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「最高の一瞬のために」ー広石コラムVol.37

日々コロナの感染者が増え続け、不安を抱えている方も多いと思いますが、そんな中、毎日テレビで放映されているオリンピックでは各競技の選手たちの姿が励ましになったり、感動をもらったり、やっぱりスポーツなど本気で挑戦している姿は本当に素晴らしいなとつくづく思う毎日です。メディアでは色々な意見が飛び交っていた開会式ですが、「サステナビリティ(持続可能性)」「SDGs(持続可能な開発目標)」「多様性」「コミュニティを一つに」などといった言葉やそれを感じさせる演出が見受けられました。スポーツとどうやって関係するの?としっくりこない方もいるかなーと思い、広石がわかりやすく書いていたコラムを思い出したのでご紹介します!(事務局 新村)
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東京2020年大会はもちろんのこと、近年のオリンピックでは「サステナビリティ」が大きなテーマとなっています。組織委員会では、気候変動、資源管理、大気・水・緑・生物多様性等、人権・労働・公正な事業慣行等、参加・協働、情報発信の5つの主要テーマと目標を掲げ、「持続可能性に配慮した運営計画」を公表しています。
https://tokyo2020.org/jp/games/sustainability/

そして、木材、紙、パーム油、水産物、農産物など調達される物品に対する「持続可能性に配慮した調達コード」も設定されています。昨年秋、調達コードについてのWWFの説明会があったのですが(WWFの解説ページ https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3924.html )
参加者の方からの質問で「オリンピックという話と、調達についての詳細な話の結びつきがピンとこない」という趣旨の質問がありました。

確かに、もしスポーツを「競技や試合」と考えると、調達についての詳細な持続可能性に配慮した基準はあまり関係ないように思います。しかし、スタジアムの競技や試合で生まれる“最高の一瞬”は、その時に偶然生まれるのではありません。そこに向けて、日々の努力があり、食事や生活環境も大きく影響してきます。

そのような関わる日々の努力の蓄積の結果、当日に起きる“最高の一瞬”を世界の人達が見守ります。もし、その日々で食べる物が自然や誰かを傷つけているとしたら、その舞台がどこかの森や人の犠牲の上に成り立っているとしたら、その“最高の一瞬”を人々は心から喜べるでしょうか?アスリートは、そこでの結果を心から誇れるでしょうか?

目の前で起きることを楽しむ、結果だけを置き換えるのではなく、スポーツを通してその日々を思い、目の前で起きていることの奥にあることを人々は共有します。“最高の一瞬”には、長い長い時間と、トレーニングや道具の科学やビジネス、そして、食べ物、環境、人権、関わる地域社会、多様な民族の存在、ダイバーシティなどの裏打ちがあってこそ実現します。

だからこそ、SDGsでもスポーツは重視されています。17の目標に文化やスポーツがないので、「スポーツはSDGsと関係あるのですか?」という質問もあります。しかし、SDGsを示した国連の採択文書「Transforming our world」のプロトコル37には、次のような文書があります。

(スポーツ)スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発及び平和への寄与、
また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する。

この夏の東京2020大会において、また身近な多様なスポーツにおいて“最高の一瞬”を生み出すことは、スポーツ関係者だけではできません。“最高の一瞬”が生まれる環境づくりに私たちにできることはたくさんあります。何ができるか、一緒に考えていきましょう!
                             代表 広石 
                         (2020年2月7日記)
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このコラムを読んで、わかるようなわからないような、、と思いながら居た部分がつながった方もいるのではないでしょうか。このコラムの後にコロナの流行が起こり、1年延期となって今の状況があるのですが、このコラムを読んでオリンピック・パラリンピックを見ると、また違う角度からの観戦や応援の仕方もあるのかなと思いました。そして今回のオリンピックではフードロスに繋がる問題がメディアでとりあげられているのを見て、とても残念に思う気持ちになりましたが、皆がこうやって問題意識を持つことがとても大切だと思いました。(新村)


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