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【16】待つ一体感

【16】待つ一体感
舞台の上では、親も夢の世界を創り上げるグル。親のふるまいは、その場の空気をつくる大事な要素だ。「さあ、いっかい楽器をナイナイして、おとうさん、おかあさんのところに戻ろう」「おかあさん、おとうさんはどこかな?」こどもたちは、キョロキョロとあたりを見渡して、親を見つけて、勢いよく抱きつく。タッタッタと、足音がかわいい。なぜかある子は、「トト、トト」とホールの入り口に向かって走っていってしまった。この場にいないおとうさんを探しにいこうとしていた。その子のおかあさんが、「ト、トはここにいないよ」大人一同大笑い。エラーが起きたのだけど、とても微笑ましい瞬間だった。その子が、元の場所に戻るまで、舞台上の物語は一旦中断。大人たちは、ちゃんと、他人の子を見守っていた。そして数十秒後なにごともなく再開した。きっとあの子は言葉をそのまま受け取ってくれたのだろう。その素直さは印象深かった。そして大人はそこにちゃんと付き合ってくれた。夢の世界をみんなでキープした。待つ時間、一体感を感じた。親子の関係に閉じてしまって、なかなか周りが見えなくなるのは、その場の状況次第なんだろうな。そんなことを思った。

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