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アスリート学生にとっての高校と大学の違いとは?

高校と同じように練習をしようとしても
大学ではうまくいかないとよく聞きます。
競技をする上で高校と大学では
何が違うのでしょう?
カウンセラーの視点で気づいたことを書きます。

一番の違いは
高校生は子供で、大学生は大人ということです。
「そんなん、わかってるって」と
突っ込まれそうですが、この違いが選手自身に
どう影響しているかはあまり意識化されていないかもしれません。

経済的には保護者に頼っているかもしれませんが
社会的には(法律でも)成人として扱われ、
当人も保護者の許可なくできることが増えるので
自覚していると思います。

大学は高校と違って制服もありませんし、
細かな校則もありません。
(部によっては厳しい部則があるようですが)
結果、自由度が格段に上がります。
特に、一人暮らしを始めた場合には
食事、洗濯、掃除と自分でやらないといけないけれども、なんでも自分の好きにできるわけです。

高校では同じ始業時間に登校して
科目の違いはあっても、1限から6限まで
みんな同じように教室に座って授業に出ました。
大学では、講義も選べるので時間割も
みんな同じではありません。
講義を欠席しても、連絡する必要もありませんし
叱られたりもしません。(大抵は)

自由度が上がった結果
自分の周りの世界に目が向くようになり
視野が広がる、経験の幅が広がるという
良い面もあれば、そうでない面もあります。
高校までは部活動しかないと思っていたのに
急に、競技の世界が狭く窮屈になって
色あせたように感じられるのかもしれません。
外の世界には誘惑がいっぱいです。
最近はSNSがあるのでなおさらです。

そして、高校までは「大学進学」という目的のために頑張った人も多いのではないでしょうか?
もちろん、プロや社会人で競技を続けることを
目指している人もいるとは思いますが、
ほとんどの学生さんが大学で競技を引退するわけです。
そうなると、大学に入った今、何を目的として
過酷な練習を継続するのか?
そこに意味や意義を見出すのが実はとても難しい状態に置かれることになります。

そんなん、スポーツ推薦で入学したんだから4年間続けるのが当たり前と思うかもしれません。
周りの人は『そんな誘惑に負けるなんて、それまでの選手だった』というかもしれません。
もちろん、どんなに結果が出なくても引退まで頑張り続ける人もたくさんいます。
途中で辞めたくないと信念を持って続ける人もいるでしょう。
また、競技そのものが好きで自分の成長を楽しめる人は、周りにいろいろ誘惑があったとしても、
気をそらされずに競技に打ち込めるようです。

その一方で、”試合に勝つ”ことや競技成績だけを求めてやってきた人は大学で勝てなくなった時にモチベーションの維持が難しいようです。

でも、レベルが上がれば勝つのが難しくなるのは当然ですよね?

4年間競技をやって成長しつづけるのは、そんなに簡単なことではありません。
目標を見失って続ける意味も見いだせないけれども辞められなくて無理やり続けている人もいるでしょう。

意識的には本人は頑張っているし、もっと頑張らなきゃと思っていても、心の奥底では
『目標もなく頑張れない』と思っていたら、
高校の時のようには頑張れないし、周りからもその努力も認めてもらえないという状態に
なっても不思議ではありません。

大学に入ると大人として主体的に
自分を律して行動することが求められます。
高校までは指導者に従うことが要求されて
いたのに、、、そんなに急に人は変われません。

大学の4年間競技を続けて成長することは
当たり前ではありません。
とても難しいことをやろうとしていることに
気付いてもいいんじゃないかなと思うんです。
そして、様々な事情で思ったように頑張れないけれども継続しなければならないならば、
競技や大学の4年間という狭い枠で考えずに
もっと長い時間枠で
自分はどんな人生を送りたいのか?
どんな人になりたいのか?
そこから考えてみたらどうでしょう?

ただ“勝つ”ことだけが競技を続ける理由でなくてもよいはずです。