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不安を連れて、7月へ。

明日で6月が終わる。いつもなら「もう今年も半分おわるんだ」と時間の早さへの驚きと、焦りを感じていたように思う。でも今年は少し違う。7月になったら、縁もゆかりもない場所へ彼と犬といっしょに引っ越すのだ。

知らない場所へ行く時や新しいことに挑戦する時、いつも不安で逃げ出してしまいたくなる。今回もそう。今の場所にもやっと慣れてきて、今住んでいる街が好きになったところなのに、知らない街で仲良くやっていけるのか、環境に慣れるまでどのくらい時間がかかるのか。考えると不安になってしまう。

新しい一歩を踏み出す時に不安はつきものと言うけれど、いつまで経っても慣れないし、きっとこれからも付き合い続けていくしかないのだと思う。

7月になったら、引っ越しの準備を本格的に始めないといけない。きっと部屋は段ボールだらけになって、いつもの日常の風景ではなくなってしまうだろう。引っ越し直前にここで過ごした日々を思い出して、今の家や街がどれだけ好きだったのかを知った。

家の隣には大きな公園があって、私たちはその公園が大好きだった。まるで小さな森のようにたくさんの木や植物が生えていて、虫や動物も多い。夏になるとカブトムシやクワガタを見ることもあったし、タヌキも見たことがある。野良猫たちが何匹が棲みついていて、勝手に名前を付けて挨拶するようになった。整備されすぎていない感じも、自然と共存している感じがして好きだった。新しい街にも公園はあるけれど、初めて訪れた時、なんだか綺麗に整備されすぎている気がして、何とも言えない気持ちになった。

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この公園を一番好きだったのは犬のめいこ。毎日同じ公園を散歩しているのに、いつも新鮮な表情で生き生きしていて、しっぽはピンピンと上がっていた。私たちはここを散歩できる回数が残り少ないことを知っているけれど、めいこは何も知らない。それを考えると胸がきゅっとなる。

家の中はというと、リビングの上にロフトがあるおかげで天井が高くて(たぶん4~5mはある)、天井がくすんだ青色で、窓が大きいところが好きだった。


窓から見える景色も、決して眺めがいいわけではなかったけれど、すぐそばに木があり、人目が気にならないところが気に入っていた。朝はカーテンを全開にして日差しを入れ、めいこが気持ちよさそうに日向ぼっこをする。春には木に花が咲き、たくさんの蝶々や蜂が蜜を求めてやってくる姿が見られた。

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ソファの上から外の景色をめいこと眺めるのも好きだったし、ソファに寝ころんで流れる雲を見上げるのも好きだった。引っ越したら窓の外にはベランダがあるから、今と同じことはもうできない。

朝わたしが先に起きると、リビングのある2階へめいこが階段を駆け上がってくる。そのリズミカルな足音も好きだっだし、階段の上に差し込む朝日を浴びながら毛づくろいしているめいこも愛おしかった。

今のおうちの「好き」を感じるたびに寂しくなって、引っ越しがちょっと憂鬱になる。もちろん、引っ越し先の街も気に入ったから決めたし、楽しみな気持ちもあるんだけど。

でも6月はなかなか気持ちを切り替えられなくて、気持ちの整理がつかないままどんどん時間ばかり過ぎていった。ようやく最近、ちょっとずつ気持ちの整理ができてきたところ。

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新しい街に行ったら、今までのような風景は見れなくなってしまうけれど、ここでは見られなかった、新しい好きな風景を見つけていくしかない。次に暮らす街にしかない「好き」を増やしていけるといいな。

明後日には7月になる。どんな気持ちでどう過ごすかは自分たち次第なのだから、心地よく暮らして、私たちらしく、のんびり楽しんでいけますように。

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