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幸せになる資格


「俺、幸せになる資格ないんだ」

酔っ払った彼氏が1ヶ月前くらいに呟いた一言がなぜかずっと心の奥で引っかかっていた。


離婚した過去と離れて暮らす息子がいる事実、そして養育費をあと15年払い続けなければいけないという現実が彼にそう言わせたのだろう。


事情はわかるけれど、どうしても私にはその一言を理解することはできない。


心の底から自分には幸せになる資格がないと思うのなら、なぜ私と付き合ったのだろうかと考えてしまう。

誰かと付き合って恋愛をするということは、少なからず幸せを求めているということだと私は思う。


幸せになる資格がないという一言を聞いた時に、正直私は落ち込んだ。だってそれは、彼が私との恋愛に幸せを見出せていないという意味だし、これから先も私と一緒にいても幸せになる未来が見えないという意味になってしまうから。


でもきっとそういうことじゃない。ただ私がそう信じたいだけかもしれないけれど。

彼は自分が抱えている過去への後ろめたさから、幸せになる資格はないのだと自分に言い聞かせているのだと思う。でもどこかで幸せになりたいという気持ちが少なからずあるのだろう。

そうでなければ恋愛なんて一生しないはずだ。



でも、そもそも幸せになる資格って何なのだろう。幸せになるために資格なんて要るのだろうか。

人間は欲深い生き物だから、どんなに悪いことをしたって幸福や快楽を求めてしまうし、不幸なことが起これば起こるほど幸せになりたいと願ってしまう。

だから憲法でも幸福追求権なんてものが保障されていたりする。


私も、死ぬほど辛い別れを経験しても、浮気して相手を泣かせても、またこうして恋をしている。

一時は幸せを求めることをやめても、また求めてしまうんだ。



だからきっと、幸せになるための資格なんて存在しないのだと思う。みんな知らず知らずのうちに幸せを求めていて、それはごく自然なことなんだ。

もしも今、何か悪いことや誰かを傷つけることをしてしまって、自分には幸せになる資格がないと思っている人がいたら、少しだけ考えてみてほしい。

美味しいご飯を食べた時、キンキンに冷えたビールを飲んだ時、温かいお風呂に入った時、仕事が上手くいった時、仲のいい友達といる時、私たちはいろんな瞬間に些細な幸せを見出す。

それなのに幸せになる資格がないなんて言うのはおかしな話だ。どんな時だって幸せになる権利はみんなに平等にある。


だから、どんなことがあったって思いっきり幸せを求めたらいいんだ。人生は一度きりしかない自分だけのものだから。

過去を引きずって未来を生きるなんてもったいなくない?

私はそう思う。



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