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くすんだうろこ①

ここは南の海。 
南の海には人魚が住んでいます。
赤いうろこの人魚。
緑のうろこの人魚。
黄色いうろこの人魚。
その中にくすんだうろこの人魚がいました。
くすんだうろこの人魚は他の人魚たちから、うろこをからかわれ今では貝殻から出ようとしません。

「みーんな、きれいな色のうろこなのになんで私だけこんなくすんだうろこなのよ」

そんなある日。
くすんだうろこの人魚の友達、チンアナゴが会いにやってきました。

「ねぇねぇ!最近の人魚たちのウワサ話知ってる?」
「ずっと貝殻にいるんだから知るわけないじゃない」
「それもそっか。なんかさ、東の海に七色のカメがいるらしいんだ」
「七色のカメ!?」

人魚は目を輝かせました。自分のうろこも七色だったらどんなに素敵だろうと思ったからです。

「七色のカメなんて1度でいいから会ってみたいよね」
「私、、、会いに行こうかな」

チンアナゴは驚きました。だってずっと貝殻に閉じこもていた人魚がそんなことを言うとは思わなかったからです。

「七色のカメに会ってどうやったら七色になれるのか教えてもらうの」
「でも東の海に行くには真っ暗な洞窟を通らないといけないんだよ?
その洞窟には怪物が住んでいて通る者をたくさんの手で邪魔するんだって」

人魚はチンアナゴの言葉に少し戸惑いました。それでも

「貝殻に隠れている自分に、もううんざりなの!」

チンアナゴはそんな人魚を見て応援することにしました。

「僕は洞窟の場所はわからないけど、月の花が知っているから聞いてみるといいよ」

人魚は月の花を目指し泳ぎ始めました。

しばらく泳ぐと昆布畑が見えてきました。
近づいてびっくり、その昆布は人魚の何倍もの大きさの超巨大昆布だったのです。どうやら月の花に会うためにはこの昆布畑を通らないといけません。
人魚は少し不安はありましたが、七色のカメに会うため勇気を出しました。

「ここは勢いよく一気に泳いじゃお」

人魚はギュッと目をつむって今までで1番!というスピードで泳いでいきます。昆布のぬるぬるも、まとわりつく昆布もおかまいなしです。


どれぐらい泳いだでしょう。
ふっと明るくなるのを感じた人魚は、そっと目を開けました。
すると目の前はピンクでいっぱいです。

「…すごい」

そこには桜サンゴが一面に咲いていました。
あまりの美しさに人魚は驚きました。

「そうだ!七色のカメさんへのお土産に1つもらっちゃお!こんなにたくさんあるんだからいいわよね」

そう言って桜サンゴに近づこうとしました。

そのとき、人魚の目の前に大きな魚が現れました。
これには人魚も腰を抜かしてしまい動けません。

「サンゴをとることは許さん!帰れ!」

あまりの迫力に人魚は今にも泣きそうです。
その場で動かずただただ怯えていました。


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