはとても大変で困る事なのだけど、他の人からしたらすぐに出来て、助けてもらえる事ってたくさんあるのかもしれないですね。助けてもらうって、つい遠慮がちな方向に思っていましたが、「持ちつ持たれつ」と思って、その分自分も出番がきたら誰かのお手伝いをさせてもらうぞ!精神でいると、自分も助けられ上手になれるような気がしました!(新村)

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