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宇宙の年齢は、どうやって測るか【宇宙科学】

【この記事の要約】宇宙の年齢は138億年。最果ての銀河は334億光年先。これら天文学的数字には根拠がある。それを明らかにする

* * *

小林:2023年は、生成AIのニュースが絶えない一年でしたね。

社長:せやな。毎日のように新しい話が出てきたで

小林:もう一方で、今年は、天文学のニュースも熱い一年だったんですよ!

社長:へー、そうなんや

小林:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が挙げた成果のニュースが賑やかでした。これまで観測できなかった宇宙の深遠に迫ってますからね。

社長:ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ってなんや?

小林:2022年夏に本格稼働した、最新の宇宙望遠鏡です。従来の宇宙望遠鏡の100倍と言われる感度を持っていて、特に、宇宙誕生の謎に大きく関わる「ファーストスター」の観測という重要なミッションに迫っています。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)

社長:ファーストスター。宇宙で最初にできた星、のことか?

小林:仰る通りです。それを見つけられれば、誕生直後の宇宙の状態が分かるはずなんです。

社長:そうなんや

小林:で、それらのニュースを見ていて、ひとつ思っていたことがあるのですが‥。

天文学のニュースでは、よくケタ外れに大きな数字が出てきます。例えば、宇宙は138億年の歴史があることが判っています。また、現時点で人類が見つけている最果ての銀河は、地球から334億光年も先の場所にあります。これらはいずれもJWST稼働前から分かっていました。では、どうやって、そんなことが判るんでしょう?

社長:確かに。なんでやろ

小林:宇宙は、年輪を数えることもできませんし、定規で測るわけにもいきません。人類は、いまだ月より遠くに行ったことがなく、また、無人探索機が到達した最遠の場所でも、地球から0.01光年すら離れていません。それなのに、どうして最果ての銀河が334億光年先にあると判るのか。それって、庭先にいるアリが、そこから見える情報と知恵だけで、家屋の間取りや築年数を言い当てているようなものなんですよね。

社長:そう例えるとすごいな、人類。

6LDK で築25年‥

小林:そこで、今日は5つの「天文学的な数字」に焦点を当てて、それが算出された経緯についてリサーチしてきましたので、報告したいと思います。

社長:ええな。なんか面白そうな導入やんけ

小林:私もリサーチするなかで、天文学者や物理学者たちが持っていた、恐るべき慧眼と、そして、人類の積み重ねの偉大さを感じました。ぜひ、この面白さを分かち合えたらと思います。

社長:なんか難しい話が出てくるんかいな?

小林:難しいとは思いますが、前提知識として必要なのは、高校までの数学と物理だけです。できるだけ専門用語を減らした、シンプルな説明を試みるので、一度聞いてみてください。

ただし、私は専門家ではないので、表面的な理解しかできていません。私の説明は、あくまで導入だと思って、正確な情報を知りたい方は、参照元を見てください。

社長:わかった。やってみい

(1) 宇宙の年齢は138億年

宇宙の歴史

小林:この数字は、もしかしたらご覧になったことがあるんじゃないでしょうか。「宇宙138億年の歴史のなかで…」と、常套句として、よく使われます

社長:確かに

小林:この数字にも根拠があるので、それを今から解説しますね

社長:おう

小林:まず、宇宙は毎秒ごと少しずつ、膨張しています。

社長:それ、なんか聞いたことある気がする

小林:膨張により、全ての天体は、少しずつ地球から離れていきます。その膨張のしかたは「1光年という長さに対して、その長さが毎秒 約22ミリメートルずつ増えていく」というような、極めてゆっくりなスピードです。ゆっくりと、でも充分な時間をかけて、宇宙は広くなり続けています。

社長:そうなんや

小林:宇宙の始まりの頃から、今の広さになるまで、宇宙は膨張してきました。もし、膨張のスピードと、今の距離が分かっているのであれば、そこまで膨張するのにかかった時間を割り出せる。それが宇宙の年齢だろう、という話です。さっきの例でいうと、「毎秒22ミリメートルずつ膨張したとき、その膨張した長さが1光年分に達するには、何年かかるか?」を計算すれば、それがそのまま宇宙の年齢になるってことです。

社長:あ、そんなカンタンな話なんや?

小林:はい。厳密には、膨張が途中で加速していたりするので、そこまで単純ではないのですが、原理としては、こういう理屈です。その計算によって宇宙の年齢が導かれています。興味がある方は「ハッブル定数」という言葉を調べてもらえれば、詳しい解説が見られるかと思います。

社長:ハッブル定数か。ふーん

小林:で、あとは、この宇宙の膨張スピードを、どうやって正確に測定するか、という話が論点になります。その手法と精度ですね。

1999年頃は宇宙の年齢は120億年とされていたのですが、その後の研究で、値が塗り替えられました。現時点で有力な成果とされているのは、2013年にヨーロッパで行われた研究です。「宇宙背景放射」と呼ばれる放射線のむらを解析する方法が採られました。また2019年には別アプローチとして「重力レンズ」という別の現象を利用して、より精度を高く宇宙の膨張スピードを図る観測も行われています。

で、これらの観測を重ねた結果、現時点で宇宙の年齢は「137.87億歳 ± 0.20億歳」の範囲だろう、という計算が出ています。これをもって、宇宙は138億歳、と言われているわけです。

社長:そんな細かい精度で分かってるんや

小林:そうですね。ただし、これは、あくまで現時点での答え‥というだけです。2022年以降、JWSTの観測成果が加わることで、また議論は再燃しています。

というのもJWSTによって、初期銀河のことが今まで以上に分かった結果、これまでの理論だと説明がつかないことが出てきており、もしかしたら、前提となる理論モデル自体が誤りなのでは‥という意見も生まれています。

社長:あ、まだ揉めてるところ?

小林:はい。これはまだ議論の途中ですし、なにより、今後のJWSTのデータによって、理論の土台となる前提条件が塗り替わるので、まだ流動的な状況のようですね。これについては「CCC+TLハイブリッドモデル」で検索すると、最新の学説が分かるかと思います。参考文献欄からリンクを張っておきますね

(2) 太陽は天の川銀河の周りを、これまでに約20~25周している

太陽系の回転速度と中心までの距離

小林:太陽系は「天の川銀河」のなかにあります。

月は地球の周りを回っています。地球は太陽の周りを回っています。それと同じように、太陽は、天の川銀河と共に回転しています。

社長:せやな。それはなんか聞いたことある

小林:そして研究の結果、太陽は天の川銀河の軌道上を、約2億年で一周することが分かっています。太陽の年齢は、約46億歳なので、生まれてから、これまでに約20~25周しているのでは‥ということですね。

社長:なんで、そんなこと分かんねん

小林:では、その「太陽の年齢」と「公転周期」が、どのように算出されたかを説明しますね

まず「太陽の年齢」ですが、現在の理論でいうと、主星である恒星と、その惑星はほぼ同時期にできることが分かっています。なので、太陽の年齢は、地球やその周辺の小惑星の年齢と同じです。地球の年齢は、地球上に埋まっている隕石に、放射性年代特定法を施すことで分かります。化石などの年代特定に使うのと同じ手法ですね。

社長:放射性年代特定法、聞いたことある気がする

小林:次に、太陽が銀河の周りを回る「公転周期」について。公転周期は「太陽から銀河の中心までの距離」と「太陽の移動速度」が分かれば、計算できます。ケプラーの法則ですね。で、これらは2020年に、日本の研究機関が、精度の高い観測に成功しました。この観測には「年周視差」を利用します。地球は太陽の周りを回っており、春分の日の地球と、秋分の日の地球は、あいだに3億キロの距離が開いているので、それぞれの日に測定をすると、はるか遠い星でも、見え方が若干異なります。その差を利用して、はるか遠い銀河の中心までの距離を測定できます。

年周視差

社長:なるほど、それすごいな

小林:
余談ですが、仮に周期が2億年ぴったりだとして、その周期を地球の生物史に当てはめると面白いです。

地球の生物史

小林:この年表に沿うと
前に同じ位置を通った2億年前は、ジュラ紀。恐竜時代ですね。
・その前、4億年前は、デボン紀。やっと脊椎動物が海から地上に上がり始めたところ。
・その前、6億年前は、先カンブリア時代までさかのぼります。海にバクテリアのような原生生物がいただけです。

もし、その近くで地球を監視してる宇宙人がいたら、地球は「回ってくるたび、生態がずいぶん変わる星」に見えているかもしれません。

社長:今の地球を見たら、びっくりしとるかもしれんな。2億年ぶりに見たら、ホモ・サピエンスと家畜だらけや。

(3) 人類が見つけた最果ての銀河は、334億光年先にある

HD1 イメージ画

小林:2023年11月末時点で、人類が見つけた最も遠い天体は「HD1」という名前で、ビッグバンからわずか3億年後にできた銀河です。2022年に発見されまして、地球から334億光年先にあることが分かっています。

社長:え。ちょっと待て。なんで、334億光年先の天体が、地球から見えるねん?宇宙の歴史は、138億年しかないんちゃうんか。その天体からの光が届くのが間に合わへんやろ。途中で光速、超えてるやんけ

小林:鋭いですね。そうです。この星は昔はもっと近くにあったのですが、宇宙の膨張によって、どんどん遠のいています。2.47倍引き延ばされている計算になりますね。

社長:そういうことか‥。じゃあ、その「ビッグバンからわずか3億年後」って時期は、どうやってわかったんや?

小林:それも宇宙の膨張による影響を利用します。その星から発された光は、長い距離を進むうちに、宇宙の膨張によって、波長が伸びます。その波長がどのぐらい伸びているかを測定すると、年代が特定できます。この原理を「赤方偏移」といいます。

社長:なるほどな。

小林:赤方偏移は、天体の遠さを測る指標として、宇宙科学の世界で定着していますね。「この星の赤方偏移は13.3」や「この銀河は、赤方偏移が Z=13.3」みたいな言い方をします。赤方偏移という言葉を覚えておくと、天文学ニュースが楽しくなるかもしれません。

社長:そうなんや。覚えとくわ

小林:ちなみに2022年に、赤方偏移がHD1より大きい銀河、つまり「HD1より遠い銀河」をJWSTが見つけたとの話が出て、最遠の銀河の記録が更新されるかと話題になったのですが、2023年に入って、検証の結果、誤りだったとわかりました。

社長:あー、そんなこともあるんやな。

(4) 宇宙は、ダークマターが 26.8%を占める

ダークマター イメージ画

社長:急に分からん言葉が出てきたぞ。なんや、ダークマターって。

小林:順に説明しますね。我々がふだん知っている、空気や金属は、全て「物質」と呼ばれ、全て、陽子や中性子、それと電子を持っています。ただ、宇宙には、そうではない何かがたくさん存在することが分かっています。それらは、光は出さないが、質量はあることが分かっており、それを、仮想状の物質として「ダークマター」、暗黒物質と名付けています。

社長:なんか科学っぽくない、変な名前やな。光を出さへん、ってことは、目には見えへんねやろ?なんで、それが存在するってわかるねん

小林:目に見える物質の重さだけでは、説明がつかない物理現象が多いからですね。例えば、さっき言った、太陽の公転もそうです。太陽が銀河の周りを回るスピードから計算すると、銀河の重さって、もっと重いはずなんですよ。

社長:どういうこと?

小林:さきほど(2)のところで「太陽が天の川銀河を回るスピードと、半径が分かっている」という話をしましたが、ここからケプラーの法則を用いて、さらに計算すると「天の川銀河の総質量」を推定できます。

社長:え。銀河ぜんぶの星を足し合わせた総質量が分かるんか。それ自体が驚きやけどな

小林:はい。これにより、天の川銀河全体の重さは、太陽の重さの約1.5兆倍であることが分かっています。で、これは、見えている天の川銀河の恒星の重さを全て足し合わせても、まったく足りないんですね。数十倍から数百倍のレベルで不足がある。

ということは、恒星以外に、何か目には見えない、質量を持つものが銀河のなかにあり、それが太陽を中心へ引っ張っている‥と考えないと、つじつまが合わない。そういった理由でダークマターというものが仮想されています。

社長:そういうことか。

小林:ダークマターは80年以上前から、存在が予言されていました。また、その存在を示唆するような観測事実はいくつか判明しています。例えば重力レンズという現象ですね。

ですが、具体的にダークマターが何で構成されているのかは、未だ分かっていません。未発見の素粒子ではないか…という説が有力ですが、まだ確証はない状態です。

社長:そうなんや

小林:そんななか、2013年にヨーロッパで行われた研究で、観測可能な宇宙の中にある、質量とエネルギーのうち、ダークマターが26.8%を占めることが分かりました。

社長:どういうこと?現時点で、ダークマターは、まだ何かもわかっていないのに、宇宙にある割合だけが分かってんのか?

小林:はい、そうです。

社長:どんな研究したら、そんなん分かるねん

小林:「宇宙背景放射線の微小な温度のゆらぎ」を測り、それを理論上のモデルと比較することで、ダークマターの割合が分かるとのことです。‥すみません、これは私も説明を読んだのですが、詳細までは理解できませんでした。

社長:うーん、肝心の部分が分からへんな

小林:「宇宙背景放射の分布」というのは「宇宙最古の光」と呼ばれ、宇宙科学上、非常に重要な情報です。そこには、最古の宇宙の姿がありありと記録されています。天体物理学者のジョージ・スムートは、この観測結果を指して「神の顔を見ているようなもの」と言ったそうですから、よほどのことですね。

これまでも、宇宙背景放射を観測するためだけに、1989年、2001年、2009年と、三度も観測衛星が打ち上げられており、打ち上げられるたび、情報の解像度が上がって、そのぶん分かることも増えてきました。このダークマターの割合も、その成果のひとつだそうです。

社長:そうなんや。大事なんやな、その宇宙背景放射は

小林:あと、分からないついでに、もうひとつ「ダークエネルギー」というものもありまして‥。このダークエネルギーが、宇宙における質量とエネルギーのうち、68.3%を占めることが分かっています。

社長:なに?ダークエネルギー?なんかまた新しいもん出てきたな。それ実在するんか?

小林:はい。響きがもうファンタジー漫画のようですが、これは立派な科学用語です。ダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速させる性質を持つということが判っていますが、それ以外の詳しいことは、ほとんどわかっていません。いったんキーワードとして「ダークマター」と「ダークエネルギー」というものがある、ということだけ認識してもらえれば。

社長:そうか、わかった

小林:このあたりは、今後、研究が進むことに期待しましょう。JWSTによって、初期宇宙への分析が進むなかで、副次的にダークマターやダークエネルギーの議論も進展するかもしれません。

(5) 宇宙誕生から最初の37万年は、何も見えなかった

「宇宙マイクロ波背景放射」の分布

小林:ビックバン直後の宇宙は、何も見えない状態でした。その後、宇宙誕生から37万年後に「晴れあがり」が起き、世界は視認可能になりました。

社長:
また次々、分からん単語が出てきたな。なんや、晴れあがりって

小林:宇宙の晴れあがりとは、ビッグバン後、膨張とともに宇宙が冷えて、3000度まで下がった時の、宇宙の状態をいいます。そのときに電子が原子核と結合し、水素やヘリウムの原子が生まれました。逆に言うと、晴れあがりの前の時点では、陽子や電子、電磁波がまとまることなく飛び回っていて、原子を形作れる状況ではなかったということです。

社長:そうなんや。なんか「晴れあがり」って表現が独特やな。

小林:それを機に、光がまっすぐ進めるようになったからですね。晴れ上がりの前の状態は、高温・高エネルギー状態で混沌としていて、光ですらまっすぐに進めなかったのですが、晴れあがりの後は、光がまっすぐ進めるようになりました。そのイメージを、霧が晴れて視界が広がるイメージになぞらえて、「晴れあがり」と表現したのでしょう。

社長:で。なんやねん、その37万年、っていう具体的な年数の根拠は。

小林:これは調べた限り、観測事実ではなく、シミュレーションによる計算結果のようです。ここは素粒子物理学の領域で、私も詳しくは理解できていませんが…

まず宇宙の誕生直後にインフレーションが起こり、その1秒後に陽子と中性子が生まれて、3分後にヘリウム原子核が生まれた‥と、プロセスを順にシミュレートしていった場合、そのペースだと、37万年後には、原子核が電子をとらえ、原子が生まれたのではないか、という計算になるそうです。それが先ほどの「晴れあがり」にあたります。そして、そのまま、3億年後にファーストスターが誕生し、5億年後までには、最初の銀河が誕生した、というのが、いまある有力な学説です。

社長:そうか、シミュレーションの結果なんやな。まだ、観測による裏づけないんかいな?

小林:はい。現状の科学だと、この晴れあがり以前のことを観測するのがとても難しいんですよね。なにせ「見えなかった時代」のことなので。調べようがない。

ただ、これにも、JWSTの観測結果が絡んでくる可能性があります。そのシミュレーションの想定より早い段階で、星や銀河が生まれていたことを示す実例を見つけた場合、前提が変わり、学説の組み立て直しが必要になります。いつかJWSTの観測をきっかけに、思わぬ形で研究が進むかもしれません。

社長:JWST、すごいな

小林:はい。期待したいですね。

この晴れあがりの瞬間は、宇宙科学において非常に重要です。ここまで何度も名前が出ている「宇宙背景放射」が全宇宙に向かって放たれたのが、この晴れあがりのタイミングです。この「宇宙背景放射」と「晴れあがり」は重要なキーワードなので、覚えておくといいかもしれません。

最後に

小林:リサーチは以上です。私が調べた範囲の知識なので、もしかしたら、不正確な部分があるかもしれません。ぜひお詳しい方がいらっしゃいましたら、指摘いただきたいです。

社長:せやな、専門家がもし読んでたら、遠慮なくつっこんでほしいで

小林:で、最初に言ったことに戻るのですが、今日の話を聞くと、いかに人間がごくわずかな観察事実から、思考を積み重ねて、この事実認識にたどり着いたか、うかがえると思いませんか?

社長:ほんまやな。わずかな情報を元に、理論を積み上げてるんやな

小林:はい。そうなんです。これを慧眼と呼ぶのでしょう。

社長:科学者たちの洞察のたまものや

小林:そして、科学者ですら情報はわずかなので、一般人となると、いよいよ、何も一次情報がないんですよね。今日の話も、私の目で見た事実は、何ひとつないですから。私にできるのは、太陽と月を目視するぐらいで。庭先のアリほどの情報すらない。仮に全部が嘘だったとしても気づきようがないです。

社長:まあ、そうやな。見えてるもんだけ信じてたら、お前はいまだに天動説を唱えてるんちゃうか

天動説

小林:そうですね。一次情報が何もないけど信じている‥という意味で、今の私の状態は、神話や聖典を読んで、神々の世界を信じた昔の人々と、本質的には同じです。こうして目に見えない虚構を受け入れる力が、人間の特性なのだと実感しますね。

まあ、仮にですけど、これら全てが壮大なフィクションで、私は騙されているのだとしても、これだけ巧妙に構築された世界観なら、十分に優れた神話として、私は信奉できますよ。設計者に敬意を払いつつ、喜んで現代科学を信仰しようと思います!

社長:せやな。科学に、死ぬまで騙してもらえ

(了)


【参考】JWSTについての解説


【参考文献】

(1) 宇宙の年齢は138億年
ハッブル定数
https://official.rikanenpyo.jp/posts/6283
https://www.kitakaze.space/calculate-the-age-of-the-universe/
https://sorae.info/astronomy/2019_4_29_n11.html
https://sorae.info/astronomy/20191026-hubble.html
https://www.neomag.jp/mailmagazines/topics/letter201710.html

CCC+TLハイブリッドモデル
https://sorae.info/astronomy/20230723-ccc-tl-hybrid-model.html

(2) 太陽は天の川銀河の周りを、これまでに約20~25周している
太陽の年齢
https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E5%B9%B4%E9%BD%A2-157521#:~:text=%E5%85%83%E7%B4%A0%E3%81%AE%E5%90%8C%E4%BD%8D%E4%BD%93%E6%AF%94,%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
https://www.astroarts.co.jp/news/2011/05/30star_age/index-j.shtml

太陽系と天の川中心との距離
https://www.miz.nao.ac.jp/vera/content/pr/pr20120925/c04.html
https://sorae.info/astronomy/20201128-milkyway.html
https://www.miz.nao.ac.jp/vlbi/astrometry_of_S269.html

(3) 人類が見つけた最果ての銀河は、334億光年先にある
HD1
https://tiisys.com/blog/2023/08/16/post-125673/
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/08/52276/
https://executiveheadlines.com/education/distant-galaxy-hd1

CEERS 93316
https://sorae.info/astronomy/20220818-ceers-93316.html

(4) 宇宙は、ダークマターが 26.8%を占める
https://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/darkmatter.html
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10536_milkyway
https://sorae.info/extra/dark-matter.html
https://smbiz.asahi.com/article/14609785
https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5310/
https://wired.jp/2019/02/11/for-dark-matter-hunters/

(5) 宇宙誕生から最初の38万年は、何も見えなかった
ニュートンプレス(2023)「Newton 別冊 宇宙の終わり 誕生から終焉までのビッグヒストリー」
https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/1419
https://www.nipponsteel.com/company/nssmc/science/pdf/V15.pdf

画像引用元
JWST
https://science.nasa.gov/mission/webb/

宇宙の歴史
https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/1419

太陽系の回転速度と中心までの距離
https://www.miz.nao.ac.jp/vera/content/pr/pr20120925/c04.html

年周視差
https://www.miz.nao.ac.jp/vlbi/astrometry_of_S269.html

地球の生物史
https://finding-geo.info/basic/geologic_time.html

HD1 イメージ画
https://executiveheadlines.com/education/distant-galaxy-hd1

ダークマター イメージ画
https://wired.jp/2019/02/11/for-dark-matter-hunters/

晴れ上がりの直後を捉えた「宇宙マイクロ波背景放射」
https://www.asahi.com/articles/ASN3Y3JHFN3KUBQU00C.html

天動説
https://studywalker.jp/minitest/0012/008/


※本記事にはフィクションが含まれます。「犬ゲームス株式会社」という団体は存在せず、実在の人物・団体などには一切関係ありません。

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