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慈悲の瞑想が染色体を保護している「テロメア」を良好に保つのに役立つ可能性を示した研究がある


1.テロメアとは

私たちの遺伝情報が詰め込まれた染色体。その末端には「テロメア」という染色体を保護するものがついています。
細胞は分裂するたびに老化していくわけですが、このテロメアもその都度少しずつ短くなっていき、分裂の回数も減っていきます。そして、すっかりテロメアが短くなってしまうと、細胞分裂は止まります。
これが、いわゆる細胞が老化した状態です。
老化した細胞は、炎症の原因となるシグナルを出し、それが動脈硬化や糖尿病、がんや心臓病など、様々な病気を引き起こすリスクになると言われています。

では、どうにかしてテロメアが短くならないように、または短くなるのを遅らせるようにはできないのでしょうか。


2.テロメアをなるべく短くしないようにするには

テロメア研究知られるエリザベス・ブラックバーン博士( 2009年ノーベル生理学・医学賞受賞)と、エリッサ・エペル博士は、著書の中で、「ストレス」「睡眠」「適度な運動」「バランスのとれた食事」といった生活習慣がテロメアと関係していると言いました。

例えば、強いストレスによって分泌されることで知られるホルモン、コルチゾールは、短くなったテロメアを伸長する作用があるテロメラーゼの働きを抑制してしまうため、テロメアが短くなってしまうのだそうです。

つまり、健康的な生活ってこうだよねのお手本みたいなことをすればよいということのようです。

ただ、「テロメアとテロメラーゼが染色体を保護するメカニズムを持つ」ということは確かでも、「健康長寿とテロメアの関係」については、明確ではないという科学者の意見もあります。

「老化防止」「アンチエイジング」的な言葉に、つい飛びつくお年頃ですが、ここは慎重に行きたいところです(笑)

下記に参考図書をご紹介します




3.慈悲の瞑想はテロメアを短くするのを遅らせるという研究結果


一方、2019年に「慈悲の瞑想」はテロメアを短くするのを遅らせるという研究結果も発表されました。
研究結果の概要はざっくり以下の通りです。

・142人の成人を、何もしないグループ、マインドフルネス瞑想を行うグループ、慈悲の瞑想を行うグループに分けて実施する。
・テロメアの短縮の大きい順に、何もしないグループ>マインドフルネス瞑想グループ>慈悲の瞑想グループ、となった。

つまり、「慈悲の瞑想」がもっともテロメアを短縮させなかったということです。

この研究結果にも異論は出ているようですが、まだ新しい研究なので、いろんなことはこれから更に明らかになって行くのでしょう。

ちなみに、マインドフルネス瞑想とは、身体や呼吸、浮かんでくる思考や感情に対して、オープンで判断のない注意を向けるものです。

慈悲の瞑想とは、自分自身や他の人に慈悲深く愛情深いエネルギーを集中させるもので、マインドフルネス瞑想と合わせて行うことも多く、必要に応じて私のコンパッション・トレーニングでも取り入れることがあります。
いくつかの公表された研究では、慈悲の瞑想が社会不安、夫婦間問題、アンガーマネジメントに役立ち、また共感に関与する脳の領域の活性化を高めて、ポジティブな感覚を高めることができることを示しています。
実践している私自身も、幸福感の増大やレジリエンスが高まる効果は実感しています。

というわけで、慈悲の瞑想そのものが、テロメアとは関係なく良いものであるというのはこれまで十分言われてきたことではありますが、これ加えて健康長寿に役立つ可能性も示されたとすれば、試してみて損はないと思います。


4.慈悲の瞑想

ひとことで慈悲の瞑想も、実にさまざまバリエーションがあります。
言い回しや長さもまちまちです。

私は、短時間でも毎日やる方がよいと思っているので、今回シンプルな瞑想音源をアップしました。

全部で約9分です。

ちょっと試してみませんか?


まず、静かで落ち着ける場所を探して座ります。この時床である必要はなく、椅子に座っていただくのでもちろんいいですし、座れない場合は横になってもかまいません。座ったら背筋を伸ばして、その他の筋肉はリラックスさせます。
それでは、始めましょう。




いかがでしたか?

今回の慈悲の瞑想は、最初に自分に向けて行い、そこから親しい人や大切な人をイメージして行っていただきましたが、この後時間に余裕があれば、好きでも嫌いでもない人(偶然すれ違っただけの人など)、そしてできれば、自分が嫌いな人、自分を嫌っている人へも向けていきます。

最初から、スムーズにできる必要はありません。
また、できなかった自分を批判したりしないようにしてください。
最初からうまく行かないのは自然なことだからです。
また「こんなことして、ほんとに効果があるんだろうか」と思うのも、よくあることです。そう思いながらでもよいので、できることなら続けてみてください。

朝の一日の始まり、夜の一日の終わりにそれぞれ1回ずつ行うと効果的ですが、難しい場合は、どちらか一方でもよいです。

1か月後、ポジティブな変化があることを、願っています。

今日もnoteをお読みいただきありがとうございました。

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