「ブルブル」「プーン」「ガルルウ」の4分間。Journey on the Tongue レポート
こんにちは。はじめまして。感性デザイン部ライター/ シナリオディレクターの岡田です。助詞を3回間違えると、全ての関節を逆方向に捻じ曲げるタイプです。
味覚・触覚・聴覚融合型イベント「Journey on the Tongue」に行ってきたので軽くレポートします。
レポート
場所:INTERSECT BY LEXUS – TOKYO(南青山)
行った日:3月10日(日)
開催期間:2月27日(水)〜3月15日(金)
INTERSECT BY LEXUSは、高級車ブランドであるLEXUSが運営する、ライフスタイル提案型のカフェスペース。
「LEXUSのカフェで、とんがった体験ができたわ……素敵……そうだ、車を買おうかしら」
ってなるための場所。
今回のイベントに携わった著名人は以下の3名。超豪華。
触覚デバイス→筧 康明 氏
マテリアル・エクスペリエンス・デザインの研究者かつ実践者。
フード→諏訪 綾子氏
新しい食の価値を提案するアーティスト。food creation主宰。
サウンド→evala 氏
テクノロジー×サウンド。ゾクゾクする体験を作るアーティスト。
会場はこんな感じ
- 入り口で「イベント」と伝えると奥に案内される
- カフェは空いていた
香りを選ぶ(5分程度)
白衣のお姉さんが出てきて、気になる香りをひとつ選ぶよう、促される。
様々な質感の何かがガラスドームの中に配されている。
石や羽もある
全部の香りを嗅いでから、体験してみたいものを選ぶ
せっかくなので、ケダモノのような匂いがするやつを選んだ。
普通に、年老いた犬のような匂いがする。
選択を間違えた気はする。
選んだ香りに応じたチケットを手渡される。
実に不穏な名前のチケットだ。
香りを選ぶ段階では12種類が提示されるが、
最終的な体験としては以下の3種に落ちる設計。
- 自由と超越
- 野生と瞑想
- 狂気と狂喜
待機(10分程度)
体験ブースは、透明なシェードで覆われている。
これが、なかなかの曲者である。
透明なので、中の様子が見える。
待機中は退屈しなくて良い。
だが実際に自分が体験する際は、割と屈辱的だった。
まさか、あんな姿を衆目に晒すことになるとは思わなかった……。
ちなみに、別の回で行った知人は待機中、白衣のお姉さんに
「これから、あんな風になるんですよ。ウフフフフ……」
と言われて、たまらなかったらしい。
チェアは4脚。一度に体験できるのは4人まで。このあたり、オペレーションがやや大変そうではある。
体験(4分間)
いよいよ体験だ。
リクライニングチェアに座ると、
白衣のお姉さんが微笑み、こう言った。
「これから皆さんは、嗅覚・触覚・聴覚を通じて、ケダモノから接近されるような感覚を体験します」
「なんで?」と問う間も無く、アレ↑を咥えさせられる。
そして震えだす口内の飴玉
近づいてくるケダモノの唸り声
口元から鼻先へと抜けてゆく生臭い香り
(飴玉は、雨に濡れた犬のような味)
やめろ……来るな……来るな……!
といっても、特に何かが起きるわけではない。
「ブルブル」「プーン」「ガルルウ」が4分間、続く。
ものすごく長い4分間だった。
体験を終えた私は、天井に設置されたスピーカーを眺めながら、
「 "未だかつてない体験" というシロモノは、しばしば多くの人々に幸福やインスピレーションを与えるが、ときに、自尊心を根こそぎ奪い去ったりもするのだなあ」
と考えていた。
レポートは以上だ。
所感
- 「激しく震えるばかでかい飴玉を4分間咥え続ける姿」を他人に見られたくない人は多そう
-激しく震えるばかでかい飴玉を咥えながら、「ああ、やっぱりevala 氏の音はカッコいいなあ!」とはならなかった。ブルブルキャンディの主張が強すぎる
- 12種類の選択肢を提示してから少なめの体験に絞り込む手法は、「選んだ」という満足感があり、体感が良かった
-触覚と嗅覚で「ストーリーを楽しむ」という受容のチャンネルが、体験者(自分)の中でまだ整っていないと感じた。それだけにこの分野のポテンシャルはでかい
-めちゃくちゃ面白かった
もしよかったらアレしてください。