見出し画像

フィンランドの家族VISA申請方法と苦労話

フィンランドの家族帯同VISA(滞在許可証)の申請方法や必要書類についてまとめようと思います。

私は、2017年8月から2019年6月にかけて、フィンランドのアールト大学に留学していました。家族(妻と娘)も一緒に滞在していたのですが、私のVISA(滞在許可証)に紐づけて、家族のVISAを取得するのに苦労したので、同じようなプロセスを踏む人が、スムーズに申請できるように、体験を踏まえてまとめます。

1. 基本的な情報収集

フィンランドの長期滞在者用のビザは、Residence Permitと呼ばれています。

必要な提出書類については、Enter Finlandというフィンランドのビザの申請するホームページを参考にしました。

フィンランドでは、連続して3ヶ月以上、1年に6ヶ月以上滞在する場合には、ビザの申請が必要になっています。逆にいうと、家族が3ヶ月だけ滞在する場合にはビザの申請なしで、フィンランドに滞在することができます。

フィンランドに滞在すした際に受けられる福利厚生であったり、申請に必要となる最低限の生活費など、公式な情報としては、こちらのMIGRIというフィンランドの移民局の公式ホームページにまとまっています。

2. 家族であることを示す戸籍謄本

フィンランドに留学、就職などで移住する際には、本人に帯同する家族という形でビザを申請します。

家族であることを示すために戸籍謄本の提出が求められるのですが、こちらの取得に1番苦労をしました。

まず、戸籍謄本は日本語でしか発行していない(ごく一部の地方自治体では英語の発行があるようです)ため、翻訳をする必要があります。加えて公式な翻訳であり文書であることを示すための認証を取得する必要があります。

2-1  翻訳を依頼する
家族全員分の情報が入った戸籍謄本をお住いの地方自治体で取得した後は、英語への翻訳を依頼する必要があります。

海外に移住される方は基本英語ができるので、自分で翻訳しよう!と思われるかもしれませんが、それはできませんでした。。。

というのは、日本語から英語に正しい翻訳がされたことが、認証される必要があり、素人が翻訳することは基本できないと考えた方が良いです。

インターネットで翻訳と認証をしてもらえる会社をググって、1番お得にやってもらえそうな会社にお願いしました。こちらの東京翻訳サービスを利用しました。

スクリーンショット 0032-05-01 13.12.49

このような形で表紙に、原本と相違なく正式に翻訳した文書であることを宣伝するカバーレターが付いています。

2-2 - 外国文認証を取得する
日本語から英語に翻訳した文章は、公証人と呼ばれる人に、正式な外国語文書であることを認証してもらう必要があります。私は、STEP.1で依頼した東京翻訳サービスの方で、こちらを代行していただきました。

外国文認証(アポスティーユ)とは、外国語で作成された私署証書及び外国語又は日本語で作成され、外国において使用される私署証書に対する認証のことで、一般に略してこのように呼んでいます。

書類1枚1枚に認証済みの判子が押してありました。

ここまでのステップを依頼して、たしか、2万5千円ほどでした。
このプロセスを知らず、法律事務所に直接行って相談したときは、全部で10万円近くかかると言われたので、安い値段なのではないかと思います。

2-3 - アポスティーユ(外務省)を取得する
実はもう1つ認証を受ける必要があります。外務省からアポスティーユと言われる証明を取得しました。

「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。提出先国はハーグ条約締約国のみです。アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます。

こちらは既に外国語に翻訳され、公証人から認証された文書を持参し、外務省に直接行って、申請を出しました。郵送でも対応しているそうです。

申請を出してから10日ほどで、返送用の封筒に入った証明済みの書類が届きました。こちらは、たしか無料でやっていただけたと思います。

まとめると、単純に戸籍謄本を日本語から英語に直すだけにも関わらず、
・地方自治体での戸籍謄本の取得
・法律事務所が認める翻訳の依頼
・公証人からの認証(外国公文書の認証)
・外務省からの認証(公印確認)

というステップがあり、この間、Emaiや郵送でのやりとり、実際に外務省に足を運んだりとかなり骨が折れました。何よりどのように対応していいかよく分からず、アポスティーユを発行している法律事務所に行って、どうしたらいいのか聞くと、10万円かかると言われたり、インターネットでどの業者が安く早く納入してくれるのか調べたり、大変に苦労しました。

3.生活に充分な所得があることを示す書類たち

3-1 必要最低限の所得基準
フィンランドに滞在するのに充分な所得があることを示す書類として、多くのもの(そして手に入れづらい)を提出する必要があります。

画像2

migri HP

こちらが1月あたりに最低限必要となる生活費の目安です。自分と家族合わせて、1年分+αの貯蓄もしくは、これからの収入があることを示す必要があります。貯蓄の場合は、この金額以上に残高があることを示す必要があると理解してください。

例えば、大人2人、子供2人の場合ですと、
12,000 x 2 + 6,000 + 4,800 = 34,800 EUR/year(約400万円くらい)
が必要となります。

ただし、学生の場合、12,000ユーロではなく、もっと安く値段で通ります。電話で問い合わせときは、確か年100万円ちょっとが最低基準だと記憶しています(確かな情報でなくてすみません)。これは学生向けのアパートが借りられたりするため、生活費を安く抑えることができるためだと思います。

3-2  銀行から取得する書類
私の場合、貯蓄が充分にあることを示す必要があり、次の書類を取得しました。

・Bank Account Statement / Certificate of Balance
日本語でバンクアカウントステートメントと言っても通じず、UFJ銀行では残高証明書という書類を発行していただきました。こちらは英語で発行してもらうことができました。

・銀行の過去の取引証明書
確か、過去6ヶ月分以上の取引履歴が分かるものを提出する必要がありました。UFJ銀行では取引推移の証明書を発行していただきました。こちらは、日本語のみでの対応でしたが、英語に翻訳しなくても受理していただけました。

3-3  収入の出どころを証明する書類
銀行の残高などの書類に加えて、その貯蓄がどこから来たのか(Source of Income)を示す書類を提出必要がありました。

私の場合、前職の給与所得が主な出どころであったため、会社に問い合わせて、次の書類の発行をお願いしました。海外での仕事が多い企業でしたので、ごく普通に対応していただけて助かりました。

・Income Certificate(収入証明書)
いくら会社が支払ったのかという証明書です。在籍している間に支払った、トータルの金額を記入したものを発行していただきました。

・Certificate of Employment(雇用証明書)
この書類は、どれくらいの期間、どのような役割で働いていたのかを示すもので、こちらはどんな内容を盛り込むのか確認した上で、会社に伝え、発行していただきました。

4.その他

4-1 保険
ビザを申請する本人は保険に加入していることを示す必要がありますが、家族分については特に求められませんでした。娘が小さかったので、もちろん保険には入りましたが、有料のクレジットカードに付帯の海外旅行保険をうまく活用することで、対応していました。

4-2 フィンランド大使館に行って申請をする
Enter Finlandのホームページからビザを申請した後は、フィンランド大使館に申請者全員(家族全員)で行って、書類を提出する必要があります。この時に、指紋を取得したと記憶しています。また、書類に不備がないのかなどここでチェックしていただきます。

4-3 ビザの審査にかかった時間
私の場合、1ヶ月ほど(うろ覚え)で審査が通過し、待たされたという感覚は全くありませんでした。ただ、フィンランドでインターンシップをしに行った友人は、ビザの審査に想定以上の時間(数ヶ月?)がかかり、インターンシップの時期に間に合わず、ビザの取得前に現地入り、再度現地で申請をし直すという話も聞きました。早めに申請することをオススメします。

2020.05.09 追記

審査の期間に間違いがありました。学生ビザが承認されてから、家族ビザは審査されるため、通常よりも時間かかりました。参考としては、7月中旬に大使館に行って、1月末にビザが発行、約半年間かかっていました。


===
家族でフィンランドに移住することはとても貴重な経験をすることができ、楽しいことがいっぱいあります。このビザの申請には予想以上に苦労しましたが、家族揃って、現地に行くメリットはたくさんあります。これから行かれる方はぜひ参考にしていただいて、素敵なフィンランドライフを送ってください。

Photo at Helsinki Cathedral, Helsinki, Finland

フォローやシェアいただけると嬉しいです。