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WORK ROLES!を読む④~最高の組織を作るために

ラズロ・ボック署『WORK ROLES!』を読んでいます。最終回です。

今までの『WORK ROLES!』

googleはなぜ最も働きやすい職場なのか、その採用の秘密について語ってきました。

→①はこちら)(→②はこちら)(→③はこちら

では、最後に最高の組織を作るためにはどうしたらよいのか、作者の考えをまとめます。

1、仕事を思い切って任せるということ

①役職によるヒエラルキーは必要ない

②意思決定はマネジャーの仕事ではない

③社員それぞれが仕事や方針を定める方法を見つける

④社員に対して期待を大きく持つ

人間はルールに極めて従順になる生き物です。人は誰でも有害な上司になりうるし、権力者に対して自分自身のヒエラルキーを生み出して狭小な自己の利害に集中してしまう生き物です。わたしたちは社員に主体的に仕事をしてほしいのに、上に立った時には支配的に行動をしてしまう。(誰もがそうだ)

「あなたの上司はあなたを信頼していますか」

この問いを常に投げかけることで、ヒエラルキーに敏感になります。権力の象徴や権力者のような態度を最小限にとどめるため、Googleでは個人の感情ではなく、データに基づいた意思決定をすることにしています。「社内政治をするな、データを使え」というのはGoogleの変わらない基本精神のひとつです。

社員を信頼することのひとつですが、勤務時間のうち20%をそれぞれの社員が自分の担当業務ではないけれども、Googleのビジネスに関係すると思う仕事を考えてしています。

方針が決定される際、データをもって根拠にすると結論に賛成できなくても理解が得ることができます。またプロジェクトは組織のできる限り下位のレベルで意思決定をなされるべきだと考えています。声を上げた人に実際にやらせてみることが大切なのです。

2、業績管理はどうやるのか

①目標を正しく設定

②公正さを確保す

④報酬と人材育成を分ける

子どものころから人々は順番をつけられて背の順に並び、順位に従って大学に願書を出すものです。ですから、大人になり労働環境を設計するときにも同じ状況を再現しようとするものです。多くの組織で実行されている業績管理は規則に基づく官僚的プロセスでしかありません。

Googleでは自分の業績管理システムは自分の目標設定から始めることにしました。目標は全社員に公表されています。また「完全」を「良い」の敵にしないことを徹底しました。すると、「常識外れの野心的目標を設定して失敗してもすばらしい仕事をやりとげることができるのです。

評価についてはもともと41段階評価だったものを5段階に変えました。そもそも41段階あれば、全員が納得する評価ができると思っていたものが、人は13番と14番の区別をつけることはできないため、不満が多くありました。このように、システムはリリースするたびに社員からフィードバックを受けて修正し続けています。

Googleの評価は直属上司だけではなく、マネージャーでその評価案を検討します。その評価の公正さを担保するためです。また、年に一度すべての社員は同僚からのフィードバックを受け取ります。同僚は社員をよく見ていし、そのフィードバックを受け取った社員も自己変革できるからです。

業績評価が必要なのは、昇給やボーナス向けの資金のような有限の資源を配分するためです。人材育成が必要なのは、社員を成長させ、向上させるためと考えます。それを忘れてはいけません。社員同士、上司と部下、同僚同士が話し合いを具体的に明確になるようにしていくことが大切です。(そしてそのすべてはオープンであることも)

3、成果を出す人出せない人

①成果が出ていないひとは困っている

②最高の社員を観察する

③客観的な真実と改善方法を考える

④自分についての評価をオープンにして、規範とする

組織には二本のテール(しっぽ)があると言われています。通常の企業では下位5%の社員を解雇したりしますが、Googleはそういう方法をやめました。まず、その事実を伝え、どうすれば改善できるのか話し合うのです。

達成するにはトレーニングやコーチングの実施が必要な場合もあります。下位の社員を解雇するやり方では、社員は社内の競争に躍起になってしまうことが多いです。ぱっとしない社員はたいていそれを自覚していてどうにかしたい、と思っているのです。チームのマネージャーの評価はオープンにします。マネジメントについても優秀なマネージャーかそうでないかは同じく二本のテールがあります。どのカテゴリーにおいても優秀な社員を観察し、何をしているか学び、ぱっとしない社員には手を差し伸べることが大切です。

組織内での学習は最もその分野で活躍している社員から学ぶべきだと考えます。その際も明確にフィードバックする必要があります。人間は教えることも教わることも大好きな生き物です。学習しあう組織を作ることが大切です。

4、最高の組織であるために

①社員の満足度を上げる

②失敗に直面したとき

社員の報酬は不公平であるべきです。そうでないと優秀な社員はやめて新しい自分の価値を認めてくれるところへ転職してしまうからです。平均値と中央値はイコールではありません。たいていの人は平均より低いパフォーマンスを出しています。ですから優秀な人にはそれにふさわしい報酬を与えるのが正しいです。そして、そのことについて管理職がきちんと説明をできる必要があります。何をすればその報酬が得られるのかがオープンになれば、嫉妬と恨みの文化は広がりません。

その文化を広めるのは報酬をたたえるのではなく、常に成果をたたえることと、報酬は現金よりも経験を与えたほうが満足度が高いことがわかりました。

また、褒賞は管理職からの評価ではなく、同僚の評価も大切です。それはそこでもオープンである必要があります。そのためにお互いがお互いを称えあうシステムも作っています。(ボーナスも渡せます)

達成だけでなく、意欲的な失敗を称えるシステムも大切です。失敗こそ称えないとだれもチャレンジしなくなってしまいます。そして、失敗はチームで共有し、原因を追究し、そこから学び新しい成功を導くのです。

Googleでは社員同士互助会、サークル、サービスの提供などの活動も活発です。それは福利厚生プロフグラムとして、コミュニティを形成したり、休憩したり、ネイルサロンや美容室、オイル交換などのサービスの提供まで行われています。有名なものでは食事の提供や託児所もあります。そのほとんどは利便性が高く、費用負担をできるだけ少なく考えられています。会社は提案に対して「ノー」を言うのではなく、「イエス」と言う理由を見つけることが大切です。そのほとんどはやろうと思えば誰でもできるものだからです。そのことが実態に合わなくなれば、変えたらよいのです。変化をおそれず、既得権益を否定して、必要な時は社員に寄り添う、それだけです。




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