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“速い馬”を求めていないか?-広石コラムVol.40

先日、ふとトイレ用擬音装置についてよくよく考えたらこれってすごいよね。と考え始めました。ボタンを押すと「ジャー」っと水の流れる音がするアレです。音消しになり節水につながるこれも、水の処理にかかる無駄な電力を減らすという身近なSDGsだな~というところから、どういう時代に開発されたんだろうと知りたくなり、調べてみました!すると、30年位前に各地を悩ませた渇水がきっかけだそう。皆にとって便利でそれを使う事によって皆が知らない内に無駄を減らしていく活動に参加できているという流れが素晴らしいな―と思いました。そこで!こちらのコラムをご紹介します。(事務局 新村)

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」

これは、ヘンリー・フォードの言葉です。彼はT型フォードの大量生産によって、自動車を人々の生活の必需品としました。しかし、T型フォードを開発している段階では、誰も自動車を求めてはおらず、顧客は「もっと速い馬車」を求めていたというのです。T型フォードの販売は1908年ですが、自動車の発明は1896年で世の中にありました。しかし、例え自動車の存在を聞いたとしても、「自分とは関係ない」と考えていたのでしょう。

この言葉は、マーケティングの世界では以前から有名な言葉ですが、最近、この言葉の重みを改めて実感する時が来たと感じています。

7月9日に「スターバックスが全世界でプラスチック・ストローを廃止する」というニュースが流れました。新聞、テレビ、ネットでも大きく取り上げられ、話題にもなりましたが、「突然、なぜスタバが、なぜストロー?意味あるの?」という反応も多くありました。一方で、僕は、こんなに大きく取り上げられると思っていなかったので、驚きました。

立教大の「サステナビリティ&ビジネス」の授業で「脱プラスチック」を取り上げていました。
脱プラスチック・ストローは、スタバが突然でも、始まりではなく、ヒルトン・ホテルなどグローバル・ホテルチェーンでも始まっていましたし、英国マクドナルドでも紙製ストローへの移行テストが始まっていました。台湾では、今年2月に、2019年からの使い捨てのプラスチック飲料用ストローの禁止を発表しており、2030年にはプラスチック製のストロー、ショッピングバッグ、使い捨て容器・器具を完全に使用禁止とします。

このような脱プラスチックの動きは、日本でほとんど報じられていなかったので、スターバックスが大きく報じられたのは、さすがスタバ!とも感じました。

スターバックスの本社のあるシアトル市は、今年7月から使い捨てストロー禁止と報じられていますが、実際は少し違います。シアトル市は、2008年にレストラン・カフェ・食品企業が、使い捨ての包装容器で食事を販売すること、自然分解しない・リサイクルできないカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)やストローを提供することを禁止する条例を出していました。ただ、ストローなどについてはコストに見合う代替品がなかったため、適用除外となっていました。

つまり、10年前から脱プラスチックは始まっていました。シアトルには約5000のレストランやカフェなどがあるそうですが、シアトル・レストラン連盟は、「私たちは環境保護を促進し、なおかつ顧客を十分満足させうる新たな商品開発を進めてきた」と述べています。

そして、NGO Lonely Whale と地元企業、公共施設、シアトル・マリナーズらが協力し、2017年9月、「Strawless in Seattle」が立ち上がりました。そして、9月だけで230万本の使い捨てストローを削減できたといいます。それを踏まえて、シアトル市長は2018年6月末で条例免除を終わらせ、使い捨てストローを禁止する都市となることを宣言したのです。

もし、スタバのストローのニュースを「突然」と思うなら、「意味あるの?」「日本では無理」という意見になるのもわかります。しかし、この10年、世界各地で「脱プラスチック」への動きを始めています。そして、リサイクルされない率が高く、紫外線で分解されやすいため負荷が大きく、短期間に100%達成できるものとして、脱ストローが第一弾として世界に広がっています。
「脱ストローなんて無理」と考えるのもいいのですが、そこで止まっていると、実は、脱ストローによって生まれる「新しい市場」を見落とすことになります。

2020年代は、脱炭素、脱プラスチック、SDGsなどの動きの中で、このような変化がどんどん起きていく時代になります。この10年に起きる変化は、IT革命と言われた2000年前後の変化を遥かに上回ると言われています。

よくわからない変化をスルーしたり、無理と決めつけたり、否定するのか、
よくわからない変化だからこそ、何が起きているのか知ろうとするのか。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう」

今、私たちには「速い馬を求めていないか」問われている時が来ているように思います。                    
                             代表 広石
                        (2018年8月16日記)
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このコラムを読んでも思いましたが、スタバにしても、販売する側がそういった努力をすることで自然に購入者を脱プラスチックの参加者にしてしまっているというところに、すごいなという思いです。ちょうど記事で、スタバが飲みやすさの観点から太いストローのままだったフラペチーノ(シャリシャリしたフローズンみたいなものです)も紙のストローに変えるとのことで、世間からは「ふにゃふにゃになる。」「紙だと。。」などの不満な意見もあるようですが、そんな気持ちもわかりますが、でもさ!そう言わず!多少飲みづらくても皆で参加者になって、今はコロナで難しいけど、またこれでどのくらいムダがへるだろうねーなんて会話を皆で楽しみながらお茶出来る日が早く来るといいですね!(新村)

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