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片思いの苦しさ


「一生続く平凡な優しさを取るか、
いつか終わる特別な優しさを取るか。」


親友が私にくれた問い。



恋は選択の連続だ。特に、片想いの場合は、より悩ましい選択を迫られる。


友達、遠くもないけれど一番近くでもない、相手にとって当たり障りのない存在として注がれる平凡な優しさ。きっと一生続く優しさ。

恋人、誰よりも一番近くで、相手にとって最も愛おしい存在として注がれる特別な優しさ。きっといつか終わってしまう優しさ。



私の親友が選んだのは、前者だった。特別な優しさが欲しくてたまらなかったけれど、一生続く優しさを失うことが怖かった、と。



これは、私がこれまでの片思いでしてきた選択だった。だから、その選択をした彼女に切なくなるほど共感した。


友達として近くにいられるだけでいいと思いながらも、それ以上の特別な存在になることを切実に望む気持ちと、それを望んでしまったら、友達として近くにいることすらできなくなるかもしれないという不安と恐怖。

片思いのどうしようもない苦しさ。


私は最近、あまりにも心に馴染んでしまったその苦しさを手放した。見込みはなかったけれど、好きな人に好きだと伝えた。

例え私の気持ちが受け入れられなかったとしても、伝えたかった。だって、一度特別でありたいと望んでしまったら、平凡な優しさに心が満たされることは二度とないから。


苦しさの原因はきっとそこ。

一瞬でも特別な存在でありたいと思ってしまったら、もう二度とそれ以前の感情には戻れない。もう二度とその人から注がれるありきたりな優しさで心が満たされることはなくて、むしろその優しさを痛みとすら感じてしまう。




こういうことを考えるたびに、恋愛ってどこまでもエネルギーと感情を強制的に消耗させるかったるい行為だなと思いながらも、なぜか気づけばまた恋をしているのがまたかったるい。


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