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❝わかっていない人❞を超えるには?-広石コラムVol.10

最近、若者向けのファッションにも「サステナブル」という言葉が多く使われているのを耳にします。少し前まではサステナブルって何?といった感じだった若者たちが、何かのきっかけで、自分事として問題視して、普通の会話に出てくる状況にまでなっているのはすごいことだなと思いました。そこで、こちらのコラムをピックアップしました!(事務局 新村)

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地域からの活動の立上げ支援の仕事をしていると、時々質問されるのが「主体的な住民は、どうしたら見つかるのですか?」ということです。
それを問うのは、地域のコミュニティや福祉活動やへの参加を促したい行政であったり、環境問題など自分の問題意識をなかなか共有できないNPOであったり、地域課題への共感者や仲間を見つけるのに苦労している人だったりします。

その人も、地域にはNPOなどを立ち上げて動いている”主体的な人たち”の存在を知っています。自ら気づき、自ら主体的に動き出した人たちです。

ただ、動く人は限られていて、「地域の色々な会合があっても、参加者はいつも同じ」も、よく聞く声です。もっと多くの人に動いてほしいと思いながら、今、既に動いている人に頼ってしまう。それを繰り返し、なんとなく限界を感じた時に、「主体的な人は、どこに?」と思うのでしょう。

その問いに対しては、「あなたの期待するような人は、いないのでは?」と答えています。
自ら気づき、自ら動く人を”意識が高い”と考え、そうでない人を”意識が低い”と考えてしまうと、「色々感じるけど難しそうだし???」「何か自分が役立てたらいいけど、毎日、忙しいし???」と立ち止まっている人、漠然と「今の地域や社会は大丈夫だろう」と信じている人などは、”わかっていない人”として、自分とは分断した存在として扱ってしまいがちです。

そんな時に思い出していただきたいのが、「誰も最初から高い問題意識を持っている訳ではない」ということです。それは、今、問題意識を持っている人や活動をしている人も、同じです。誰もが何か・誰かに出会い、情報を得たり、経験を積んで、「今の自分」がいます。「今の自分は、自分自身でつくった」と思いがちですが、どのような経験をするかは、ほとんどは、周りの人など環境タイミング偶然などの積み重ねでしょう。もちろんプロセスの各段階での選択は自分で行っているのですが、全ての選択肢と全ての情報を把握して選択している人は、ほとんどいないでしょう。

現状の”意識の高い人””意識の高くない人”「別の人」と捉えるのか、同じような場所、同じような意識から、偶然の蓄積で分化してきた結果と捉えるのかによって、同じ地域の状況を見ても、「主体的な人はいるのか?」という問いになるか、「どんな機会や環境があれば、動き出しやすくなるのか?」という問いになるか、「問い」が違い、”意識の高くない人”への「問いかけ」は違ってきます。

簡単に「分断」が起き、その分断を煽る傾向にある社会環境だからこそ、多様な人たちの間の連続性を自覚し、それぞれの経験と選択を尊重しながら、分かち合っていくことが、改めて大切になっていると思います。
                     エンパブリック代表 広石
                      (2018年9月5日記)

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私自身、人や出来事との出会いで、問題視する事柄やそれについての知識がどんどん増えていっているなと考えさせられました。それは、私がそこまで高い問題意識を持っていなかった事柄に対して、そこで終わらずに話をしてくれる人達がたくさん居てくれたからだと思います。色んな考えの人達とつながれることの大切さを感じました。(新村)

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