見出し画像

ざっくり源氏物語#5帚木③

ざっくり源氏物語、前回の続きです。雨夜の品定め、終わりましたね~
前回分はこちらです。
帚木の①→https://note.com/emofac_kubohiro/n/n13f2c9a1dda7

帚木②→https://note.com/emofac_kubohiro/n/nf4c0566658cc
こちらになります。

さて、ようやく天気がよくなったので、外出できますね。当時、雨の外出は嫌われていました。というのも衣服が濡れると色落ちしますし、靴も布製。あと、衣服にはぱりっとさせるために糊が大量に使われていたのですが、その糊もおちてしまうそうで。
ゆえに雨の日に会いに行くのはすげえええ!って話でもあるわけなんですけどもね。今回は雨が止んだから、ずっと内裏にいてもしょうがない、ということでたまには左大臣の顔を立てるために葵上に会いに行くかな、となりました。
葵上の容貌がここで出てきます
「おほかたの気色、人のけはひも、けざやかにけ高く、 乱れたるところまじらず、なほ、これこそは、かの、人びとの捨てがたく取り出でし まめ人には頼まれぬべけれ…」と続きます。

葵上の見た目は「明るくくっきりとしていて、だらしないところがない。これこそ昨夜の話で聞いていた「捨てがたい」し実直な人。だと思うのだが、あまりにも端正で美しく、きちんとしていて真面目過ぎて気後れする。と続きます。ぜいたくな男ですね。
源氏が訪ねてきていると聞いて左大臣がやってきました。うきうき左大臣です。ところが。その日はここに泊まるのはあんまりよろしくない、ということがわかりました。陰陽的にいろんな吉凶判断をして生きているのだけど、出かける前になんで気づかないんだろう、と思うのはわたしだけでしょうか。
それはともかく、左大臣家に泊まっちゃダメってことになったので、そうすると配下筋の行けそうな家を探すわけです。左大臣関連の家で紀伊守の家がよさそう、ということがわかったので、しぶしぶ来ることを了解してもらいそそくさと退出するのでした。その日は紀伊守の家はみんなに方角がよかったらしく、紀伊守の父、伊予の介の家の女性たちも来ていました。
急遽やってきて、紀伊守の家のみんな迷惑していたのですが、源氏と源氏のお供たちは全然平気。この家がなかなかよかった。(裕福なのですね)邸はきちんと手入れされており、邸の主人は源氏に気に入ってもらえるようにあれこれ走り回って酒だ肴だと用意しています。
それをゆったり見ながら源氏は「かの、中の品に取り出でて言ひし…」
あ、昨日言ってた中の品ってこのことか!と思うのでした。

女たちの話を盗み聞きしてみると(っていうとめちゃくちゃ近いとこにいるわけですね)自分の噂話をしていた。その話の中に「かやうのついでにも、 人の言ひ漏らさむを、聞きつけたらむ時」など思うのですね。
こんな時に人のうわさ話にあの人とのことが出たら!!と藤壺(と自分)のことを心配するのでした。そこには多くの子どもたちがいて、その中に12,3歳のとても品のいい子どもがいました。聞くと、伊予の介の妻が連れてきた弟だというではないか。そんな身の上話を聞いているうちにみんな寝入ってしまいました。源氏は眠れないでいると、さっきの子ども、小君の声が聞こえる。どうやら姉と話している様子。どんな女か気になったので、忍び入ってみました。(鍵はしまっていなかった)
そして、びっくりしている女、空蝉を抱え上げたところ女房がやってきましたが、源氏から「いみじく匂ひみちて、顔にもくゆりかかる心地するに、思ひ寄りぬ」素晴らしい香りが漂ってきて、顔にもふりかかってきたから、あ、これがあの源氏か!と思い至って空蝉を取り返すことが出来ませんでした。
空蝉はとても嫌だなと思いました。そもそも身分が違い過ぎるから、遊びに違いないし、こんなことが起こるなんて恥ずかしい。ありえない。この際、風流のわからない感じの悪い女だと思ってあきらめてもらおう!と思いつれなくしたが、うまくいかなかった。
そして早朝、みなが起きてきたので致し方なく、空蝉を手放しました。
ところが空蝉は人妻だからさすがに連絡方法がない。
つらいわ!と思い空蝉弟の小君を自分の側仕えにしよう!と思いつきました。小君はこのような美しく気品ある人に仕えられるのは大変ありがたいと思いました。その小君を使いに空蝉の元に手紙を送る源氏。空蝉は弟になんて思われるんだろう!と思ってさらに具合が悪くなりました。
返事もしない空蝉のために手ぶらで帰ってくる小君をさらにだまして、常に連れまわし、あることないこと、っていうかないことない事を吹き込んで「源氏がもともと空蝉のことすきだったのにかわいそう」という状態を作り出すに至りました。
そして、いよいよ待ちに待った方違えの日。また紀伊の守の家にいくぞ!と張り切っていきました。紀伊の守は手入れをした部屋が気に入ったんだな!と驚きとともに受け入れましたが、源氏の狙いは空蝉ただ一人。
小君を使いに出すも、小君は空蝉が隠れているので、探せず泣きそうになりました。ようやく見つけ出した空蝉に手紙を渡します。
「帚木の心を知らで園原の
道にあやなく惑ひぬるかな」
帚木っていうのは伝説に遠くだと見えるけど、近くだと見えない幻の草のことで、そんな帚木のようにみえなくなってしまって私は迷っている、みたいな歌ですね。
小君に「こんな使いをしてはいけない」と注意をして、源氏が来られない様にしっかり鍵をかけたのでした。
源氏は歌しか持ち帰れなかった小君と空蝉にがっかりしたけど、今はそんな空蝉を落とせないことに執着して小君を代わりに慰めたのでした。。。
きもい。
「数ならぬ伏屋に生ふる名の憂さに
あるにもあらず消ゆる帚木」
こんなわたしの身分を考えたら帚木になるのもわかるでしょう?
と割と辛辣に言われています。
源氏は、「人に似ぬ心ざまの、なほ消えず立ち上れりける、とねたく、かかるにつけてこそ心もとまれ」
普通なら源氏が来たら(ほんとうはどう思っていても)喜んで(か喜んでなくとも)もてなすのに、この気性の人だから、くやしくて心惹かれるんだなと思ったものの、やるせないので、小君をとなりに寝かせて慰めたのでした。小君は優しいし、光栄だな~と思ったのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?