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古代エジプト、復活と再生の物語後編

前編はこちら→

1.古代エジプトの香りについてのお話

古代エジプト時代、神殿での重要な日課に神々の像に香を焚くこと、聖水を注ぐことがありました。
そのためのお道具がこちら。

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真ん中が香を入れる容器になっていて、こっちには予備の香が入れられていました。上についているのは跪く王の像。末端の膨らんだところはホルス神をあらわすハヤブサの頭部が描かれていました。もう一方の端に壺をつけられるようになっていて、そこで香を焚き、その煙を神に捧げていたそうですよ。

「デモティックが記された香炉」
こちらはプトレマイオス時代の青銅器。古代エジプト史的にはかなり現代(!)といえます。

デモティックというのは文字の種類です。テストに出てくるヒエログリフ(石に刻んだ聖刻文字))からヒエラティック(書物に刻んだ神官文字)になり、この文字が簡略化してデモティックになりました。

神に香を捧げる、という行為は仏教でも行われています。たしか、この仏典にこの香!レシピなどきちんと記されているものもあるくらいです。(香を捧げるというよりは立ち登る煙が重要だったりするので、いい香りかどうかは…?)

古代エジプトにおいて香りはとても重要で、香りと身だしなみを司るネフェルテム神と呼ばれる神もいたくらい。
ミイラの語源はミルラ(没薬)からともいいますし、ツタンカーメン王墓には多くの香や香油壺が埋葬されていたことはとても有名です。

儀式で頻繁に使われ、薬としても用いられていたキフィというお香は、主にミルラやミモザ、シナモン、ミントなどが含まれていました。
キフィは古代エジプトの祭司が作っていたため、彼らは世界最古の調香師と言われています。
古代エジプトの薬やお香の原材料は、現代でも使われているものとほぼ同じなんですよ。


2.古代エジプトにおける死と再生

死者が死後きちんと確実に再生、復活ができるようにミイラにしました。
遺体の心臓の上には「死者の書」第30章Bを記したスカラベが置かれました。

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人間の頭のついたハートスカラベ)ミイラ製作のために取り除かれた心臓の代わりに置かれ、冥界の旅の間、持ち主を裏切らないようにしたものです。

さまざまな護符、死者の楽園「イアル野」にいけるように呪文を記したパピルス「死者の書」(写真)を副葬しました。

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この絵の部分に描かれている場面についてお話しておきますね。

死者は42柱の神々の前で生前罪になるべき行為を行わなかったと告白します。心臓とアマトの羽根と釣り合うか天秤で測られる場面はとても有名です。天秤の均衡が取れない時は心臓は隣にいる怪物アメミトに食べられてしまいます。アメミトは頭がワニ、体がライオン後ろがカバなんですよ!

天秤を乗り切ると冥界の支配者オシリス神のもとにつれて行かれ、再生と復活が約束されるのでした!

この展覧会は各地巡回なので、お近くの際はぜひぜひ。エジプトのざっとした流れを知っていくとさらに面白いと思いますよお~


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