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情報が「伝わる」場づくりを!ー広石コラムVol.28

東京都でも3回目の緊急事態宣言の要請が出されるようですね。大変な思いをされている人達も沢山いらっしゃると思います。メディアで街頭インタビュー等を見ていると、若者たちを中心に「緊急事態宣言」に対して危機感のような物が感じられなくなっているなと思います。1回目の緊急事態宣言から1年が経ち、”何だかんだ1年大丈夫だった”みたいな意識が生まれているのかなと思うのと、「変異株」の増加に対しての危機感が言われていますが、このままいくとどうなってしまうのか?というイメージが出来るような「伝える」というた一番大切な事を、伝えるべき立場の人たちがもっと発信するべきではないのかなという思いで日々ニュースを見ています。「伝える」ということについて、広石が過去にコラムで書いていたので、こちらをご紹介させていただきます。(事務局 新村)
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先日の鬼怒川決壊は、周辺地域に甚大な被害をもたらしました。
被害があわれた方には大変な出来事だったと心を痛めています。

その後の報道の中で気になったのは、常総市で洪水ハザードマップが作成されており、平成21年に全戸配布されていたこということです。そのハザードマップは、今回の浸水地域を正確に示したものだったそうです。ただし、そのマップを住民は、あまり活かせなかったという報道でした。

各地区の行政が防災の取り組みとして力を入れているのが、災害が起きた時の被害想定を地図に落とし込んだハザードマップの作成です。その目的は、地図を通して、災害が起きた時の自分の住む地域のリスクを理解し、備えてもらうことにあります。行政は専門家の力を借りて情報を整え、成果物を住民に情報発信します。今回、行政は住民に情報を「伝える」取り組みをしていたのですが、住民に情報が「伝わる」ことが十分にできていなかったのかもしれません。伝えているのに、伝わっていない。この「伝える/伝わる」問題は防災だけでなく、地域づくりでも、行政でも、企業でも大きな課題です。

9/13に開催された文京ミ・ラ・イ対話「頼りになる情報源」では、災害に対応するために、どのような情報が必要なのか、どうやって情報を得るのかがテーマでした。そこで、防災の取り組みを実践してきた方からは、「いくら情報があり、情報を見ていたとしても、その情報を基にどう動くのか、自分自身で行動に落としこむ経験をしていないと、いざという時には動けない」「情報を見て行動するという結び付けをワークショップなどを通じて広げていくことが必要だ」といった意見が出されていました。

提供者側が必要だと考える情報は、たくさん発信されていますが、伝わっていないことも、たくさんあります。「情報が伝わる場づくり」を広げることは、緊急のテーマです。

私たちが、ワークショップ・デザインやファシリテーションなどの講座に取り組んでいるのは、「伝わる」に近づく方法を広げたいと考えているからです。誰かが出している情報を、自分事として受け止めてもらい、情報をもとに動く体験をしてもらう。それを通して行動変容を促すのが、「ワークショップ・デザイン」であり、気付きを促す運営をするのが「ファシリテーター」が担うことです。ワークショップを専門に行う人のためよりも、自分の発信する情報が「伝わる」コツを多くの人につかんでいただきたいのが、根津スタジオの目指しているところです。

また、慌ただしく過ぎる日常の中で、情報を出して終わり」という状態になってしまうことも、ままあります。「発信はしたけど、伝わっているのか?」を始め、日常の仕事を、一度、俯瞰的に丁寧に振り返り、「自分の仕事の意味は?」「必要な成果につながっているのか?」と問う時間が必要です。これが「リフレクション(ふりかえり)」へのニーズが高まっている理由でしょう。

防災に限らず、日々の仕事や活動の様々な場面で必要となる「伝わる場づくり」「ふりかえる場づくり」を、ぜひ取り組んでみてください!
                          代表 広石拓司
                       (2015年9月25日記)
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私自身も人に何かを伝えるという時にどうすれば伝わるかをすごく悩みます。言葉を伝えるなら伝言ゲームのように正確に伝えれば良い話ですが、相手に理解してもらえるようにとか、こうしてもらいたいと思って伝えるという事は難しく、こういった講座などでコツを知ったり、自分の思考のクセに気づいたりすることはとても大切だなと思いました。(新村)

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