見出し画像

スタートアップのマネージャーが6ヶ月のパパ育休をとってみて

株式会社エモーションテックの須藤です。
エモーションテックは今年(2023年3月)で創業10周年を迎えたスタートアップです。私は創業2年目から参画し、マーケティングチームのマネージャーとして立ち上げからチーム運営などを行ってきました。

そして昨年12月に子供が生まれたのを機に、6ヶ月の育休を取得しました。

ただでさえ人数が少なく一人ひとりに対する責任が重いスタートアップ、その中でもマネージャーという役割を抱えていた中で、育休を取得するまでの苦悩や乗り越え方について、記録を残しておきたいと思います。
これから育休取得を考えている男性の方や、夫に育休取得をしてもらいたいと考えている女性の方にも、是非ご笑覧いただければ幸いです。

育休取得時の環境

  • 社員70名程度(当時)の組織、所属していたマーケティングチームは7名

  • 役割はマネージャー。マーケティング業務やチーム運営はもちろん、他部署とのやりとりや一部顧客との関わりもあり

  • 業績も堅調に推移しており、引き続きスタートアップとして急成長を志向するフェーズ

  • これまで男性の長期育休取得の前例は無し

私が入社した当時は社員が1桁台だったため、入社当時と比較すれば圧倒的に人数も増加しているものの、事業規模も大きくなり、まだまだ一人ひとりが会社や事業に対して持つ影響力が大きい状態でした。

そんな中、めでたく妻の妊娠が発覚し、私も「育休の取得も考えてみるか」という思いに至りました。

育休取得にあたって不安だったこと

振り返って考えてみると、育休取得に関して一番大変だったのは、業務の引き継ぎや復帰後のキャッチアップなどではなく、「育休を長期(6ヶ月間)で取得すると判断したこと」だったように思います。私もおそらく他の方と同じように「育休取得はしたいけど、業務のこととか考えるとそんなに長期間は取れないかな」と考えていました。ところが、社内の人と話をしていく中で「うちは男性がしっかり育休を取った事例がないから、須藤さんはちゃんと取ってくださいね」という声などを聞いているうちに、「これは長期取得も本気で検討しないとな」と思うに至りました。
とはいえ、不安なことは盛りだくさんでした!私が取得時に悩んだり考えたことは主に以下のようなことでした。

1. 業務に穴が空いて、周囲に負担や迷惑をかけないか?

これまで、長くても1週間程度の休みしか取ったことがなく、その1週間でさえ「休みの間に何かあったらどうしよう」と考えることもありました。それを6ヶ月ともなると…。
しかも、当時は長い間進めてきたwebサイトのデザイン変更や大型セミナーの企画なども走っており、こんな状態で引き継いで良いのだろうかと日々悩んでいました。
また当時は育児の大変さもよくわかっておらず、リモートで業務しながら育児に参加すればいいのでは?という甘い考えも持っていました。

そうした思いを抱えながら上司である役員やチームメンバーに相談したところ

  • マネージャーこそ進んで育休を取得していかないと、他のメンバーが取りづらい

  • 業務への不安はあるが、育児は大変なのでぜひ積極参加してほしい

といった育休取得に対して好意的な反応が返ってきました。
思い返せばあんなに育休取得ウェルカムな反応も稀なのかもしれませんが、幸運なことに周囲の後押しもあり、不安を少しずつ払拭することができました。
もし、あの時自分が「育休取得はいらない/短い期間でOK」という決断をしてしまっていたら、私は「育休が取りにくい雰囲気づくり」に加担してしまうところでした。

より良い従業員体験を作ろうと様々な社内施策が実施されているエモーションテックという職場で、育休を取得しづらい雰囲気が醸成されてしまうことは、私がいなくなることでかける業務的な迷惑や負担よりも、遥かに大きいデメリットだったと思います

自分が育休取得をしたいと思うように、きっと他の人(男性)も育休取得をしたいだろう。そのためには、まずは自分がしっかり育休取得をして、男性の長期育休が当たり前の雰囲気を作らなければ!と思うに至り、6ヶ月の育休取得を決意しました。

2. スムーズに復帰ができるか?自分の成長が止まってしまわないか?

周囲への負担だけでなく、自分のキャリアについての不安も頭をよぎりました。

「戻ってきた時にやることがなかったら?」
「自分抜きで業務が回っていて、知らないことばっかりになってないだろうか?」」
「半年間も業務を離れて、自分の成長が止まってしまわないだろうか?」
などと考えていました。

スムーズに復帰ができるかについては、すでに育休を終えてバリバリ復帰している先輩ママ社員の方々が複数いらっしゃったというのもあり、そうした前例を見ていると「自分も問題なく復帰できそうかな」ぐらいに思うことができました。

また役員との面談時にも「仕事と少し距離を置きながら、自分の人生についてゆっくり考えてみると良いよ」と声をかけてもらい、自分のキャリアを改めて振り返る良い機会かもと捉えられるようになりました。
実際、育休などの長期休暇を機にキャリアシフト(これまでのキャリアを軸足に置きながら、新たなキャリアに挑戦する)を行う人も多く、復帰後の環境がどうあれうまく活用できれば良いなと前向きに考えていました。

3. 育児にしっかりと向き合えるだろうか?

もう一つ不安だったのは、自分が育児にしっかりと向き合えるかということでした。
これまで子供と触れ合う機会すらほとんどなかった私が、いきなり育児100%の日々を送ると思うと、どの程度育児に参加(貢献)できるのか?大変すぎる育児に嫌気がさしたりしないか?あまりに役に立たず、逆に妻から疎まれたりしないか?など育児に対する漠然とした不安も抱えていました。

これについては妻にも相談し、以下のような結論に至りました。

  • 育児に関わることだけではなく、家事全般が分担できるだけでも嬉しい

  • 育児本とかを読んでみて、できるだけ不安を解消していく

特に育児本を読んだり、情報収集をすることは自分に合っていました。育児に正解はないものの、育児に関する研究は世界各国で盛んに行われており、そうした科学的なアプローチは単純に読み物としても興味深かったです。
こうして、育児に対するモチベーションを高め、臨月の時には「早く生まれてきてくれないかなー」と楽観的に思えるようになっていました。

取得後、実際どうだったか?

不安に思っていたことは、実際育休を取得してみてどうだったのかについても、振り返っておきたいと思います。

1. 周囲へはどんな影響があったか

まとめるとこんな感じです。

・業務について
2ヶ月前には業務整理を開始し、1ヶ月前にはどの役割を誰にお願いするかを決めて引き継ぎを行なっていきました。会社にも柔軟に対応してもらい、他チームからの人員異動なども行いました。属人化していた業務を棚卸する良い機会になった一方、やはり周囲の負担も増えたことは事実で、復帰後にslackを遡りつつ申し訳ない気持ちになることもありました。
ただ自分が携わった企画が良い形で実行されていたものも多く、チームの皆んなに感謝すると共に、とても嬉しい気持ちになりました。

・育休の取りやすさについて
私の育休取得以降、複数の男性社員が育休を取得したり、取得を宣言したりしてくれました。もちろん私の影響というよりも、社会的な育休取得の流れや、個々人の考えに基づくものだと思いますが、少しは育休が取得しやすい文化に貢献できたのかな、と考えています。

2. 復帰はスムーズにできたのか

復帰後に一番印象的だったのは、会う人会う人「おかえりなさい!」と温かく声をかけてくれたことでした。とてもウェルカムな雰囲気で、「受け入れられなかったりしたらどうしよう」というような不安は一気に吹き飛びました。また「須藤さんが帰ってきたら、これ一緒にやりたいと思ってたんですよ」という声もかけてもらい、早速復帰後から色々な取り組みに参加させてもらっています。

変化が激しいスタートアップ業界ということもあって、わずか半年間でも新しいメンバーの入社や外部環境の変化、新しいサービスリリースなど多くのニュースがありましたが、徐々にキャッチアップしながら業務に復帰しています。

3. 育児にしっかり向き合えたのか

よく「6ヶ月間どう過ごしてましたか?」と質問されるのですが、「育児してました」としか返答ができないくらい、朝から晩まで育児にどっぷりと浸かっていました。

おむつ替え、調乳、寝かしつけ、入浴、離乳食、保湿、爪切り…などなど挙げればキリがないですが、6ヶ月育児に没頭したかいもあり、授乳以外の育児はほとんど妻と同じレベルで取り組むことができるようになりました。
子供の成長を直近で見守れることがとても楽しく、育児に嫌気が刺すこともなく、充実した時間を過ごすことができたと感じています。

育休取得に不安を感じたら

育休取得時に感じた不安や、取得を決意するまでの過程、実際にどうだったかについて書いてみました。こうして振り返ってみると、不安の多くは周囲の同僚や妻に相談したことによって解決されてきたように思います。他にもnoteで男性育休を取っている人の記事を読んでみたり、すでに出産を経験している友人に話を聞いてみたりもしました。

当初は、友人が2ヶ月間の育休を取った話を聞いても「自分には難しいかもな」などと思っていた私ですが、周囲に相談を続けているうちに「積極的に取らなければ!」と思うようになることができたので、そういった意味では周囲の環境が自分にとっては大きかったのかもしれません。

ただ取得してみて思うのは、きっと、育休を取らない・1週間くらい取るという選択の方が、引き継ぎや周囲への罪悪感を考えた時には楽だろうな、ということです。それでも取得したい、家族のためにも取得するべきと思う人たちは、その難しい決断をしてしっかりと育休を取得しています。
その決断は本当に素晴らしいし、私自身心から尊敬します。

もし育休を取得したいと思うのであれば、今後そう思う人たちが取りやすい環境を作っていくためにも、ぜひ果敢に育休取得に取り組んでもらえればと思います。その決断はきっと大事な家族のために、周りの誰かのために、そして所属する職場のために、ひいては社会全体のためになるはず…です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?