ライブハウスの動画撮影の設定を考える

emotalmtzkです。Agp StudioというYouTubeチャンネルを運営してます。

前回の記事ではライブ映像撮影の機材について書いてきました。
今回は設定について書いていきます。

ライブ撮影の場合も一眼動画の場合は、基本通りで大丈夫です。
ただ、ライブハウス特有の部分もあるかと思っています。

解像度

C4Kで撮影します。もしない場合は4Kで撮影します。
マルチカムで4K撮影し、最終アウトプットはFHDっていう場合もありかと思います。

なぜ4Kにするのかは前回の記事に書いたのでご覧ください。

フレームレート

公開するフレームレートに合わせます(ここではMV用に撮影し、スローモーションにすることは想定してません。)
通常、24pか30pか60pかになると思います。
自分の場合は60pの動画がヌルヌルで苦手なので24pにしています。
30pにしないのは、24pの方がなんとなく雰囲気出るかなと思って。です。

個人的な感覚ですが、ライブ映像は特に60pだと気持ち悪く感じます。
また、60pの場合はシャッタースピード1/50で撮影できないので注意です。ただ、ネイチャー系の映像は60pでも違和感なく、むしろ感動するので、それぞれの感覚があるんでしょう。バラエティー系のYouTubeも60pのものがありますよね。
私の場合はライブ映像やミュージックビデオに限っては24pが一番違和感ありません。

画質関連のその他

色情報は前回の記事で書いた通り、422 10bitで撮影します。そしてlogガンマで撮影します。
LUMIXの場合はV-Log、SONYはS-Log3(S-Log2)。

その他画質設定が出来る場合は、出来るだけ高画質に!と思うかもしれませんが、データサイズの兼ね合いもあるので慎重に選択します。
Long GOPとAll Intraで選択が出来る場合もLong GOPで撮影しています。
また、LUMIX GH6の場合は、Apple ProResでも撮影できますが、さすがに一つのイベントではデータサイズがデカくなりすぎるので使いません。

もしビットレートも選択できるなら、Long GOPで出来るだけ高く…という感じでしょうか。

ここぞという気合の入れた撮影で、ストレージのことを気にしないのであれば、All Intraもアリです。もちろんトンデモナイデータ量を覚悟して。

露出

ライブハウスは暗いと言われますが、ライブハウスによると言えます。
また、演出にもよると言えます。

照明がめちゃくちゃ派手なライブハウスであれば十分な光量はありますし、逆にめちゃくちゃ暗い瞬間もあります。バンドの好みや照明さんの好みにもよります。

ライブハウスは明暗が大きいので白飛びと黒つぶれが激しい時があります。
スマホで撮影されたライブ映像を見ていると照明の白飛びがあまりに激しく汚いと感じるので白飛び具合をコントロールしていきたいです。逆に黒つぶれはある程度許容してもいいのではないかと考えています。
白飛び具合や照明からのグラデーションに関してはできるだけ綺麗に撮りたいです。

普段よく撮影するライブハウスであればだいたいの見当はつきますが、初めましてのライブハウスの場合、予期しない明るさや暗さがくることがあります。

出来るだけリハから参加して照明の感じを見たりするのがいいと思いますが、リハだけで露出を見極めるのは結構厳しいです。
リハで照明のリハーサルをしてくれない場合もあるので。

GH6の場合、大体スタートは以下に設定し、状況によって調整します。

露出モード:M
F値:4
シャッタースピード:1/50
ISO:自動(上限1600、3200、6400など適宜)
露出補正:-2/3~/1程度
測光モード:マルチ測光(全体を見て測るやつ)

F値

GH6はマイクロフォーサーズなので、F値は低くても被写界深度が稼げるのでライブ撮影には便利です。フルサイズの場合はもうちょっと絞りたくなるかも。

シャッタースピード

シャッタースピードに関しては、西日本と東日本で変えます。
東日本の場合は1/50もしくは1/100、西日本では1/60。
よく見る記事の動画のシャッタースピードと同じですね。

ただ、まれにこのシャッタースピードでもフリッカーが発生する場合があるので、その場合はGH6のバリアブルフレームレートを使います。

先日遭遇したのは、ライブハウス内で使われている照明によって違うフレームレートでフリッカーが出てしまうこと。
ある照明は1/50でフリッカーが発生し1/49で消えたんですが、別の照明は1/49でフリッカーが発生してしまったのです。
この場合は、ローリングシャッター方式のカメラでは回避できないかと思います。
この時は、より気にならない1/49の方がいいと判断して撮影しました。
実は、1バンド、フリッカーが出る状態で撮影してしまったんですが、ライブが開始していたので止めることが出来ないため、設定の大幅な変更や試行錯誤が出来ずに焦りました。
編集時にDaVinci Resolveのフリッカー除去で消すことは出来たのですが、書き出し時間がかなり長くなってしまったのでやはり出来る限りリハで照明を見ておくのは大事だなと思った事例です。

ストロボ照明で、盛大にフリッカーが出る場合があります。
この場合も困るっちゃ困るんですが、もう、そういうものだと割り切ることも必要かなと思ってます。常に照らしてるものでもないので。
編集が結構大変かと思いますが、編集でフリッカーの追加をして演出するのもありかも。

スチルカメラマンのフラッシュで発生するフリッカーは気にしません。気にしてたらキリがないので(笑)
自分が撮影しているライブ映像はどちらかというと記録撮影に近いので気にしません。MV用だと気にするかも。

ちなみにバンドマンの中でもフラッシュいいよ、って人と使わないでくれって人がいますが、ライブカメラマンの中でもフラッシュガンガン使う派と絶対使わない派がいるそうです。
自分が演奏する側で考えると、気が散るのでフラッシュは使わないで欲しいと思ってます。でもこうしてカメラマン側になってみると、使いたいというのも頷けるなという感じです!

しっとりとしたバラードで空気感を壊すようなフラッシュはさすがにNGとは思いますね。いないと思いますけど(笑)
ハードコアバンドの激しい雰囲気であればそれも雰囲気って感じますのでアリかと思ってます、が、嫌がるお客さんやバンドマンはいるだろうな。

暗いライブハウスで露出を稼ぎたくて1/25にしたくなることもありましたが、ブラーが多すぎて精細に欠けると感じました。逆に1/100にすると、精細に映るので、光量が十分な場合は1/100も使います。その時はフリッカーが出てないか注意します。

ISO

ISOについては、オートを活用しています。目まぐるしく変わる照明に対して、露出も手動でやっている余裕は自分にはありません。それよりもどう撮るかというカメラワークに注力したいなと思ってます。

上限については、ライブハウスに合わせて決めています。
測光モードによりますが、上限を上げるとドンドンがISOを上がっていくことがあります。
しかもそれは自分にとっては、ちょっと露出オーバーだったりします。

暗い時は暗いままでもいいと割り切ることも大事かと考えてます。

照明が派手に変わらない場所、例えばスタジオライブのような場所であれば固定します。
そういう時は基本暗いのでISO 6400とか12800とか使うのですが、この時ばかりはSONYのFX3を使ってみたくなります。

露出補正

露出補正に関しては、少しマイナスで撮ってます。+-0だと少し明るすぎる場面があると感じます。

測光モード

測光モードはF値、SSを固定した場合、ISOオートの挙動に関わってきます。
メーカーによって呼び方が変わるかと思いますが、画面全体の明るさを見て測光してくれるモードを使ってます。
スポットもアリかと思いますが、さすがに暗くなりすぎると感じました。

逆にステージ全体を撮る定点カメラの場合はスポットも良いと思います。

状況に応じて判断していけるようになりたいです。

ホワイトバランス

慣れないうちはオートでもいいと思いますが、安定した映像にしたいなら固定するのがいいです。
ナチュラルな照明だと思う時に肌の色味が自然だと感じるところにしたいです。

ただ、ライブハウスのようにコロコロと照明の色が変わる状況だと、最終的には好みにもよる部分でもあると思ってます。

調整はリハ時に見て、色々試してみます。大体4000K前後にすることが多いです。

また、iPhoneのBlackmagic Camを使ってWBをオートにしてステージに向けて示す色温度を参考にすることもあります。

ホワイトバランスはバンドの雰囲気に合わせて編集時に微調整したりもします。クールな感じが似合うバンドの場合や、ナチュラルで温かみを出したい場合などあるので。

オートフォーカス

状況に合わせてマニュアルフォーカスも使います。
基本的にアグレッシブにカメラワークで動かしたい時はオートフォーカスに頼ります。しっとりとした場面や立ち位置の変化が少ないバンドの場合は出来るだけマニュアルフォーカスにして、安定した映像を撮るように心がけます。奥にいるドラマーにフォーカスを当てた時もマニュアルに変えることが多いです。

全編マニュアルフォーカスで撮影した時の映像を見返すと明らかに「良い」「素敵だ」と感じました。
誰に ”フォーカス” を当てて撮影するかを自分の中で明確にしながら撮影するので撮影が楽しいです。
もちろん集中力も要りますが、撮影した映像のしっとり感はオートフォーカスではなかなか再現できないなと感じます。

ただ、やっぱり30分全編マニュアルフォーカスだと、かなり大変なのでオートフォーカスも活用します。

ライブハウスあるあるで、バンドメンバー以外の人がステージ脇や後ろにいることがあります。対バンの人や関係者が主ですね。タイミングや画角によっては、そちらの方の顔を認識してしまう場合があるので、カメラワークを工夫したり、マニュアルフォーカスを使ったりと、結構忙しいです。

また、明らかに暗すぎる場面ではオートフォーカスの迷いがあります。(カメラの性能によるかと思いますが)
危ないなと感じた場合は、マニュアルフォーカスに切り替えます。

GH6の場合、AF性能はおおむね良好ですが、まれに不意の瞬間にフォーカスの迷いがあります。
その場合、慌てずにマニュアルフォーカスに切り替え、戻してやります。GH6までのLUMIXカメラは優しい気持ちを持って使ってあげましょう(笑)
S5ii以降の像面位相差AFを搭載しているので、より安定している気がしてます。

フォーカスモードの切り替えに関してはレンズ側についているものの方が使いやすいと感じます。
GH6はボディー側にAF/MF切り替えスイッチがあるので便利ですが、自分はレンズ側のスイッチで切り替える方が多いです。特に撮影中であればほぼ100%レンズ側のスイッチを使いたい。
これは、右側にハンドルを付けているため、アクセスしにくいのもあります。
スイッチのオンオフ時は、ブレないように気を付けます。
静かなパートで多少ブレていても目立たないようなパートでスイッチングしたり、映像に影響が少ないように気を付けます。これが難しいんですが。

手振れ補正モード

使っているカメラによる部分ではありますが、GH6を使う場合は、通常の手振れ補正のみ入れます。電子手振れもあるのですが、少しクロップされるのが気になるのと、歪みがあるんではないかと思っているんですが…どうでしょう?今度使ってみます。

また、GH6の手振れ補正ブーストは強力なので、ファンクションボタンに割り振ってFIXっぽく撮影したい瞬間に入れるようにしてます。

まとめ

多くの項目が自分が使っているGH6の場合、という前置きで書いてしまいましたが、これを基準に考えて他のカメラではどうするかを考えます。
参考になれば嬉しいです。

最近導入したS5iiでは少し変わってくる部分があるので、これはまた別記事にしてみたいと思います。

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