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小説『明け方の若者たち』

知り合いのオススメシリーズ3冊目。
この作品は既に映画化が決まっているそうだ。なので店頭に並んでいた文庫本には、普段かかっている普通のカバーの上から、更にもう一枚カバーがかかっていた。フライヤーと同じカットが印刷されているそれが目に入ってしまったお陰で、キャストの顔と主人公の顔がガッツリとリンクしてしまった。小説なので大半の人がそうだと思うが、本来であれば己の想像力だけで主人公の容姿を形成していく。その工程があっさりと省略されてしまった。くそっ、もう少し早く知っていれば。少々悲しくなりつつ最後まで読み進めた。

自分が思い描くこれからとは?大学を卒業して無難な会社に入社しそれっぽく生活して結婚もして、人間それなりに明るい未来を期待しがちだと思う。"僕"もきっとこういう事を考えていたのだろう。でも現実そう上手くは行かず、恋愛や仕事にもがく姿がなんともリアルで、思わず自分を重ねてしまった。私も希望の部署に通らず心を失いかける日常が待っているかもしれない。時間をかけゆっくりと溶かしていかないといけない程の想いを抱くこともあるかもしれない。妙にリアルに描かれていて、しかもハッピーエンドとも言い難い終わり方だった。これは私たちの、私たちによる作品(物語)なのかもしれない。

そうだ、ハッピーエンドで思い出した。映画の主題歌となるのはマカロニえんぴつの新曲「ハッピーエンドへの期待は」だ。マカロニを普段からよく聴く私は、そこから色々派生した。"僕"と"彼女"の関係性。これぞまさに恋人ごっこだ、と思ってしまった。歌詞中の男性は事実を知った上で女性のことを愛し続ける。"僕"もまた、その一人。自然と私の中で「ねえもう一度だけを何回もやろう、そういう運命をしよう」と再生された。ああ、どっちも切なすぎる。

最後に個人的に共感しまくった文章を添えて終わります

自分が一番マトモなはずなのに、数的に劣勢なだけで、自分だけ間違っているように感じられた。

厄介なのは日本語が通じない外国人よりも、日本語が通じない日本人かもしれない。


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