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複雑な問題に挑むための”コレクティブ”-広石コラムVol.25

先日メディアで「ハインリッヒの法則」について流れていました。1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故があり、裏には300件の「ヒヤリハット事例」があるそうです。事故というものは、たまたますごいタイミングが悪くて起こってしまう事と思っていましたが、ただの偶然ではなく、色々な積み重ねが起こしてしまうものなんだと考えさせられました。そして事故にかかわらず仕事や日常的なことにも通ずる事だなと考えていたところ、ご紹介したいコラムを見つけたのでピックアップさせていただきました。(事務局 新村)
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新しい書籍「ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ」を発行しました。副題は「コレクティブな協働なら解決できる!SDGs時代の複雑な社会問題」というもので、ちっぽけな個人や組織が大きな社会問題に挑むために何が必要なのか?個別の問題への対応ではなく、持続可能な社会をつくるために、どんなシフトが必要なのか?をまとめたものです。

テーマは「みんなで挑もう」ということで、個人も、企業も、行政も力を持ち寄るために、何に、どう気を付けたらいいかをまとめたつもりです。
この書籍の内容は、これまで各地域や企業の現場で取り組んできた方たちとの経験や根津スタジオの講座での様々な対話があってこそできたものです。関わってくださったみなさまに改めて感謝いたします。

本書の制作は、気楽に始めたのですが、思ったよりも難産でした(^^;)最初、ラフに作成したものがあったのですが、読んでいただくと、なかなかうまく内容が伝わらない。そこで考えて気づいたのが、「問題、問題解決といった言葉自体の捉え方、考え方のシフト」が大切ということです。「問題解決」というと、問題を分析し、重要な原因を抽出して、それを取り除く考え方が一般的です。例えば、組織で問題が起きてると、「誰が悪いのか」を考えます。もちろん、誰か責任者をあげることはできますが、その人だけが問題を起こしている訳ではないのです。むしろ、誰かをスケープごーどにして悪者にすることで、既存の体質を維持することもあります。
以前、不祥事対応の専門の弁護士の方から「大きな不祥事を起こす会社は、その前に小さな不祥事を起こしていることが多い」とお聞きしました。小さな時にきちんと対応しなかったことが、大きな問題の芽にもなってしまうのでしょう。
小さな問題に、その場しのぎの対応をするのではなく、「問題の起きる構造」を見直すことが必要なのです。しかし、小さな問題ほど「そこまでしなくても」とも思いがちですが、そこを避けることが問題を深めてしまいます。組織でも、地域でも、それは同様です。
多数の要素が相互作用している「複雑な問題」を単純化して一つの原因と解決策にまとめるのではなく、多数の解決策が相互作用しながら対応力を高めていく「複雑な解決策」が必要となります。

その時のカギが「コレクティブ(=持ち寄る)」な協働です。当初、出版社から「コレクティブと協働は同意語では?」という指摘がありました。確かに、そうでもあるのですが、現状の協働は「コレクティブ」とは限らないのです。例えば、「行政とNPOの協働」と掲げながら、行政が決めた仕様でNPOに業務委託をし、決められた通りに動くことを求める場合も少なからずあります。地域の協働の基盤である組合活動が、組織的に動こうと上下関係になったり、組織の方針に縛られたりしがちです。
「みんなで挑もう」「一体となって動こう」になり、「同じように動く」ことが求められてしまうのです。
「コレクティブ」の前提にあるのは、個々の自立・自律です。それぞれが自分の考えや目標に向かって、自ら決めて動いていくことを前提としたうえで、目標やゴールを共有しているからこそ、コミュニケーションをし続け、お互いに学び合いながら、「決めた通りに」ではなく、「時々の状況で最適に」動けるような関係が、目指す姿です。
そのような関係を、どう作るか? ぜひ本書をお読みください!
https://empublic.jp/sp12steps
                        (2017年9月28日記)
                          代表 広石拓司

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小さな問題を都度処理していく重要さについて、色々考えさせられました。日々忙しく流れてしまうと、他を優先してつい後回しにしたり、そのまま忘れてしまったりしがちなので、まずは自分の身の回りから見直す良い機会になりました。(新村)

書籍「ソーシャル・プロジェクトを成功に導く12ステップ」はこちらからご購入いただけます。

姉妹本、SDGs人材からソーシャル・プロジェクトの担い手へ ~ 持続可能な世界に向けて好循環を生み出す人のあり方・学び方・働き方はこちらから


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