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70 話は最後まで聞いてみよう

悔しかった話。ある音楽家の主催する、大きなフォーラムに出演させてもらった。素晴らしい演奏家で、尊敬できる存在だった。そんな人とコラボレーションできる機会なんて、そう滅多にないので、私はとても楽しみにしていた。ところが企画の、プレゼンをしようと試みたとき、少しだけ話を聞いて、私に向かってこういい放った。それやって意味あるの。まだ話の途中なのに、なんでそんなこと言われなきゃいけないのと思ってしまった。会場を出なければならない時間も迫っていたのかもしれない。ただ全部聞いてないのに、判断されたことがとても悔しかった。別れ際に、よいことをちゃんとやってれば、いつか誰かきっとみてくれていて助けてくれると言われた。

ここでもやっぱり、その音楽家が育った世代間のギャップと、クラシック音楽の伝統の押し付けを感じた。誰かが考えたもの、作ったものはその人なりの解釈や方法があるはずだ。それを権威によって、上から潰されてしまうのは、とっても嫌だった。とにかく一回は最後まで話を聞いて欲しかった。ただそれだけだったかも知れないが、それが一番必要だった。私も最後まで話を聞いてあげるだけの心の余裕をいつでも持っていたい。

 


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