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つれづれ!『光る君へ』第8回

『光る君へ』の思ったこと感じたことを徒然に語ります。
今週は感想がうすっぺらいけど、それはオリジナルストーリーすぎるから…お話はとても面白かったけどね!!
ではまいります!

①直秀、ほんとに誰の子問題


道長を「兄上」と呼び、東三条殿を下見し、まひろに「俺と行くか」とかいう直秀。衣装がちゃんと板についていることといい、(ほんものの庶民はそんなん無理だし)ほんとうは貴族の子弟説がますます信ぴょう性を帯びてきました。ていうか、日焼け度合いでふつうわかるよね、と思いますが、この世界線では実資がいるから…多少色黒でも誰も疑問に思わないのだ…!
まひろと話をする展開はまんま少女漫画で、私はなつかしくなっちゃいましたよ…これはまさに花男

②兼家の黒さ!!道隆と道兼の陽と陰。


兼家黒いですね…黒すぎます。あと、安倍晴明と通じてますよね、あれ。
道隆、道兼、道長の中で道長だけ肝が据わっている、という肝試しの話が『大鏡』にあったと思いますが、(「大鏡」平安時代の後期に道長の栄誉を語り継ぐために書かれたもの。全身全霊で道長上げをします。『大鏡』と同じように道長あげのために描かれた『栄花物語』の違いは若干の批判精神があること、と言われていますが。190歳の大宅世継と180歳の夏山繁樹と若侍の三人が昔話をしているのを聞き書きした、というスタイルです。まあ、歴史書、って感じではないですよね。)道隆が小物っぽい感じといい、道兼は父にいいように使われている感じといい、道隆さんは、陽。道兼は陰。
なんていうか、道隆さんは長男で、道綱を挟んで道兼、そして道長となるので、父兼家が不遇の時代(兼家はやっぱり三男で出世が遅かった)に成人しているから、出世もなかなかできないのですが、道長が元服したとき、もう兼家は右大臣だったので、不遇時代を知らないんですよね。
苦労知らずのおぼっちゃまです。道長は。
詮子の強さが出てきてイイ感じになってきました。この分だと、一条天皇の政治にガンガン介入して実資が苦言を呈する展開が期待できますね!

③まひろの肝が据わっている…赤染衛門先生の薫陶「心の中は己だけのもの」


道兼が為時の家にやってきました。道兼は蔵人所の役人で、為時の上司です。ですが、父兼家のせいで花山天皇の信用ない展開でしたね。当時は家族っていうか親族で大喧嘩を常にしているので、きょうだいめっちゃいがみあっているから、家族だからといってそんな結束あるんかいな、くらい思っちゃいますけど。それはともかくいつまひろが琵琶でプロレスのパイプ椅子で殴りかかる、みたいな展開をするのかと思いビビりましたね!!
道兼が為時の信用を勝ち取る→花山天皇に信頼される、という流れも兼家だよね…恐ろしいパパ。
道兼、ほんとうの愛を知ってほしい!!いやマジで。
まひろの琵琶(お母さん殺しやがって。しね!的な?)琵琶で心を動かされた道兼の場面は緊張感が漂っていてすごかった!
『源氏物語』で光源氏は琵琶を演奏する場面は一度もなくて、源氏自身は琴(きん)の名手で、この楽器についてはあちこちで演奏しています。いっぽう琵琶を神がか゚って得意だったのは、明石の上。最初の登場時、明石の入道が光源氏の訪れに合わせて弾かせてました。高貴な人へのおもてなしですね。
もうひとり琵琶を演奏するのは匂宮(明石の中宮が産んだ子)。ここで琵琶を聞くお相手中の君は桐壺院の孫。お父さんについて宇治に住んでいましたが、お父さん、お姉さんがなくなってしまい、自分の家である二条院に迎え入れたのです。そんな中、夕霧の子、六の君と(夕霧と明石の中宮の圧で)結婚することになって。気が進まなかったが、会ってみたら六の君は素敵な姫で愛情を持っている。しかし、二条院に帰ってくると、中の君はまた素晴らしい、と思う匂宮。しかも、中の君は親友?の薫(女三宮の子ですね)に紹介されたくせに、薫が好きになっちゃってなんだかもう、ザ・少女漫画の三角関係!!美しい琵琶の音と心の乱れとをえがいた名場面だと思います。
まさに、メディアミックス!
そんなこんなで、琵琶の音、というと心が千々に乱れている感じが情緒的で、ドラマの場面のまひろの琵琶の音も深みが増すというもの。
「心の中は己だけのものでございます」ですもんね。

④心の中は己だけのもの、の歌


赤染衛門先生がきょうだいの代わりに詠んだ歌がこちら。
「やすらはで寝なましものを小夜更けてかたぶくまでの月を見しかな」
あなたが来ると信じていたから寝ないでいたら、月が傾いて沈んでいく明け方の月までみてしまいましたよ

という歌で、このお相手は道隆さんと言われています。「待ってたのに」というのをすごくソフトに美しく伝えてくれて、これはもうぐっときちゃいますね。

すっごくエキセントリックで素敵な花山天皇は歌が好きで、在位中も歌会をなんどか開催しています。退位後風流人で、そのうえな僧を集めてロックに暮らし、たまには歌会も開いちゃうっていう。かっこいいですよね。
さて、『拾遺和歌集』は退位後の花山院が選者をしたとかありますが、藤原公任が選者をした『拾遺集』にプラスする感じで出来たのが『拾遺和歌集』と今は言われていることが多いのかなと思います。選んだ歌は万葉集の時代の歌から、貫之などのちょっと前の歌人、そして清少納言の父、清原元輔の歌も多く所収していて、最後は現代の歌人、それこそ公任なんかも選ばれているロックな?歌集です。
そんな花山天皇のご紹介したい和歌はこちら。あ、『拾遺和歌集』には入っていません。
「あしひきの山に入り日の時しもぞあまたの花は照りまさりける」
山に入るとは出家する、ということ。なので、出家の前に詠んだ歌ではないでしょうか、ということで「世を捨てて出家しようと思う時こそ夕焼けに一層美しく照らされている桜」という想像するだけで圧倒されるような風景ですよね!
ああ、美しい。

心は己だけのものでございます。ほんとよね。
ではまた!

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